【1級土木施工管理技士】道路関係法令を徹底攻略!占用許可・車両制限令・道路使用許可のすべて

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1級土木施工管理技士 第一次検定対策

「道路関係法令」を徹底攻略!
占用許可・車両制限令・道路使用許可を1本で押さえる

最終更新: 2026.07.12 | 分野: 法規

1級土木施工管理技士の第一次検定では、「法規」から例年12問が出題され、そのうち8問を選択解答します。全問を解く必要がないぶん、「この法令なら絶対に落とさない」という得点源をいくつ作れるかが勝負です。その有力候補が道路関係法令です。

道路関係法令からは、毎年1問が安定して出題されます。しかも、出題される論点は① 道路の占用許可(道路法第32条)、② 道路管理者以外の者が行う工事(第24条承認工事)、③ 道路の掘削・埋戻しなど工事の方法(道路法施行令)、④ 車両制限令の一般的制限値(幅2.5m・長さ12m・高さ3.8m・総重量20t…)、⑤ 道路使用許可(道路交通法第77条)との二重許可、の5つにほぼ固定されています。過去問の焼き直しが極めて多く、数字を覚えるだけで1点取れるコストパフォーマンス抜群の分野です。

逆にいえば、落とし穴もはっきりしています。最大の混乱ポイントは「誰に許可をもらうのか」。道路法は道路管理者、道路交通法は警察署長――この2つがごちゃまぜになる選択肢が毎年のように仕込まれています。この記事では、条文の趣旨から数値、そして「誰に・何を・いつ」までを図と表で整理します。ひっかけ総まとめと一問一答10問まで通して読めば、道路関係法令の1問は確実に拾えます。

1道路法の目的と道路の種類 ―「4種類+道路管理者」

1-1 道路法の目的(第1条)

道路法の目的は、道路網の整備を図るため、道路に関して、路線の指定および認定、管理、構造、保全、費用の負担区分等に関する事項を定め、もつて交通の発達に寄与し、公共の福祉を増進することです。

ここで大切なのは、道路法が守ろうとしているのが「道路そのものの構造」と「一般交通」だという点です。道路はみんなが自由に通行するための公共物ですから、そこに電柱を立てたり、管を埋めたり、掘り返したりする行為は、本来は道路の目的外の使用です。だからこそ「許可」が要る――この発想が分かっていれば、占用許可も承認工事も、条文を暗記せずに解けるようになります。

道路(道路法上の道路)
一般交通の用に供する道で、次の4種類をいいます。トンネル、橋、渡船施設、道路用エレベーター等の道路と一体となってその効用を全うする施設・工作物、および道路の附属物も道路に含まれます。私道・農道・林道・港湾道路は道路法上の道路ではありません
道路の附属物
道路の構造の保全、安全かつ円滑な道路の交通の確保、その他道路の管理上必要な施設・工作物。道路標識、道路情報管理施設、道路案内標識、さく・駒止、街灯、並木、防雪林、自動車駐車場・自転車駐車場、共同溝などが該当します。
道路管理者
道路の管理を行う者。道路の種類ごとに決まっています(下表)。占用許可・承認工事の許可・特殊車両通行許可を出すのは、すべてこの道路管理者です。

1-2 道路の4種類と管理者

道路の種類路線の指定・認定道路管理者(原則)
高速自動車国道国土交通大臣が路線を指定国土交通大臣(実際の管理は高速道路会社に行わせる)
一般国道政令で路線を指定国土交通大臣(指定区間)/都道府県知事・指定市の市長(指定区間外)
都道府県道都道府県知事が路線を認定都道府県(知事)
市町村道市町村長が路線を認定市町村(市町村長)
道路は「高速自動車国道・一般国道・都道府県道・市町村道」の4種類だけ。「高・国・県・市」と唱えて覚えます。私道・農道・林道は道路法上の道路ではありません。この4種類以外を混ぜてくる選択肢は即座に✕にできます。
「道路法上の道路には、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道のほか、農道および林道が含まれる」→ 農道・林道・私道は道路法の道路ではありません(農道は土地改良法、林道は森林法に基づく施設)。

2道路の占用許可(第32条)―「土木で最頻出」

2-1 占用とは何か

道路法第32条は、道路に一定の工作物・物件・施設を設けて、継続して道路を使用しようとする場合は、道路管理者の許可を受けなければならないと定めています。これが道路の占用許可です。

道路の占用
道路に工作物・物件・施設を設けて、継続して道路を使用すること。「継続して」「物を設けて」の2つが要件です。許可権者は道路管理者(警察署長ではありません)。

占用の対象となる物件は、条文にずらりと列挙されています。土木の試験で問われるのは次のとおりです。

占用物件(第32条第1項)
1号電柱、電線、変圧塔、郵便差出箱、公衆電話所、広告塔 その他これらに類する工作物
2号水管、下水道管、ガス管 その他これらに類する物件
3号鉄道、軌道、自動運行補助施設 その他これらに類する施設
4号歩廊、雪よけ その他これらに類する施設
5号地下街、地下室、通路、浄化槽 その他これらに類する施設
6号露店、商品置場 その他これらに類する施設
7号前各号に掲げるものを除くほか、道路の構造または交通に支障を及ぼすおそれのある工事用板囲、足場、詰所その他の工事用施設および土石、竹木、瓦その他の工事用材料

土木施工管理の受験生にとって決定的に重要なのは7号です。工事のために道路上に置く工事用板囲・足場・詰所(現場事務所)・工事用材料の仮置きは、すべて占用許可の対象になります。「うちは道路に何も埋めないから占用許可は不要」ではないのです。

占用許可が要るものの覚え方:「上に立てる(電柱・看板)/下に埋める(水道管・ガス管・下水道管)/道路上に置く(足場・板囲い・詰所・材料)」。この3パターンはすべて占用許可の対象です。共通するキーワードは「継続して」。一瞬通り過ぎるだけの行為は占用にはあたりません。

2-2 占用許可の申請事項(第32条第2項)

占用許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を道路管理者に提出しなければなりません。この7項目はそのまま選択肢になります。

申請書の記載事項
道路の占用の目的
道路の占用の期間
道路の占用の場所
工作物、物件または施設の構造
工事実施の方法
工事の時期
道路の復旧方法
申請事項は「目的・期間・場所・構造・方法・時期・復旧」の7つ。「モク・キ・バ・コウ・ホウ・ジ・フク」とリズムで唱えると入ります。とくに「道路の復旧方法」が抜けている選択肢や、「工事に要する費用」「請負業者の商号」など条文にない項目を混ぜた選択肢が定番です。

また、占用の場所が道路の敷地外に余地がなく、やむを得ない場合には、占用の許可基準が緩和されます(第33条)。逆にいえば、道路の敷地外に余地があれば、そちらに置くのが原則ということです。

「道路の占用の許可を受けようとする者は、所轄警察署長に申請書を提出しなければならない」→ 。占用許可の申請先は道路管理者です。警察署長に出すのは道路使用許可(道路交通法第77条)のほう。この入れ替えは毎年のように出ます

2-3 占用許可の変更・その他の手続

場面手続
占用の場所・期間・構造・工事方法などを変更しようとするときあらためて道路管理者の許可を受ける(第32条4項)
占用工事を完了したとき道路管理者にその旨を通知(届出)し、道路管理者の検査を受ける
占用期間が満了したとき/占用を廃止したとき工作物・物件・施設を除却し、道路を原状に回復しなければならない(第40条)。ただし原状回復が不適当な場合は道路管理者の承認を受けて別の措置
非常災害による復旧工事等で緊急を要する場合あらかじめ道路管理者に申し出ることで、許可を受けずに占用できる(第35条の2等の特例)。ただし事後の届出は必要
占用料道路管理者は、占用者から占用料を徴収することができる(国・地方公共団体等は免除される場合あり)

なお、国の機関または地方公共団体が道路を占用しようとする場合は、許可ではなくあらかじめ道路管理者に協議し、その同意を得ることで足ります(第35条)。ここも「許可を受けなければならない」と書いた選択肢が✕になるポイントです。

3占用許可の基準と工事の実施方法(施行令)

3-1 占用の場所に関する基準

道路法施行令には、占用物件を置いてよい場所の基準が細かく定められています。基本的な考え方は「道路の交通に支障を与えず、将来の道路工事の妨げにならない場所に置け」です。

占用物件場所の基準(原則)
電柱・電線・水道管・ガス管・下水道管など原則として歩道の地下・地上。歩道がない場合は車道以外の道路の部分。やむを得ない場合に限り車道に設ける
地下に設ける管類の埋設深さ原則として、車道部では路面から管の頂部まで1.2m(工事実施上やむを得ない場合は0.6m)以下としない歩道部では0.5m(同0.3m)以下としない(電線・水管・ガス管等の類型により基準が異なる)
工事用施設・材料(板囲い・足場・詰所)道路の構造または交通に支障を及ぼさない場所とし、交通に必要な幅員を確保する
埋設深さの原則は「車道は1.2m、歩道は0.5m」。「浅く埋めると重い車の輪荷重で管が壊れる/将来の切削オーバーレイで傷つく」から深くする、と理由とセットで覚えると忘れません。

3-2 工事実施方法の基準(施行令第13条)

占用工事を行うときの施工方法にも、政令で明確な基準があります。ここは第一次検定で最も頻繁に問われるパートです。

項目基準
掘削の方法溝掘り、つぼ掘りまたは推進工法等とし、えぐり掘り(アンダーカット)をしてはならない
沿道の建物・工作物への配慮湧水・汚水を路面に排出しないよう措置し、道路の排水を妨げないこと
土砂の飛散防止掘削土砂の流出、飛散を防ぐ措置を講ずる
覆工(ふっこう)道路の交通に支障を及ぼすおそれのある掘削部分には、原則として道路の交通を確保するための覆工を行う
埋戻し掘削面積を最小限度にとどめ、埋戻しは、掘削した土砂を用いて厚さ30cm以下の層ごとに行い、各層ごとに十分に締め固める
仮復旧原則として、当日の作業完了後(その日の工事終了後)に仮復旧を行い、一般交通に供する
保安施設工事現場には、さく・覆い・道路標識・保安灯等を設け、夜間においても交通の危険を防止する。工事責任者の氏名等を記載した標示板を掲示する
道路標識等の移設道路標識・区画線・道路の附属物を撤去・移設する必要がある場合は、あらかじめ道路管理者の指示を受ける
えぐり掘り(アンダーカット)
地表付近を残したまま、その下側だけを横に掘り進める掘り方。上部が庇(ひさし)状に残るため、崩落の危険が極めて高く、政令で明確に禁止されています。
覆工(ふっこう)
掘削した部分に覆工板(鋼製のふた)を架け渡して、その上を車や人が通れるようにすること。道路の交通を止めずに地下工事を進めるための手法です。
仮復旧・本復旧
仮復旧は、その日の工事が終わった時点で、通行できる状態に一時的に舗装を戻すこと。本復旧は、埋戻し土の沈下が落ち着いてから行う正式な舗装復旧。仮復旧の状態でも、路面の平坦性を確保して段差をつくらないのが原則です。
「埋戻しは、掘削した土砂を用いて厚さ50cm以下の層ごとに行い、各層ごとに締め固める」→ 。正しくは30cm以下の層ごとです。「50cm」「1m」に書き換えるのが定番。「サンジュウ・ソウ・シメカタメ」と唱えましょう。
「掘削は、埋設物の位置が不明な場合には、えぐり掘りにより周辺の地盤を残しながら慎重に行う」→ えぐり掘りは政令で禁止されています。掘削は溝掘り・つぼ掘り・推進工法で行います。

4道路の掘削・埋戻し・仮復旧 ―「30cm以下の層ごと」

4-1 一日の工事が終わったら仮復旧

道路占用工事の大原則は、「その日の工事が終わったら、道路を通行できる状態に戻す」ことです。道路は市民の生活基盤ですから、何日も掘りっぱなしにしておくことは許されません。

  • やむを得ない理由により、工事をその日のうちに完了できない場合は、仮復旧を行って一般交通に供する
  • 仮復旧の路面は、周囲の路面と段差を生じないよう平坦に仕上げる
  • 掘削部分に埋設物があるときは、その保安に必要な措置を講じる(吊り防護・受け防護など)
  • 掘削部分に近接して水道管、下水道管、ガス管、電気・電話ケーブル等の埋設物があると認められるときは、道路管理者およびその埋設物の管理者と協議し、立会いを求める

4-2 道路標識・保安施設

工事現場には、交通の危険を防止するための保安施設を必ず設けます。夜間・悪天候でも視認できることが要件です。

保安施設役割・基準
さく(バリケード)・囲い工事区域と一般交通を物理的に分離する
保安灯・回転灯夜間の視認性を確保する。夜間は赤色または黄色の灯火を用いる
道路標識・道路標示・区画線迂回・徐行・幅員減少などを予告する。工事のために既存の標識・区画線を撤去・移設する必要がある場合は、あらかじめ道路管理者の指示を受ける
工事標示板工事の内容、期間、工事責任者の氏名・連絡先、道路管理者名などを表示する
交通誘導警備員片側交互通行や車両の出入りを安全に誘導する

4-3 本復旧(舗装復旧)

埋戻しが終わって沈下が落ち着いたら、本復旧として舗装をやり直します。復旧の範囲や構成(表層・基層・路盤の厚さ)は、道路管理者が定める復旧基準に従います。占用者は、道路管理者の承認を受けて自ら復旧するか、道路管理者に復旧を行わせて費用を負担するかのいずれかとなります。

占用工事の流れ:①占用許可(道路管理者)+道路使用許可(警察署長)→ ②掘削(えぐり掘り禁止)→ ③埋設 → ④埋戻し(30cm以下の層ごと締固め)→ ⑤その日のうちに仮復旧 → ⑥本復旧 → ⑦完了の届出・検査。この一連の流れを頭に入れておけば、順序を入れ替えたひっかけにも対応できます。

5道路管理者以外の者の行う工事(第24条承認工事)

道路法第24条は、道路管理者以外の者は、道路管理者の承認を受けなければ、道路に関する工事または道路の維持を行ってはならないと定めています。これを承認工事(24条工事)といいます。

承認工事(道路法第24条)
道路管理者以外の者が、道路そのものを造ったり改築したりする工事を行うこと。道路管理者の承認が必要です。
具体例:沿道の商業施設が来客用に歩道を切り下げて乗入口をつくる工事、開発事業者が交差点に右折レーンを増設する工事道路の拡幅・法面保護工事など。
占用許可(第32条)との違い:占用は「道路に自分の物を置いて使う」、承認工事は「道路そのものを造り替える」。物件を置くのが占用、道路の構造をいじるのが承認工事です。
比較項目占用許可(第32条)承認工事(第24条)
行為の中身道路に物件を設けて継続使用する道路に関する工事・維持を道路管理者以外の者が行う
手続道路管理者の許可道路管理者の承認
電柱、水道管、ガス管、足場、板囲い、工事用材料の仮置き歩道の切下げ、乗入口の設置、右折レーンの増設、道路の拡幅
費用占用料を徴収されることがある工事費用は原則としてその工事を行う者の負担
許可」は占用(32条)、「承認」は工事(24条)。用語がきれいに使い分けられているので、「オクは許可、コウジは承認」で覚えます。なお、どちらも相手は道路管理者です。
「歩道の切下げ工事(乗入口の設置)を行う場合は、道路管理者の占用許可を受けなければならない」→ 。歩道の切下げは道路の構造を変える工事なので、第24条の承認です(占用ではありません)。

6車両制限令 ―「一般的制限値」を丸暗記する

6-1 車両制限令とは

車両制限令は、道路法第47条に基づく政令で、道路の構造を保全し、交通の危険を防止するため、道路を通行できる車両の大きさ・重さの限度を定めています。これを一般的制限値といいます。

一般的制限値
車両制限令が定める、道路を自由に通行できる車両の大きさ・重さの上限1つでも超えると「特殊車両」となり、道路管理者の特殊車両通行許可が必要になります。
軸重(じくじゅう)・輪荷重(りんかじゅう)
軸重=1本の車軸にかかる荷重(左右のタイヤの合計)。輪荷重=1つの車輪にかかる荷重。軸重10t、輪荷重5tと覚えれば、軸重=輪荷重×2の関係が自然に理解できます。舗装や橋の設計はこの軸重を基準にしています。

6-2 一般的制限値の一覧【最重要・丸暗記】

項目一般的制限値備考
2.5 m
長さ12.0 mセミトレーラ連結車・フルトレーラ連結車は別途の基準(最大16.5m/18m等)
高さ3.8 m
高さ指定道路では4.1 m
高さ指定道路=道路管理者が指定した、4.1mまで通行可能な道路
総重量20 t
重さ指定道路では25 t
高速自動車国道・重さ指定道路では最大25t(車両の長さ・軸距に応じる)
軸重10 t1本の車軸にかかる重さ
輪荷重5 t1つの車輪にかかる重さ
隣接軸重隣り合う車軸の軸距により18 t または 20 t軸距1.8m未満は18t、1.8m以上は20t(一定条件で20t)
最小回転半径12.0 m車両の最外側のわだちについて測定する
車両制限令の一般的制限値(丸暗記の対象) 路面 総重量 20 t 高さ 3.8 m 長さ 12.0 m 軸重 10 t / 輪荷重 5 t その他 幅 2.5 m 最小回転半径 12.0 m 高さ指定道路 → 4.1 m 重さ指定道路 → 25 t
図1 車両制限令の一般的制限値(幅2.5m・長さ12m・高さ3.8m・総重量20t・軸重10t・輪荷重5t・最小回転半径12m)
一般的制限値の語呂は「ニコ(2.5)・ジュウニ(12)・サンパチ(3.8)・ニジュウ(20)・ジュウ(10)・ゴ(5)・ジュウニ(12)」
2.5/長さ12/高さ3.8/総重量20/軸重10/輪荷重5/最小回転半径12
そして指定道路の緩和は2つだけ:高さ指定道路=4.1m、重さ指定道路=25t。この2つは指定を受けた道路でしか使えません
「車両の高さの一般的制限値は、4.1mである」→ 。原則は3.8mです。4.1mは高さ指定道路の場合。「原則」と「指定道路」を入れ替えるのが定番のワナです。
「車両の輪荷重の一般的制限値は10tである」→ 輪荷重は5t、軸重が10tです。「輪(1つ)=5t、軸(2輪)=10t」とセットで押さえます。

7特殊車両通行許可と制限外積載許可 ―「許可権者の違い」

7-1 特殊車両通行許可(道路法第47条の2)

一般的制限値を1つでも超える車両特殊車両となり、そのままでは道路を通行できません。ただし、道路管理者が、道路の構造を保全し交通の危険を防止する上でやむを得ないと認めるときは、必要な条件を付して通行を許可できます。

特殊車両通行許可
一般的制限値を超える車両(大型建設機械の輸送、長尺の橋桁・鋼材の運搬など)が道路を通行するための許可。
・許可権者:道路管理者警察署長ではありません
・通行する道路が2以上の道路管理者にまたがる場合は、いずれか1つの道路管理者に申請すれば足りる(一括申請)
・許可を受けた者は、通行時に許可証を車両に備え付けなければならない
・道路管理者は、通行の時間・経路・道路の補強、誘導車の配置等の条件を付すことができる

7-2 制限外積載許可(道路交通法第57条)

一方、積載物の重量・大きさ・積載方法の制限を超えて積載する場合は、道路交通法の世界です。この許可を出すのは出発地を管轄する警察署長です。

許可の名称根拠法許可権者対象
特殊車両通行許可道路法 第47条の2道路管理者一般的制限値(幅2.5m・長さ12m・高さ3.8m・総重量20t等)を超える車両の通行
制限外積載許可道路交通法 第57条出発地を管轄する警察署長積載物の重量・大きさ・積載方法の制限を超える積載
道路使用許可道路交通法 第77条所轄警察署長道路における工事・作業・工作物の設置
道路占用許可道路法 第32条道路管理者道路に物件を設けて継続して使用すること
許可権者の切り分けは「道路法=道路管理者、道路交通法=警察署長」法律名から許可権者が一発で分かるのがミソです。ただし例外的に、制限外積載許可だけは「出発地を管轄する警察署長」という点に注意。通行する道路の途中を管轄する署でも、目的地の署でもありません。

7-3 積載の制限(道路交通法第57条・施行令)

普通に走行する場合の、積載物の大きさの上限も出題されます。

項目積載の制限(自動車の場合)
長さ自動車の長さにその長さの10分の2(=1.2倍)を加えた長さを超えないこと
自動車の幅にその幅の10分の2(=1.2倍)を加えた幅を超えないこと
高さ3.8 m(高さ指定道路を通行する場合は4.1m)から、その自動車の積載をする場所の高さを減じたもの
はみ出し(積載方法)長さは自動車の前後から車体の長さの10分の1まで、幅は左右から車体の幅の10分の1まで、はみ出してよい
積載制限は「長さも幅も 1.2倍(10分の2増し)まで、高さは地面から3.8m」。高さは「荷物の高さ」ではなく「地面から荷物の頂部まで」である点に注意。荷台の高さがある車ほど、積める荷物の高さは小さくなります。

7-4 過積載の禁止と使用者責任

道路交通法では、過積載を厳しく規制しています。責任を負うのは運転者だけではありません。

  • 運転者:過積載をして車両を運転してはならない(第57条)
  • 車両の使用者(会社):運転者に過積載運転を命じ、または容認してはならない。警察署長は、使用者に対し過積載の再発防止措置を命ずる(使用者に対する指示)ことができる(第58条の5)
  • 荷主荷主が過積載を要求(下命・容認)した場合、警察署長は荷主に対し再発防止を命ずることができる(第58条の5第2項)
  • 警察官は、過積載の車両の運転者に対し、積載物の重量を測定するために必要な措置を命じ、応急の措置(積載物の一部を下ろすなど)を命ずることができる(第58条の2・第58条の3)
「過積載の責任を問われるのは運転者のみであり、車両の使用者や荷主が責任を問われることはない」→ 使用者(会社)・荷主も規制の対象です。警察署長は使用者や荷主に対して再発防止措置を命ずることができます。

8道路交通法との関係 ―「道路使用許可」との二重許可

8-1 道路使用許可(道路交通法第77条)

道路交通法第77条は、次の行為をしようとする者は所轄警察署長の許可を受けなければならないとしています。

道路使用許可が必要な行為
1号道路において工事もしくは作業をしようとする者、またはその請負人
2号道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者
3号場所を移動しないで、道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする者
4号道路において祭礼行事、ロケーション等をしようとする者で、公安委員会が定めるもの
道路使用許可
道路交通法第77条に基づき、道路上で工事・作業・工作物の設置等を行うために、所轄警察署長から受ける許可。目的は交通の安全と円滑の確保です。
道路占用許可との違い:占用許可(道路法)は「道路という財産の目的外使用」を管理者が認めるもの、道路使用許可(道路交通法)は「交通への支障」を警察が審査するもの。目的が違うので、両方必要になります

8-2 二重許可の関係 ―「両方いる」

道路を掘削してガス管を埋める工事を考えてみましょう。この工事には、

  • 道路法第32条の占用許可(=道路にガス管という物件を設けて継続して使う)
  • 道路交通法第77条の道路使用許可(=道路上で工事という作業をする)

両方が必要です。目的も根拠法も許可権者も違うので、どちらか一方で足りるということはありません

ただし、手続を簡略化するしくみがあります。道路占用許可の申請書を道路管理者に提出する際に、あわせて道路使用許可の申請書を提出することができ、道路管理者がこれを警察署長に送付してくれるのです(道路法第32条第4項ほか)。逆に、道路使用許可の申請書を警察署長に提出する際に、占用許可の申請書を併せて提出し、警察署長から道路管理者に送付してもらうこともできます(道路交通法第78条第2項)。これは「窓口を1つにできる」という話であって、許可が1つで済むという話ではありません。

道路工事に必要な「二重の許可」 道路を掘削して ガス管を埋設する工事 ① 道路占用許可 道路法 第32条 道路管理者 目的:道路という財産の管理 ② 道路使用許可 道路交通法 第77条 所轄警察署長 目的:交通の安全と円滑 → 両方とも必要(どちらか一方では足りない)
図2 道路占用許可(道路管理者)と道路使用許可(警察署長)の二重許可
「道路法の占用許可を受けていれば、道路交通法の道路使用許可を受ける必要はない」→ 両方必要です。根拠法・目的・許可権者がすべて異なります。「一方の申請書をもう一方の窓口に出せる(経由できる)」という手続の簡略化を、「片方で足りる」とすり替えるのが典型的なワナです。

8-3 その他の道路交通法の論点

項目内容
道路使用許可の条件警察署長は、許可に道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るために必要な条件を付すことができる。条件に違反した場合は許可の取消し・条件の変更がありうる
工事等の届出(第80条)道路管理者が道路に関する工事を行おうとするときは、あらかじめ所轄警察署長に通知しなければならない(道路管理者自身が行う工事は「許可」ではなく「通知」)
交通規制信号機・道路標識等による交通規制は都道府県公安委員会が行う(警察署長ではない)
沿道区域(道路法第44条)道路管理者は、道路の構造に及ぼすべき損害を防止するため、道路の区域外の一定の区域を沿道区域として指定できる(道路の境界から20mを超えない範囲)。沿道区域内の土地・工作物の管理者は、損害を防止する義務を負う
「道路管理者やる工事」なら警察署長への通知、「道路管理者以外がやる工事」なら警察署長の許可。役所どうしは「通知」で足り、民間は「許可」を要する――役所と民間の非対称性が、道路関係法令の随所に出てきます(占用も、国・地方公共団体は「協議・同意」で足りましたね)。

9頻出ひっかけ総まとめ

過去問で実際に「✕の選択肢」として出された文章です。すべて誤り。右列を隠して、どこが違うかを説明できるようにしてください。

ひっかけ文(すべて ✕)正しい知識
道路の占用許可の申請書は、所轄警察署長に提出する占用許可(道路法第32条)の申請先は道路管理者。警察署長は道路使用許可(道路交通法第77条)
道路占用許可を受けていれば、道路使用許可は不要である両方必要。根拠法・目的・許可権者がすべて異なる(片方の窓口で申請書を経由できるだけ)
占用許可の申請書には、占用の目的・期間・場所・物件の構造を記載すればよく、道路の復旧方法は記載不要である記載事項は目的・期間・場所・構造・工事実施の方法・工事の時期・道路の復旧方法の7つ
道路の掘削は、埋設物を傷つけないようえぐり掘りで慎重に行うえぐり掘りは政令で禁止溝掘り・つぼ掘り・推進工法による
埋戻しは、掘削した土砂を用いて厚さ50cm以下の層ごとに締め固める30cm以下の層ごとに、各層ごとに十分に締め固める
掘削工事は、工事が完了するまで掘削したまま放置し、工事完了後に一括して復旧すればよい原則としてその日の工事終了後に仮復旧を行い、一般交通に供する
歩道の切下げ工事を行う場合は、道路管理者の占用許可を受ける道路の構造を変える工事なので、道路法第24条の承認(承認工事)
車両の高さの一般的制限値は4.1mである原則3.8m。4.1mは高さ指定道路を通行する場合
車両の輪荷重の一般的制限値は10tである輪荷重は5t軸重が10t
車両の総重量の一般的制限値は、すべての道路で25tである原則20t。25tは高速自動車国道・重さ指定道路の場合
車両の最小回転半径の一般的制限値は10mである12m(車両の最外側のわだちについて測定)
特殊車両の通行許可は、警察署長が行う特殊車両通行許可(道路法第47条の2)は道路管理者。警察署長は制限外積載許可(道路交通法第57条)
制限外積載の許可は、到着地を管轄する警察署長に申請する出発地を管轄する警察署長
通行する道路が2以上の道路管理者にまたがる場合、それぞれの道路管理者から個別に特殊車両通行許可を受けるいずれか1つの道路管理者に申請すれば足りる(一括申請)
過積載の責任を問われるのは運転者のみである車両の使用者(会社)・荷主も規制の対象。警察署長は再発防止措置を命ずることができる
道路法上の道路には、農道・林道が含まれる道路は高速自動車国道・一般国道・都道府県道・市町村道の4種類のみ
工事用の板囲い・足場・材料置場を道路上に設ける場合、占用許可は不要であるこれらは第32条第1項7号の占用物件占用許可が必要
占用期間が満了したときは、物件をそのまま残しておいてよい占用者は物件を除却し、道路を原状に回復しなければならない(第40条)

10章末チェック ― 一問一答10問

答えを隠して○×で解き、そのあと解説を読んでください。「誰に許可をもらうのか」と「数値」の2点を、必ず言えるようにしましょう。

  1. 道路に電柱、水管、ガス管、下水道管を設けて継続して道路を使用しようとする者は、道路管理者の許可を受けなければならない。
    答: ○ ― 道路法第32条の占用許可です。許可権者は道路管理者。警察署長ではありません。
  2. 道路の占用の許可を受けようとする者が道路管理者に提出する申請書には、道路の占用の目的、期間、場所、工作物等の構造、工事実施の方法、工事の時期、道路の復旧方法を記載しなければならない。
    答: ○ ― この7項目がそのまま条文です。とくに「道路の復旧方法」を落とした選択肢がよく出るので、必ずセットで覚えましょう。
  3. 道路を掘削する場合、埋戻しは掘削した土砂を用いて、厚さ50cm以下の層ごとに行い、各層ごとに十分に締め固めなければならない。
    答: ✕ ― 正しくは30cm以下の層ごとです。50cmや1mに書き換えるひっかけが定番。また、掘削の方法は溝掘り・つぼ掘り・推進工法とし、えぐり掘りは禁止されています。
  4. 道路占用工事において、やむを得ない理由により工事を当日中に完了できない場合は、工事が完了するまでの間、掘削部分をそのまま囲っておけばよい。
    答: ✕ ― 原則としてその日の工事終了後に仮復旧を行い、一般交通に供する必要があります。仮復旧の路面は周囲と段差を生じないよう平坦に仕上げます。
  5. 道路管理者以外の者が、沿道の店舗の乗入口をつくるために歩道を切り下げる工事を行おうとする場合は、道路管理者の承認を受けなければならない。
    答: ○ ― 道路法第24条の承認工事です。道路の構造そのものを造り替える行為なので、占用許可(32条)ではなく承認となります。
  6. 車両制限令が定める車両の幅の一般的制限値は2.5m、長さは12m、高さは3.8mである。
    答: ○ ― 加えて総重量20t、軸重10t、輪荷重5t、最小回転半径12m。高さは高さ指定道路では4.1m、総重量は重さ指定道路・高速自動車国道では25tまで緩和されます。
  7. 一般的制限値を超える特殊な車両を通行させようとする者は、あらかじめ出発地を管轄する警察署長の許可を受けなければならない。
    答: ✕特殊車両通行許可を出すのは道路管理者(道路法第47条の2)です。「出発地を管轄する警察署長」は制限外積載許可(道路交通法第57条)の許可権者。2つの許可を入れ替えた、最頻出のひっかけです。
  8. 道路上で工事を行おうとする者は、道路管理者から道路占用許可を受けていれば、所轄警察署長の道路使用許可を受ける必要はない。
    答: ✕両方必要です。占用許可(道路法・道路管理者)は道路という財産の管理、道路使用許可(道路交通法・警察署長)は交通の安全と円滑を目的としており、審査する内容が違います。ただし、一方の窓口に両方の申請書を出して経由してもらうことはできます。
  9. 自動車の積載物の長さは、自動車の長さにその長さの10分の2を加えた長さを超えてはならない。
    答: ○長さ・幅ともに1.2倍まで(10分の2増し)。高さは地上から3.8m(高さ指定道路は4.1m)から積載場所の高さを引いた値までです。これを超える場合は出発地を管轄する警察署長の制限外積載許可が必要になります。
  10. 過積載をした車両の運転者に対しては罰則があるが、その車両の使用者や荷主が過積載を要求した場合であっても、使用者・荷主が是正の措置を命ぜられることはない。
    答: ✕使用者・荷主も規制対象です。警察署長は、過積載を下命・容認した使用者に対する指示、および荷主に対する再発防止命令を行うことができます(道路交通法第58条の5)。
道路関係法令の要点を最後に1行で。占用=道路管理者の許可(目的・期間・場所・構造・方法・時期・復旧)/道路工事=24条は承認/掘削はえぐり掘り禁止・埋戻し30cm層・当日仮復旧/一般的制限値=幅2.5・長さ12・高さ3.8(指定4.1)・総重量20t(指定25t)・軸重10t・輪荷重5t・回転半径12m/特殊車両通行許可=道路管理者、制限外積載=出発地の警察署長、道路使用=所轄警察署長。試験直前はこの1行を見返せば十分です。

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