1級土木施工管理技士 第一次検定対策
「構造物」を徹底攻略!
「構造物」を徹底攻略!
高力ボルト・溶接・鋼橋架設・劣化機構のすべて
構造物(鋼構造・コンクリート構造)は専門土木の中心分野で毎年3〜4問。出題は「高力ボルト」「溶接」「架設工法」「コンクリートの劣化機構」の4テーマでほぼ固定です。すべて組合せ問題なので、対応表の暗記で得点できます。
1高力ボルト接合 ― 締付けの順序と検査
鋼部材の接合は高力(こうりょく)ボルト接合が主流。ボルトを強く締め付けて部材同士を密着させ、接合面の摩擦力で力を伝える「摩擦接合」が基本です。
図1 高力ボルトの要点 ― 中央から外へ・摩擦面は赤錆状態
- 締付けはボルト群の中央から外側へ向かって行う(密着を外へ逃がすため)。
- 締付け方法: トルク法(トルクレンチで管理)・ナット回転法(回転角で管理)・トルシア形(ピンテールの破断で管理)。
- 摩擦面は黒皮(ミルスケール)を除去して赤錆状態とし、所要のすべり係数を確保。塗装・油・泥は厳禁。
- 締付け後は共回り・軸力・ボルト余長などを検査。ナットとボルトが一緒に回る「共回り」は締付け不良。
- 溶接と高力ボルトを併用する継手では、高力ボルトを先に締め付けてから溶接するのが原則。
「外側から中央へ締め付ける」→ ✕(中央から外)。「摩擦面は防錆のため塗装しておく」→ ✕(赤錆状態)。「併用継手は溶接後にボルトを締める」→ ✕(ボルトが先)。3点とも毎年級のド定番。
2溶接 ― 欠陥の名前と対策
図2 溶接欠陥の見分け方 ― ブローホール(気孔)・アンダーカット(えぐれ)・オーバーラップ(かぶさり)
- 開先(かいさき)溶接(突合せ溶接)・すみ肉溶接
- 部材の端を加工(開先)して断面全体を溶かし込むのが開先溶接、直角に重ねた隅を三角形に溶接するのがすみ肉溶接。
- アンダーカット/ブローホール/オーバーラップ
- アンダーカット=止端に沿ってえぐれた溝。ブローホール=溶接金属内の気孔(ガスの巣)。オーバーラップ=溶けずに母材に重なった部分。いずれも強度低下の原因で、外観検査・非破壊検査(放射線・超音波)で確認する。
- 溶接は雨天・強風時は原則中止(または防護)。気温が低いときは予熱して低温割れを防ぐ。
- 溶接面の水分・錆・塗料・油は除去してから溶接する。
- エンドタブ: 溶接の始端・終端は欠陥が出やすいのでエンドタブを取り付けて本体外で始終端を処理し、後で切断する。
3鋼橋の架設工法 ― 現場条件との組合せ
| 架設工法 | 方法 | 適する条件 |
|---|---|---|
| ベント式 | 桁下に仮支柱(ベント)を立てて架設 | 桁下が使える平坦地・最も一般的 |
| 片持ち式 | 架設済み桁の上から張り出して組立て | 深い谷・流水部(ベントが立てられない) |
| ケーブルエレクション | ケーブルで部材を吊って組立て | 深い渓谷(桁下がまったく使えない) |
| 送出し(手延べ)式 | 隣接地で組み立てて送り出す | 河川・道路・鉄道の上(桁下に入れない) |
| 一括架設(大型クレーン・台船) | 地組みした桁を一括で架設 | 海上・河川部、短時間施工 |
覚え方は「桁下が使えるか?」の一点。使える=ベント式、使えない=片持ち・ケーブル・送出し。「市街地の跨線橋にベント式」のような不適組合せを選ばせる問題が定番。
4コンクリート構造物の劣化機構
図3 劣化機構×対策 ― 中性化・塩害・ASR・凍害の4大機構
| 劣化機構 | 原因・現象 | 主な対策 |
|---|---|---|
| 中性化 | CO₂でコンクリートのアルカリ性が低下→鉄筋が腐食 | かぶりを厚く・W/C小さく密実に |
| 塩害 | 塩化物イオンが鉄筋の不動態被膜を破壊→腐食・ひび割れ | 塩化物総量規制(0.3kg/m³)・かぶり・表面被覆 |
| アルカリシリカ反応(ASR) | 反応性骨材がアルカリと反応して膨張→亀甲状ひび割れ | アルカリ量規制・高炉/フライアッシュセメント・非反応性骨材 |
| 凍害 | 水の凍結融解の繰返しでスケーリング・ひび割れ | AE剤で微細気泡・W/C小さく |
| 疲労 | 繰返し荷重(床版など) | 床版厚・鋼板接着等の補強 |
「ASR対策に早強セメント」→ ✕(高炉・フライアッシュ等の混合セメント)。「凍害対策に単位水量を増やす」→ ✕(AE剤+W/C小)。機構と対策の入れ替えが全パターン出ます。
5頻出ひっかけ総まとめ+一問一答
| ひっかけ文(すべて✕) | 正しい知識 |
|---|---|
| 高力ボルトは外側から中央へ締める | 中央から外側へ |
| 摩擦面は塗装して保護する | 黒皮除去・赤錆状態 |
| 併用継手は溶接後にボルト締付け | ボルトが先、溶接が後 |
| アンダーカットは溶接内部の気孔 | 気孔はブローホール(アンダーカットは止端のえぐれ) |
| 深い渓谷にはベント式が適する | ケーブルエレクション・片持ち式 |
| 中性化は骨材の膨張による劣化 | 骨材膨張はASR(中性化はCO₂) |
章末チェック ― 一問一答8問(○×)
- 高力ボルトの締付けは、ボルト群の中央から外側に向かって行う。
答: ○ - 高力ボルト摩擦接合の接合面は、黒皮のままとするのがよい。
答: ✕ ― 黒皮除去・赤錆状態。 - ナット回転法では、ナットの回転量で締付けを管理する。
答: ○ - 溶接の始端・終端にはエンドタブを用いる。
答: ○ ― 欠陥を本体の外へ。 - ブローホールとは、溶接止端に沿って母材が掘られた溝である。
答: ✕ ― それはアンダーカット。 - 桁下空間が使用できない場合、送出し式やケーブルエレクションが適する。
答: ○ - アルカリシリカ反応の抑制には、高炉セメントB種の使用が有効である。
答: ○ - 凍害対策には、単位水量を多くしてワーカビリティーを高めるのがよい。
答: ✕ ― AE剤+W/C小。
不明な点があれば、Q&Aで質問してみよう
疑問はBUILDNAの「現場の質問広場」へ。現場経験者があなたの疑問に回答します。
© 2026 BUILDNA ― 1級土木施工管理技士 分野別対策シリーズ 07

コメントを残す