「コンクリート工」を徹底攻略!
材料・配合・打込み・養生・鉄筋型枠のすべて
コンクリート工は、第一次検定の「土木一般」で毎年4問前後、さらに専門土木や施工管理法(品質管理)でも繰り返し登場する、土工と並ぶ二大頻出分野です。第二次検定の学科記述でも「打込み」「養生」「打継目」は定番中の定番。
攻略のコツは土工と同じで、「数字」と「なぜそうするのか(水和反応の理屈)」をセットで覚えること。この記事も専門用語はその場で解説し、点線の用語リンクから用語辞典に飛べます。
1コンクリートの材料 ― セメント・水・骨材・混和材料
コンクリートはセメント+水+細骨材(砂)+粗骨材(砂利)+混和材料でできています。セメントと水が反応して固まる化学反応が水和反応(すいわはんのう)で、コンクリートの強度・発熱・養生のすべてがこの反応に支配されます。
- 水和反応
- セメントが水と化学反応して硬化する反応。反応には時間がかかり、熱(水和熱)を発する。「乾いて固まる」のではなく「水と反応して固まる」― だから固まるまで水を与え続ける(湿潤養生)必要がある。
- 細骨材・粗骨材
- 5mmふるいを85%以上通過する骨材が細骨材(砂)、85%以上とどまる骨材が粗骨材(砂利)。骨材はコンクリート体積の約7割を占める主役。清浄・強硬で粒度分布が良いものが望ましい。
- 混和材料(混和剤・混和材)
- コンクリートの性質を改善するために加える材料。使用量が少なく配合計算で無視できるものを混和剤(AE剤・減水剤など)、量が多く配合計算に算入するものを混和材(フライアッシュ・高炉スラグなど)と呼び分ける。「剤」と「材」の区別はひっかけの定番。
セメントの種類 ― 「早い・普通・ゆっくり」で整理
| セメント | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 普通ポルトランドセメント | 標準。生産量の大半 | 一般の工事全般 |
| 早強ポルトランドセメント | 初期強度が早く出る。水和熱大 | 寒中工事、工期短縮、プレストレスト |
| 中庸熱ポルトランドセメント | 水和熱が小さい | ダムなどのマスコンクリート |
| 高炉セメント(B種) | 初期強度は遅いが長期強度大。化学抵抗性・アルカリシリカ反応抑制に優れる | 海岸・港湾構造物、地中構造物 |
| フライアッシュセメント | ワーカビリティー改善、水和熱小、長期強度大 | マスコンクリート、水中コンクリート |
主な混和剤 ― AE剤はなぜ凍害に強いのか
- AE剤: コンクリート中に微細な独立した空気泡(エントレインドエア)を連行する。①ボールベアリング効果でワーカビリティーが改善し、②泡が水の凍結膨張の逃げ場になるため凍結融解(とうけつゆうかい)に対する抵抗性が向上する。ただし空気量が増えるほど強度は低下(空気量1%増で圧縮強度4〜6%低下が目安)。
- 減水剤・AE減水剤: セメント粒子を分散させ、同じ軟らかさをより少ない水で実現する。単位水量を減らせる=強度・耐久性に有利。
- 高性能AE減水剤: 減水性能をさらに高めたもの。単位水量を大幅に減らせる。
- フライアッシュ(混和材): 火力発電所の副産物。ワーカビリティー改善・水和熱減・長期強度増。
- 膨張材(混和材): 硬化時の収縮を補い、乾燥収縮ひび割れを低減する。
2配合 ― 水セメント比・スランプ・空気量の数字
配合(はいごう)とは、セメント・水・骨材・空気の混ぜる割合を決めること。配合の考え方はただ1つ、「所要の強度・耐久性・ワーカビリティーが得られる範囲で、単位水量をできるだけ少なくする」です。
水セメント比(W/C) ― 配合の王様
水セメント比は、水の質量Wをセメントの質量Cで割った比率(W/C)。この数字がコンクリートの品質をほぼ決めます。
- W/Cが小さい=水が少ない → 強度が高く、密実で耐久性が高い(ただし硬くて施工しにくい)
- W/Cが大きい=水が多い → 施工しやすいが、強度・耐久性が低下し、乾燥収縮も大きい
- 基準値: 一般に65%以下(耐久性からの上限目安)。設計では強度・耐久性など各条件から求めた値のうち最も小さい値を採用する
スランプ ― 軟らかさの数字
スランプは、フレッシュコンクリート(固まる前のコンクリート)の軟らかさを表す値。高さ30cmのスランプコーンにコンクリートを3層に分けて詰め(各層25回突き)、コーンを静かに引き上げた後の頂部の下がり量をcmで表す(0.5cm単位)。
- スランプが大きい=軟らかい(水が多い)、小さい=硬い
- 打込みの最小スランプは作業に適する範囲でできるだけ小さく設定する(水を減らしたいから)
空気量・単位水量の基準値(暗記必須)
| 項目 | 標準値 | 理由 |
|---|---|---|
| 空気量(AEコンクリート) | 4〜7%程度(一般に4.5%を標準) | 凍結融解抵抗性とワーカビリティー |
| 単位水量 | 175kg/m³以下が標準 | 多いほど乾燥収縮・ひび割れ・材料分離 |
| 水セメント比 | 65%以下 | 耐久性の確保 |
| 塩化物イオン総量 | 0.30kg/m³以下 | 鉄筋の腐食防止 |
3フレッシュコンクリートの性質 ― ワーカビリティーとブリーディング
練り混ぜてからまだ固まらない状態のコンクリートをフレッシュコンクリートと呼びます。その性質を表す用語は、意味の違いを問う問題が頻出です。
- ワーカビリティー
- 運搬・打込み・締固め・仕上げなどの「作業のしやすさ」を表す総合的な性質。スランプ試験などで判断する。
- コンシステンシー
- 変形・流動に対する抵抗性、つまり「軟らかさ・硬さ」そのもの。ワーカビリティーより狭い概念。2つの用語を入れ替えるひっかけに注意。
- ブリーディング
- 打込み後、比重の軽い水が分離して表面に上昇してくる現象。ブリーディングが大きいと、水の通り道が欠陥になり、鉄筋下面に空隙ができる。
- レイタンス
- ブリーディングに伴って表面に浮き出て沈殿した微細な脆弱物質の層。強度がほぼ無いため、打継ぎの際は必ず除去する。
- 材料分離
- 粗骨材やモルタルが偏って不均一になること。落下高さが大きい・横流しする・振動をかけすぎると発生する。
4運搬・打込み・締固め ― 時間と数字の規定
コンクリートは時間との勝負。水和反応は練り混ぜた瞬間から始まっており、時間を超えると一体化しない欠陥(コールドジョイント)が生まれます。ここは数字の暗記が得点に直結する最頻出パートです。
時間の規定(最重要)
| 項目 | 外気温25℃以下 | 外気温25℃超 |
|---|---|---|
| 練混ぜから打ち終わりまで | 2.0時間以内 | 1.5時間以内 |
| 許容打重ね時間間隔 | 2.5時間以内 | 2.0時間以内 |
覚え方: 「暑いと短い」(水和反応が速く進むから)。数字は「2.0/1.5」と「2.5/2.0」で、打重ねの方が0.5時間長い。
打込み・締固めのルール
- コンクリートは打込み位置の近くに下ろし、横移動させてはならない(材料分離するから)。バイブレータでの横流しも禁止。
- シュートや吐出口から打込み面までの落下高さは1.5m以下。
- 1層の打込み厚さは40〜50cm以下を標準とする。
- 内部振動機(棒状バイブレータ)は下層のコンクリートに10cm程度挿入し、挿入間隔は50cm以下。引き抜くときは穴が残らないようゆっくり。
- 振動時間の目安は1箇所5〜15秒。かけすぎは材料分離の原因。
- 表面に上がったブリーディング水は取り除いてから上層を打つ。
5打継目とコールドジョイント
コンクリートを2回に分けて打つときの継ぎ目が打継目(うちつぎめ)。計画的につくる打継目と、失敗でできるコールドジョイントは全くの別物です。
- 打継目
- 施工計画上、あらかじめ位置を決めて設ける継ぎ目。できるだけせん断力の小さい位置に設け、部材の圧縮力の作用方向と直角にするのが原則。
- コールドジョイント
- 許容打重ね時間を超えて打ち重ねたために、下層と上層が一体化せずにできてしまう不連続面。強度・水密性・耐久性の欠陥となる。「計画的に設ける打継目」と混同させる問題が頻出。
水平打継目の施工
- 打継面のレイタンス・緩んだ骨材・品質の悪いコンクリートを完全に取り除き、表面を粗にする(チッピングやワイヤブラシ)。
- 打継面を十分に吸水させて(湿らせて)から新しいコンクリートを打つ。乾いたままだと新コンクリートの水を吸ってしまう。
- 海洋・港湾構造物など水密性が必要な場合、感潮部(潮の干満部)には打継目を設けないのが原則。
6養生 ― 日数表を丸ごと覚える
養生(ようじょう)とは、打込み後のコンクリートを硬化に必要な温度・湿度に保ち、有害な作用から保護する作業。水和反応は「水」がないと進まないため、養生の基本は「湿潤に保つ」ことです。
- 湿潤養生の方法: 湛水(たんすい)、散水、湿布(濡れたマットで覆う)、膜養生(養生剤の膜で水分逸散を防ぐ)。
- コンクリート温度が下がりすぎる/上がりすぎるのも有害。寒中コンクリートは保温養生、暑中コンクリートは水分逸散防止が焦点。
- 硬化中のコンクリートに振動や荷重を与えないことも養生のうち。
7鉄筋・型枠 ― かぶりとスペーサ
鉄筋の加工・組立
- 鉄筋の曲げ加工は常温(冷間)で行うのが原則。加熱加工は原則不可。
- 一度曲げた鉄筋を曲げ戻してはならない(材質が傷むため)。
- 継手は同一断面に集中させず、相互にずらして設ける。重ね継手は所定の長さを重ね、焼なまし鉄線で数箇所緊結する。
- 組み立てた鉄筋の上を直接歩かない。組立後に長期間経過した場合は浮き錆を除去してから打込み。
かぶりとスペーサ
かぶりは、コンクリート表面から鉄筋「表面」までの最短距離。鉄筋の腐食防止・耐火・付着確保のための命綱で、これを確保する部品がスペーサです。
- スペーサはモルタル製またはコンクリート製が標準(本体と同等の品質)。型枠に接する部分でのプラスチック製・鋼製は錆や付着の点で注意が必要。
- スペーサの数ははり・床版で1m²あたり4個程度が目安。
型枠・支保工
- 型枠はせき板の内面に剥離剤を塗布し、モルタルが漏れない構造とする。
- 取外しの順序は荷重を受けない部分(側面のせき板)が先、荷重を支える底面・支保工は後。
- 取外しは、コンクリートが所定の強度(部位ごとに規定)に達してから。
8頻出ひっかけ総まとめ ― 直前期はここだけ見直す
| ひっかけ文(すべて✕) | 正しい知識 |
|---|---|
| AE剤を用いると強度が増加する | 凍結融解抵抗性・ワーカビリティー改善。強度は低下 |
| ダムには早強セメントが適する | マスコンには中庸熱・フライアッシュ等(水和熱小) |
| スランプは大きいほど良い | 作業できる範囲で小さく(単位水量減) |
| W/Cは各条件の最大値を採用 | 最も小さい値を採用 |
| バイブレータで横移動させる | 横移動禁止(材料分離) |
| 振動機は下層に入れない | 下層に10cm程度挿入(一体化) |
| 暑いほど打重ね時間に余裕がある | 暑いと短い(25℃超→2.0h) |
| レイタンスは残してよい | 必ず除去して吸水させて打継ぐ |
| 気温が高いほど養生日数は長い | 低いほど長い(反応が遅いから) |
| かぶりは鉄筋の中心までの距離 | 鉄筋の表面までの最短距離 |
| 鉄筋は加熱して曲げ加工する | 常温(冷間)加工が原則 |
| 型枠は底面から先に外す | 荷重を受けない側面が先 |
章末チェック ― 一問一答10問(○×)
すべて過去問の論点ベース。8問以上正解で仕上がりです。
- AE剤により連行された空気泡は、コンクリートの凍結融解に対する抵抗性を向上させる。
答: ○ ― 泡が凍結膨張の逃げ場になる。 - 水セメント比は、コンクリートの強度・耐久性が確保できる範囲で、できるだけ大きく設定する。
答: ✕ ― できるだけ小さく(水を減らす)。 - スランプ試験では、高さ30cmのコーンに3層に分けて詰め、各層を25回突き固める。
答: ○ ― 30cm・3層・25回の数字セット。 - コンシステンシーとは、運搬から仕上げまでの作業のしやすさを表す総合的な性質である。
答: ✕ ― それはワーカビリティー。コンシステンシーは軟らかさ。 - 外気温28℃のとき、練混ぜから打ち終わりまでの時間は2.0時間以内を標準とする。
答: ✕ ― 25℃超は1.5時間以内。 - 内部振動機は、下層のコンクリート中に10cm程度挿入する。
答: ○ ― 上下層の一体化のため。 - コールドジョイントは、せん断力の小さい位置に計画的に設ける継目である。
答: ✕ ― それは打継目。コールドジョイントは時間超過による欠陥。 - 普通ポルトランドセメントを用いた場合、日平均気温15℃以上での湿潤養生は5日間が標準である。
答: ○ ― 普通「5・7・9」。 - かぶりとは、コンクリート表面から鉄筋の中心までの距離をいう。
答: ✕ ― 鉄筋の表面まで。 - 型枠の取外しは、比較的荷重を受けない部分から行う。
答: ○ ― 側面が先、底面・支保工は後。
コンクリート工は「数字(30cm・25回・1.5m・50cm・2.5h・5/7/9日…)」と「水和反応の理屈(水を減らせ・時間を守れ・湿らせて待て)」の2本柱。数字を忘れても理屈から復元できるように、セットで頭に入れてください。
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