【1級土木施工管理技士】建設業法を徹底攻略!許可・請負契約・主任技術者と監理技術者のすべて

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1級土木施工管理技士 第一次検定対策

「建設業法」を徹底攻略!
許可・請負契約・技術者制度を金額で押さえる

最終更新: 2026.07.12 | 分野: 法規

1級土木施工管理技士の第一次検定では、「法規」から例年12問が出題され、そのうち8問を選択解答します。法規は全問を解く必要がないぶん、確実に得点できる法令を作っておくことが合否を分けます。その筆頭が建設業法です。

建設業法は、法規の中でも毎年2問前後が出題される最重要科目です。しかも問われるのは、① 建設業の許可(一般と特定、金額要件)、② 請負契約(契約書面、一括下請負の禁止、下請代金の支払)、③ 主任技術者・監理技術者(配置と専任、職務)、④ 施工体制台帳・施工体系図の4テーマにほぼ限定されています。さらに、この4テーマは第二次検定(実地)の施工体制・品質管理の記述でもそのまま使えるため、学習効率が抜群です。

ネックになるのは「金額」です。500万円・1,500万円・4,000万円・4,500万円・7,000万円・8,000万円――似た数字がずらりと並びます。しかも近年の法改正で金額要件が引き上げられているため、古いテキストの数字を覚えていると失点します。この記事では、2026年時点の現行制度の金額を、「何の金額なのか」の意味とセットで整理します。図・比較表・ひっかけ総まとめ・一問一答10問まで通して読めば、建設業法の2問は確実に拾えるようになります。

1建設業法の全体像 ―「発注者の保護と施工の適正化」

建設業法の目的(第1条)は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することです。

ポイントは、守るべき相手が「発注者」だということ。工事の中身は目に見えにくく、手抜き工事をされても発注者には分かりません。そこで、「誰でも建設業を営めるわけではない(許可制)」「契約は書面で対等に」「現場には技術者を置け」というルールで、施工の質を担保しているのです。この趣旨を押さえておくと、細かい条文の意味が腑に落ちます。

建設工事
土木建築に関する工事で、建設業法別表第一に掲げるもの(29業種)をいいます。土木一式工事、建築一式工事のほか、とび・土工・コンクリート工事、舗装工事、しゅんせつ工事、水道施設工事 など。設計・調査・測量は建設工事に含まれません
建設業
元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいいます。
発注者・元請負人・下請負人
発注者=建設工事の注文者(他の者から請け負ったものを除く)。元請負人=下請契約における注文者で建設業者であるもの。下請負人=下請契約における請負人。
「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない」(第18条)。この「対等」「誠実」というキーワードは、そのまま選択肢に出ます。

2建設業の許可 ―「大臣・知事」と「一般・特定」

2-1 許可が必要な工事・不要な工事

建設業を営もうとする者は、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けなければなりません(第3条)。ただし、軽微な建設工事のみを請け負う場合は許可不要です。

軽微な建設工事
次のいずれかに該当する工事。これのみを請け負う営業なら建設業の許可はいりません。
・建築一式工事以外:1件の請負代金が500万円未満(消費税込み)
・建築一式工事:1件の請負代金が1,500万円未満、または木造住宅で延べ面積150㎡未満
附帯工事
許可を受けた建設業に係る建設工事に附帯する他の建設業に係る工事のこと。建設業者は、許可を受けた業種以外でも、附帯工事であれば請け負うことができます(第4条)。ただし、その附帯工事を施工する場合は、その業種の技術者を置くか、その業種の許可業者に施工させる必要があります。

2-2 大臣許可と知事許可

区分要件
国土交通大臣の許可2以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業する場合
都道府県知事の許可1の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業する場合

この区分は「営業所の所在地」だけで決まります工事を施工する場所(現場の所在地)とは無関係です。したがって、東京都知事の許可を受けた業者が、北海道や沖縄の工事を請け負うことはまったく問題ありません

「都道府県知事の許可を受けた建設業者は、その都道府県の区域内でしか建設工事を施工することができない」→ 。許可の区分は営業所の設置状況で決まるだけで、施工できる区域に制限はありません。全国どこでも施工できます。

2-3 一般建設業と特定建設業

許可は一般建設業特定建設業に区分されます。この区分は、発注者から直接請け負った(=元請の)工事について、下請に出す金額で決まります。

区分要件(発注者から直接請け負った1件の工事について)
特定建設業下請契約の請負代金の額(複数の下請がある場合は合計額)が
4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上
となる下請契約を締結する場合
一般建設業上記以外(下請に出さない、または下請金額が上記未満)
建設業の許可 ― 判定フロー 建設工事を請け負う 軽微な工事のみ?(500万円未満/ 建築一式1,500万円未満・木造住宅150㎡未満) YES 許可は不要 NO 許可が必要(有効期間5年・更新制) 特定建設業 元請で下請合計 4,500万円以上(建築一式7,000万円以上) 一般建設業 上記以外(下請に出さない/金額未満) 大臣許可=2以上の都道府県に営業所 知事許可=1つの都道府県のみ
図1 建設業の許可の判定フロー(軽微/一般/特定)
特定建設業の判定で見るのは、「元請として下請に出す金額」だけです。請負代金(受注額)ではありません。10億円の工事でも、すべて自社施工なら一般建設業の許可で足ります。逆に、下請から仕事を受けた二次下請が、さらに下請に出す金額が大きくても、発注者から直接請け負っていないので特定建設業の許可は不要です。
「請負代金の額が4,500万円以上の工事を請け負う場合は、特定建設業の許可が必要である」→ 請負代金ではなく下請契約の金額(合計額)で判断します。しかも発注者から直接請け負った(元請の)工事に限られます。

2-4 許可の有効期間・その他

項目内容
有効期間5年。引き続き営業する場合は更新を受ける(許可の日から5年を経過したときは効力を失う)
業種別許可許可は建設工事の種類(29業種)ごとに受ける。2以上の業種の許可を同時に受けることも可
一般と特定の重複同一業種について、一般建設業と特定建設業の許可を同時に受けることはできない(業種が違えば、A業種は特定・B業種は一般、という組合せは可)
変更の届出商号、営業所の名称・所在地、資本金、役員、営業所の専任技術者などに変更があったときは、30日以内(一部は毎事業年度経過後4か月以内)に届け出る
許可の基準①経営業務の管理を適正に行う能力(経営体制)、②営業所ごとに専任の技術者を置くこと、③誠実性、④財産的基礎(特定建設業は資本金2,000万円以上・自己資本4,000万円以上等)
「建設業の許可は、3年ごとにその更新を受けなければ、期間の経過によって効力を失う」→ 。正しくは5年です。「3年」「10年」に書き換えるのが定番のワナ。なお、同一業種について一般建設業と特定建設業の許可を同時に受けることはできません(これも選択肢に出ます)。

3請負契約の原則と契約書面 ―「対等な立場」

3-1 契約書面の記載事項(第19条)

建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際して次の事項を書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付しなければなりません。電子契約(電磁的措置)も認められています

記載事項(主なもの)
工事内容
請負代金の額
工事着手の時期および工事完成の時期
工事を施工しない日または時間帯の定めをするときは、その内容
請負代金の全部または一部の前金払または出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期および方法
当事者の一方から設計変更または工事着手の延期、工事の全部・一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更、損害の負担とそれらの算定方法
天災その他不可抗力による工期の変更または損害の負担とその算定方法
価格等の変動・変更に基づく請負代金の額または工事内容の変更
工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担
注文者が工事に使用する資材を提供し、または建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容および方法
注文者が工事の全部または一部の完成を確認するための検査の時期および方法ならびに引渡しの時期
工事完成後における請負代金の支払の時期および方法
工事の目的物が種類・品質に関して契約の内容に適合しない場合における担保責任または責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結等の措置
各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
契約に関する紛争の解決方法/ほか

この書面は、工事の着手前に交付するのが原則です。また、請負代金の額の変更や工事内容の変更があった場合も、その変更内容を書面に記載して相互に交付しなければなりません(第19条2項)。

「請負契約の書面は、工事に着手した後、遅滞なく交付すればよい」→ 契約の締結に際して(=着工前に)交付します。口約束で着工し、あとから書面を作るのは違反です。

3-2 現場代理人と監督員(第19条の2)

請負人は、現場代理人を置く場合、その権限に関する事項および現場代理人の行為についての注文者の請負人に対する意見の申出方法を、書面により注文者に通知しなければなりません。注文者側も、監督員を置く場合は同様に通知が必要です。

現場代理人
請負人の代理として工事現場に常駐し、契約の履行に関する一切の事項を処理する者。建設業法上の資格要件はありません。主任技術者・監理技術者とは別の概念ですが、兼任は可能です。

3-3 見積り(第20条)

建設業者は、契約の締結に際して、工事の種別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳ならびに工事の工程ごとの作業およびその準備に必要な日数を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければなりません

そして、注文者は、請負契約の締結前に、下請負人となろうとする者に対して見積りをするための一定期間を与えなければなりません(第20条4項)。これが見積期間で、金額と日数の組合せが出題されます。

工事の予定価格見積期間
500万円未満1日以上
500万円以上5,000万円未満10日以上
5,000万円以上15日以上

※ やむを得ない事情があるときは、10日以上・15日以上の期間は5日以内に限り短縮することができます。

見積期間は「1日・10日・15日」。境目の金額は「500万円・5,000万円」「ゴヒャク・ゴセン」で「イチ・ジュウ・ジュウゴ」と唱えて覚えましょう。なお、この期間は注文者が下請に与える期間であって、契約を結ぶまでの期間ではありません。

4請負契約で禁止されること ―「一括下請負・不当に低い代金」

4-1 一括下請負の禁止(第22条)

建設業者は、その請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはなりません。いわゆる丸投げの禁止です。

一括下請負(丸投げ)
請け負った工事の全部または実質的に全部を、一括して他の業者に請け負わせること。「実質的に関与していない」場合が該当します。実質的関与とは、元請が自ら施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導等を行うことをいいます。単に現場に技術者を置いているだけでは実質的関与とは認められません
工事の種類一括下請負
公共工事(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律に規定する公共工事)例外なく全面禁止(発注者の承諾があっても不可)
民間の共同住宅の新築工事例外なく全面禁止
上記以外の民間工事あらかじめ発注者の書面による承諾を得た場合に限り可
「公共工事であっても、あらかじめ発注者の書面による承諾を得れば、一括して下請負に付すことができる」→ 公共工事と民間の共同住宅の新築工事は、発注者の承諾があっても一括下請負は禁止です。承諾で可能になるのはそれ以外の民間工事だけです。

4-2 その他の禁止事項

条文禁止内容ポイント
第18条
建設工事の請負契約の原則
―(原則規定)当事者は各々対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実に履行しなければならない
第19条の3
不当に低い請負代金の禁止
注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない禁止されるのは注文者(発注者・元請)。「通常必要と認められる原価」がキーワード
第19条の4
不当な使用資材等の購入強制の禁止
注文者は、請負契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、使用する資材・機械器具、またはこれらの購入先を指定し、これらを請負人に購入させて、その利益を害してはならない「請負契約の締結後」が要件。契約前に仕様として指定するのは差し支えない
第19条の5
著しく短い工期の禁止
注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない2020年施行の働き方改革関連の改正。元請が下請に対して行う場合も対象
第23条
下請負人の変更請求
注文者は、請負人に対して、建設業者でない下請負人の変更を請求することができるただし、あらかじめ注文者の書面による承諾を得て選定した下請負人については請求できない
第24条の3
下請代金の支払
次章参照
「不当に低い請負代金の禁止は、請負人が守るべき規定である」→ 。この規定の名宛人は注文者(発注者・元請)です。「自己の取引上の地位を不当に利用して」という文言から、立場の強い側への規制だと分かります。

5元請負人の義務 ―「検査20日・支払50日・1か月」

建設業法第24条の2以降には、元請負人が下請負人に対して負う義務が並びます。ここは数字(日数)がそのまま問われるので、表で叩き込みましょう。

条文義務の内容期限
第24条の2
下請負人の意見の聴取
元請負人は、その請け負った建設工事を施工するために必要な工程の細目、作業方法その他元請負人において定めるべき事項を定めようとするときは、あらかじめ下請負人の意見を聴かなければならないあらかじめ
第24条の3
下請代金の支払
元請負人は、出来形部分に対する支払または工事完成後における支払を注文者から受けたときは、当該支払の対象となった建設工事を施工した下請負人に対して、相応する下請代金を支払わなければならない注文者から支払を受けた日から1か月以内で、かつできる限り短い期間内
第24条の3
前払金の支払
元請負人は、前払金の支払を受けたときは、下請負人に対して、資材の購入、労働者の募集その他建設工事の着手に必要な費用を前払金として支払うよう適切な配慮をしなければならない―(義務ではなく「配慮」
第24条の4
検査および引渡し
元請負人は、下請負人から工事完成の通知を受けたときは、その完成を確認するための検査を完了しなければならない通知を受けた日から20日以内で、かつできる限り短い期間内
第24条の4
引渡し
検査によって工事の完成を確認した後、下請負人が申し出たときは、直ちに目的物の引渡しを受けなければならない直ちに(ただし、下請契約で定めた工事完成の時期から20日を経過した日以前の一定の日に引渡しを受ける旨の特約がされている場合を除く)
第24条の6
特定建設業者の下請代金の支払期日等
特定建設業者が注文者となった下請契約における下請代金の支払期日は、下請負人から引渡しの申出があった日から起算して50日以内のできる限り短い期間内で定めなければならない50日以内(定めなかった場合は引渡しの申出日が支払期日とみなされる)
第24条の6
割引困難な手形の交付禁止
特定建設業者は、下請代金の支払につき、一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付してはならない
第24条の7
施工体制台帳・施工体系図
第8章参照
下請代金をめぐる日数(元請負人の義務) 下請が完成を通知 元請の検査完了 引渡しの申出 下請代金の支払 20日以内に検査完了 確認後、申出があれば直ちに引渡し 50日以内に支払(特定建設業者) 注文者から支払 → 1か月以内
図2 下請代金をめぐる日数(検査20日・支払50日・注文者からの支払後1か月)
日数の3点セット:検査=20日以内/支払=引渡し申出から50日以内/注文者から支払を受けたら1か月以内。「ニジュウ・ゴジュウ・イッカゲツ」と唱えましょう。いずれも「かつ、できる限り短い期間内に」という文言が付く点も選択肢に出ます。
「元請負人は、下請負人から工事完成の通知を受けたときは、通知を受けた日から1か月以内に検査を完了しなければならない」→ 。検査は20日以内です。「1か月以内」は注文者から支払を受けたときの下請代金の支払のほうです。
「元請負人は、前払金の支払を受けたときは、下請負人に対して前払金を支払わなければならない」→ 。前払金については「支払うよう適切な配慮をしなければならない」という配慮義務にとどまります(第24条の3第3項)。「支払わなければならない」という義務規定にすり替えるのが典型的なワナです。

6技術者制度① ―「主任技術者と監理技術者」

建設業者は、その請け負った建設工事を施工するときは、当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者として、主任技術者を置かなければなりません(第26条1項)。

区分置くべき場合資格の例
主任技術者すべての建設工事(元請・下請、請負金額の大小を問わない)2級土木施工管理技士、1級土木施工管理技士、実務経験者(指定学科卒+3〜5年 等)
監理技術者発注者から直接請け負った(元請の)工事で、下請契約の請負代金の合計額が4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)となる場合(=特定建設業の許可が必要な場合)1級土木施工管理技士、技術士 等(監理技術者は主任技術者より上位の資格が必要)
主任技術者・監理技術者の職務(第26条の4)
工事現場における建設工事を適正に実施するため、①当該建設工事の施工計画の作成、②工程管理、③品質管理その他の技術上の管理、④当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督を行います。「原価管理」や「請負代金の変更交渉」は職務に含まれません(それは現場代理人などの役割)。

さらに、工事現場における建設工事の施工に従事する者は、主任技術者または監理技術者がその職務として行う指導に従わなければなりません(第26条の4第2項)。下請の作業員も、元請の監理技術者の指導に従う義務があるということです。

「下請」に監理技術者は不要です。監理技術者を置くのは、発注者から直接請け負った元請だけ。下請は、いくら大きな金額でも主任技術者を置きます。ただし、特定専門工事(型枠工事・鉄筋工事で下請金額が4,000万円未満のもの)では、元請等の主任技術者が下請の主任技術者の職務を併せて行うことで、下請の主任技術者の設置を不要とできる特例があります。
「下請負人であっても、その下請契約の請負代金が4,500万円以上であれば監理技術者を置かなければならない」→ 。監理技術者を置くのは発注者から直接請け負った建設業者(元請)だけです。下請は金額にかかわらず主任技術者です。
「主任技術者および監理技術者の職務には、請負代金の管理(原価管理)が含まれる」→ 。職務は施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理、施工に従事する者の技術上の指導監督です。技術上の管理が守備範囲であり、原価管理・契約管理は含まれません。

7技術者制度② ―「専任」と「監理技術者補佐」

7-1 専任が必要な工事

次の工事に置かれる主任技術者・監理技術者は、工事現場ごとに専任の者でなければなりません(第26条3項)。

要件内容
工事の性格公共性のある施設もしくは工作物、または多数の者が利用する施設もしくは工作物に関する重要な建設工事(=国・地方公共団体の発注工事、鉄道・道路・上下水道、学校、病院、共同住宅 など。個人住宅を除くほとんどの工事が該当)
金額請負代金の額が4,000万円以上建築一式工事は8,000万円以上
専任
他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的にその工事現場に係る職務にのみ従事すること。「現場に常駐する(一日中現場にいる)」という意味ではありません。合理的な理由があれば、発注者との打合せや資材の調達などで一時的に現場を離れることもできます。
専任の金額は4,000万円(建築一式8,000万円)。監理技術者の金額(下請合計4,500万円/建築一式7,000万円)と数字が近くて紛らわしいのが最大の落とし穴です。
監理技術者を置くか=「下請に出す額」で4,500万/7,000万
専任にするか=「請負代金(受注額)」で4,000万/8,000万
監理は下請4,500、専任は請負4,000」と切り分けて覚えましょう。

7-2 監理技術者資格者証と講習

専任の監理技術者は、監理技術者資格者証の交付を受けている者であって、監理技術者講習を受講した者のうちから選任しなければなりません。また、発注者から請求があったときは、資格者証を提示しなければなりません(第26条5項・6項)。

「監理技術者は、発注者から請求があったときは、監理技術者資格者証を提示しなければならないが、主任技術者も同様に資格者証を提示しなければならない」→ 。資格者証の制度があるのは監理技術者だけです。主任技術者に資格者証はありません。

7-3 監理技術者補佐(特例監理技術者)

2020年の法改正により、専任が必要な工事であっても、監理技術者補佐を置けば、監理技術者は2つの現場を兼任できるようになりました。

項目内容
制度の内容専任の監理技術者を置くべき工事において、監理技術者の職務を補佐する者(監理技術者補佐)を専任で置く場合、その監理技術者は2つの現場まで兼任できる(この監理技術者を特例監理技術者という)
監理技術者補佐の資格1級土木施工管理技士補(1級第一次検定の合格者)など、主任技術者の資格を有する者のうち、1級の技士補等
注意点監理技術者補佐は現場ごとに専任で置く必要がある。兼任できるのは2現場まで(3現場以上は✕)
1級の第一次検定に合格すると「1級土木施工管理技士補」の称号が得られ、監理技術者補佐になることができます。この記事を読んで第一次検定に受かること自体が、現場でのキャリアに直結する――これは近年の頻出テーマでもあります。
「監理技術者補佐を専任で配置すれば、監理技術者は3つ以上の現場を兼務することができる」→ 。兼務できるのは2つの現場までです。

8施工体制台帳・施工体系図・標識の掲示

8-1 施工体制台帳(第24条の8)

施工体制台帳
その工事に関わるすべての下請負人(二次・三次以下を含む)の商号、許可番号、工事内容、工期、主任技術者・監理技術者の氏名などを記載した台帳。重層下請構造の全体像を見える化し、施工責任の所在を明らかにするためのものです。
施工体系図
施工体制台帳の記載事項を、各下請負人の施工の分担関係が一目で分かるよう樹形図に表したもの
項目民間工事公共工事
作成義務特定建設業者が元請となり、下請契約の請負代金の合計額が4,500万円以上(建築一式7,000万円以上)となるとき下請契約を締結したとき(金額を問わない)=公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入契法)による
備置き工事現場ごとに備え置く
発注者への対応発注者から請求があったときは閲覧に供するその写しを発注者に提出する(請求を待たずに提出)
施工体系図工事関係者が見やすい場所(公共工事は加えて公衆が見やすい場所)に掲げる
保存施工体制台帳(の写し)は、帳簿の添付書類として営業所ごとに5年間保存(発注者と締結した住宅の新築工事に係るものは10年間
施工体制台帳は公共工事だけ扱いが厳しいと覚えましょう。公共工事=下請契約があれば金額を問わず作成、写しを発注者に提出、施工体系図は公衆が見やすい場所にも掲示。民間工事は4,500万円以上+発注者の請求で閲覧です。
「公共工事において、施工体制台帳は発注者から請求があったときに閲覧に供すればよい」→ 。公共工事では請求の有無にかかわらず、その写しを発注者に提出しなければなりません(入契法第15条)。「閲覧に供する」のは民間工事です。
「施工体制台帳には、一次下請負人のみを記載すればよい」→ 二次以下のすべての下請負人について記載します。全体の施工体制を明らかにするのが制度の目的です。

8-2 標識の掲示(第40条)

建設業者は、その店舗および建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、商号、代表者氏名、一般建設業/特定建設業の別、許可年月日・許可番号・許可を受けた建設業、主任技術者または監理技術者の氏名等を記載した標識(建設業の許可票)を掲げなければなりません。

なお、この標識を掲げる義務があるのは、建設工事の現場については元請(発注者から直接請け負った建設業者)のみとされています(2020年改正)。

8-3 帳簿の備付け・保存(第40条の3)

建設業者は、営業所ごとに帳簿を備え、営業に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載し、保存しなければなりません。保存期間は5年間(発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものは10年間)です。

8-4 建設業者の責務・その他

  • 建設工事の見積り:建設業者は、工事の種別ごとの内訳を明らかにして見積りを行うよう努める(第20条)
  • 著しく短い工期の禁止:注文者は、通常必要と認められる期間に比して著しく短い工期の契約を締結してはならない(第19条の5)
  • 工事現場の施工体制に関する監督:国土交通大臣・都道府県知事は、建設業者に対し指示・営業の停止(1年以内)・許可の取消しを行うことができる
  • 経営事項審査:公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者は、その経営に関する客観的事項の審査(経審)を受けなければならない

9頻出ひっかけ総まとめ

過去問で実際に「✕の選択肢」として出された文章です。すべて誤り。右列を隠して、どこが違うかを説明できるようにしてください。

ひっかけ文(すべて ✕)正しい知識
都道府県知事の許可を受けた建設業者は、その都道府県の区域内でのみ工事を施工できる許可の区分は営業所の所在地で決まる。施工できる区域に制限はない(全国で施工可)
請負代金の額が4,500万円以上の工事を請け負う場合は、特定建設業の許可が必要である判定するのは元請として下請に出す金額(合計)。4,500万円以上(建築一式7,000万円以上)
建設業の許可の有効期間は3年である5年。更新を受けなければ効力を失う
建設業者は、許可を受けた業種以外の建設工事は、附帯工事であっても請け負うことができない附帯工事は請け負うことができる(第4条)
請負契約の書面は、工事に着手した後、遅滞なく交付すればよい契約の締結に際して(着工前に)署名または記名押印して相互に交付する(第19条)
公共工事でも、発注者の書面による承諾があれば一括下請負に付すことができる公共工事および民間の共同住宅の新築工事は、承諾があっても一括下請負は全面禁止(第22条)
元請負人は、下請負人から工事完成の通知を受けた日から1か月以内に検査を完了しなければならない20日以内で、かつできる限り短い期間内(第24条の4)
特定建設業者は、下請代金を、下請負人からの引渡し申出日から1か月以内に支払わなければならない50日以内のできる限り短い期間内(第24条の6)
元請負人は、前払金の支払を受けたときは、下請負人に対して前払金を支払わなければならない支払うよう適切な配慮をしなければならない(配慮義務であって支払義務ではない)
下請負人であっても、下請金額が4,500万円以上なら監理技術者を置く監理技術者を置くのは発注者から直接請け負った元請のみ。下請は金額にかかわらず主任技術者
主任技術者・監理技術者の職務には、請負代金の管理(原価管理)が含まれる職務は施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理、施工従事者の技術上の指導監督
公共性のある工作物に関する重要な工事で、請負代金が4,500万円以上のものは、技術者を専任としなければならない専任は請負代金4,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)。4,500万円は監理技術者を置く下請金額
監理技術者補佐を配置すれば、監理技術者は3つ以上の現場を兼務できる兼務できるのは2つの現場まで(特例監理技術者)
主任技術者は、発注者から請求があったときは資格者証を提示しなければならない資格者証の制度があるのは監理技術者のみ
公共工事では、施工体制台帳は発注者から請求があったときに閲覧に供すればよい公共工事は写しを発注者に提出する。閲覧に供するのは民間工事
施工体制台帳には、一次下請負人について記載すればよい二次以下を含むすべての下請負人について記載する
予定価格が5,000万円以上の工事の見積期間は、10日以上である15日以上。500万円未満=1日以上、500万〜5,000万円未満=10日以上(第20条)
不当に低い請負代金の禁止は、請負人に対する規制である注文者(発注者・元請)に対する規制(第19条の3)
注文者は、請負契約の締結前に資材の購入先を指定してはならない禁止されるのは契約締結後に取引上の地位を不当に利用して購入強制すること(第19条の4)
軽微な建設工事とは、請負代金の額が1,500万円未満の工事をいう建築一式以外は500万円未満。1,500万円未満は建築一式工事の場合(ほかに木造住宅で延べ150㎡未満)

10章末チェック ― 一問一答10問

答えを隠して○×で解き、そのあと解説を読んでください。金額の問題は、必ず「何の金額か」まで言えるようにしましょう。

  1. 2以上の都道府県の区域内に営業所を設けて建設業を営もうとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
    答: ○ ― 大臣許可・知事許可の区分は営業所の所在地で決まります。施工できる区域には制限がなく、知事許可の業者も全国で施工できます。
  2. 発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、下請契約の請負代金の総額が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)となる場合、監理技術者を置かなければならない。
    答: ○ ― 監理技術者を置くのは元請で、判断基準は下請に出す金額の合計です。下請負人は金額にかかわらず主任技術者を置きます。
  3. 公共性のある工作物に関する重要な建設工事で、請負代金の額が4,500万円以上のものについては、主任技術者または監理技術者を専任としなければならない。
    答: ✕ ― 専任が必要になるのは請負代金4,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)です。4,500万円は監理技術者を置くべき下請金額のほうで、混同を狙った定番のひっかけです。
  4. 公共工事を請け負った建設業者は、あらかじめ発注者の書面による承諾を得れば、その工事を一括して下請負人に請け負わせることができる。
    答: ✕公共工事および民間の共同住宅の新築工事は、発注者の承諾があっても一括下請負が全面禁止です(第22条)。承諾で可能になるのは、それ以外の民間工事だけです。
  5. 元請負人は、下請負人からその請け負った建設工事が完成した旨の通知を受けたときは、通知を受けた日から20日以内で、かつ、できる限り短い期間内に検査を完了しなければならない。
    答: ○ ― 第24条の4のとおり。検査後、下請負人から申出があれば直ちに引渡しを受けます。
  6. 元請負人は、注文者から出来形部分に対する支払を受けたときは、その支払を受けた日から50日以内に、下請負人に相応する下請代金を支払わなければならない。
    答: ✕ ― 注文者から支払を受けたときは1か月以内で、かつできる限り短い期間内に支払います(第24条の3)。50日以内は、特定建設業者が下請負人からの引渡し申出日から支払期日までに設けられる上限です(第24条の6)。
  7. 建設業の許可は5年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって効力を失う。
    答: ○ ― 有効期間は5年です。「3年」「10年」に書き換えるひっかけに注意しましょう。
  8. 主任技術者および監理技術者の職務には、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理および施工に従事する者の技術上の指導監督が含まれる。
    答: ○ ― 第26条の4のとおり。原価管理や請負代金の変更交渉は含まれません。工事現場の施工に従事する者は、技術者の指導に従う義務があります。
  9. 公共工事において、施工体制台帳を作成した建設業者は、発注者から請求があったときにこれを閲覧に供すればよい。
    答: ✕ ― 公共工事では、請求の有無にかかわらず施工体制台帳の写しを発注者に提出しなければなりません(入契法第15条)。また、公共工事では下請契約を締結すれば金額を問わず台帳の作成が必要です。
  10. 建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない。
    答: ○ ― 第18条「建設工事の請負契約の原則」です。この条文があるからこそ、不当に低い請負代金の禁止(第19条の3)や著しく短い工期の禁止(第19条の5)といった具体的な規制が導かれます。
建設業法で覚えるべき数字を最後に一覧化します。許可不要=500万円未満(建築一式1,500万円未満/木造住宅150㎡未満)/許可の有効期間=5年/特定建設業・監理技術者=下請4,500万円以上(建築一式7,000万円以上)/専任=請負4,000万円以上(建築一式8,000万円以上)/見積期間=1日・10日・15日/検査20日・支払50日・注文者からの支払後1か月/帳簿・台帳の保存5年(住宅新築は10年)。試験直前はこの1行を見返せば十分です。

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