1級土木施工管理技士 第一次検定対策
「工程管理」を徹底攻略!
「工程管理」を徹底攻略!
工程表・ネットワーク・クリティカルパスのすべて
工程管理は、第一次検定の「施工管理法」で毎年4〜5問出題。中身は「各種工程表の長所短所」と「ネットワーク式工程表の計算」の2本柱で、特にネットワーク計算は解き方さえ覚えれば満点が取れる「作業ゲー」です。数学が苦手でも足し算だけでOK。
この記事の目次
1工程管理の基本 ― 工程・原価・品質の関係
工程管理はただ「早くする」ことではなく、品質・原価・安全と釣り合う最適な速度で工事を進めること。試験ではこの三者の関係がグラフ問題として出ます。
図1 工期・原価・品質の関係 ― ①最適工期で原価最小 ②急ぐほど品質低下 ③品質を高めるほど原価増
- 施工速度が遅すぎると固定費(仮設・管理費)がかさみ原価は上がる。
- 速すぎる(突貫工事)と残業・手戻り・機械増強で原価は急上昇する。
- 最も原価が安くなる速度=経済速度。また一般に品質を高めようとすると原価は上がり、工程(速度)を上げると品質は低下しやすい ― この定性関係も頻出。
- 工程管理では、計画と実施の差を常に比較検討し、遅れの原因を早期に発見して是正(フォローアップ)する。進捗はやや余裕を持たせた計画が望ましい。
突貫工事で原価が急増する理由(記述の正誤で出る) ― ①時間外・深夜手当など労務費の割増、②手待ち・手戻りなど作業効率の低下、③機械・仮設の追加投入、④材料の割高調達。「突貫すれば原価は下がる」はもちろん✕。
工程計画の立て方 ― 手順も問われる
- 手順: 工種分類→施工手順の決定→各作業の施工期間の見積り→工期内に収まるよう調整→工程表の作成。
- 工程計画は季節(降雨・降雪)・休日・地元行事など作業不能日を見込んで立てる。
- 管理サイクルは計画(Plan)→実施(Do)→検討(Check)→処置(Action)のPDCA。工程会議等で定期的にフォローアップする。
2各種工程表の比較 ― 長所・短所の組合せ
図2 工程表の比較 ― 「何が分かって、何が分からないか」で整理
| 工程表 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| バーチャート(横線式) | 各作業の開始・終了・所要日数。作成が容易 | 作業の相互関係 |
| ガントチャート | 各作業の達成度(%) | 工期・所要日数・相互関係 |
| 斜線式(座標式) | 距離と時間の関係(トンネル・道路など線状工事) | 複雑な工事の全体像 |
| 曲線式(出来高累計) | 全体の出来高進度 | 個々の作業の遅れ |
| ネットワーク式 | 作業の相互関係・重点管理箇所(クリティカルパス) | ―(作成に手間がかかるのが短所) |
「バーチャートは作業の相互関係が明確」→ ✕(不明確。明確なのはネットワーク)。「ガントチャートで工期が分かる」→ ✕(達成度だけ)。「◯◯が分かる/分からない」の語尾入れ替えがこの分野のワナの9割です。
3工程管理曲線(バナナ曲線)
時間経過率(横軸)と出来高率(縦軸)で全体進捗を管理する図。上下の許容限界に挟まれた形がバナナに似ているのでバナナ曲線と呼ばれます。
図3 バナナ曲線 ― 予定進捗はバナナの帯の中に収める
- 実施工程曲線が下方許容限界を下回ったら「遅れ」 → 直ちに工程計画を見直す(突貫の検討)。
- 上方許容限界を上回るのも要注意 → 必要以上に速い=原価・品質に無理がある疑い。
- 出来高累計曲線は一般にS字カーブを描く(序盤・終盤は遅く、中盤に進む)。
4ネットワーク式工程表の用語
図4 用語 ― ○がイベント、→がアクティビティ、点線がダミー(日数0)
- アクティビティ(→)
- 時間を要する作業そのもの。矢線の上に作業名、下に所要日数を書く。
- イベント(○)
- 作業と作業の結合点。番号を付け、同じ番号の組のアクティビティが2本以上あってはならない。
- ダミー(点線→)
- 所要日数ゼロで、作業の順序関係だけを示す矢線。「ダミーにも日数がある」は✕の定番。
- 最早開始時刻・最遅完了時刻
- 最早開始時刻(EST)=その作業を最も早く始められる時刻(前からの足し算・合流点は最大値)。最遅完了時刻(LFT)=工期を守るために遅くとも完了すべき時刻(後ろからの引き算・分岐点は最小値)。
5クリティカルパスの計算 ― 例題で完全マスター
クリティカルパスとは、開始から終了までの経路のうち最も日数が長い経路のこと。この経路上の作業が1日遅れると工期全体が1日遅れるため、重点管理の対象になります。
図5 計算例 ― すべての経路の日数を足し、最大の経路がクリティカルパス
解き方は3ステップ
- 開始から終了までの経路をすべて洗い出す(ダミーも経路として通るが日数は0)。
- 各経路の所要日数を足し算する。
- 最大の日数=工期、その経路=クリティカルパス。
図5の例: ルート①A→C→E=3+4+3=10日、ルート②B→D→E=5+4+3=12日 → クリティカルパスは②で、工期は12日。A・Cには2日の余裕(フロート)があることも同時に分かります。
最早開始時刻・最遅完了時刻の計算規則
- 最早開始時刻(EST): スタートから前へ足し算していく。経路が合流する結合点では最大値を採る(遅い方に合わせないと始められない)。
- 最遅完了時刻(LFT): 工期から後ろへ引き算していく。経路が分岐する結合点では最小値を採る(早い方に間に合わせる)。
- 覚え方: 「前から足して大きい方・後ろから引いて小さい方」。EST=LFTとなる結合点を結ぶとクリティカルパスになる。
クリティカルパスの性質も頻出: ①フロート(余裕)が0の経路である、②複数存在することがある、③ダミーが含まれることもある、④クリティカルパス以外の作業でも、フロートを使い切ると新たなクリティカルパスになる。すべて「○」の記述として出ます。
6フロートと山積み・山崩し
- トータルフロート(TF)
- その作業で使える最大の余裕時間。TF=最遅完了時刻−(最早開始時刻+所要日数)。使い切ると後続作業の余裕がなくなる(TF=0の作業の連なりがクリティカルパス)。
- フリーフロート(FF)
- 使っても後続作業に一切影響しない余裕時間。FF=後続作業の最早開始時刻−(最早開始時刻+所要日数)。FFはTF以下(FF≦TF)。
- ディペンデントフロート(DF)
- 使うと後続作業の余裕に影響するフロート。TF=FF+DFの関係。
- 山積み・山崩し
- 日ごとの必要人員・機械を棒グラフ化するのが山積み、フロートの範囲で作業をずらして資源を平準化するのが山崩し。山崩しはクリティカルパス以外の作業(余裕のある作業)で行う。
「フリーフロートはトータルフロートより大きい」→ ✕(FF≦TF)。「クリティカルパス上の作業にはフロートがある」→ ✕(フロート0)。フロート2種の大小関係は毎年のように問われます。
7頻出ひっかけ総まとめ ― 直前期はここだけ見直す
| ひっかけ文(すべて✕) | 正しい知識 |
|---|---|
| バーチャートは作業の相互関係が明確 | 不明確(明確なのはネットワーク式) |
| ガントチャートで工期が分かる | 分かるのは達成度のみ |
| 斜線式は複雑な工事の管理に適する | トンネル等の線状工事向き |
| 実施曲線は上方限界を超えるほど良い | 超過は原価・品質に無理の疑い |
| ダミーには所要日数を与える | ダミーは日数0(順序のみ) |
| クリティカルパスは最短の経路 | 最長の経路(=工期) |
| クリティカルパスは1本しか存在しない | 複数あり得る |
| フリーフロートはトータルフロートより大きい | FF≦TF |
章末チェック ― 一問一答10問(○×)
すべて過去問の論点ベース。8問以上正解で仕上がりです。
- 工程管理では、実施工程が計画工程よりやや上回る程度に管理するのがよい。
答: ○ ― 余裕を持った進捗が理想。 - 一般に施工速度を上げるほど、原価は常に安くなる。
答: ✕ ― 速すぎると突貫コストで上昇(最安点=経済速度)。 - バーチャートは作成が容易で、各作業の所要日数が分かりやすい。
答: ○ ― ただし相互関係は不明確。 - ガントチャートは、各作業の達成度を把握するのに適している。
答: ○ ― 工期は分からない。 - 実施工程曲線が下方許容限界を下回った場合は、工程計画を見直す必要がある。
答: ○ ― 遅れのサイン。 - ネットワーク式工程表のダミーは、所要時間を持たない。
答: ○ ― 順序関係のみを示す。 - クリティカルパスとは、開始から終了までの最短経路である。
答: ✕ ― 最長経路。 - クリティカルパス上の作業が1日遅れると、工期も1日遅れる。
答: ○ ― フロート0だから。 - フリーフロートは、トータルフロートより大きくなることはない。
答: ○ ― FF≦TF。 - 山崩しとは、フロートの範囲で作業をずらして日々の資源量を平準化することである。
答: ○ ― 山積み(見える化)とセット。 - 最早開始時刻の計算では、経路が合流する結合点で最小値を採用する。
答: ✕ ― 最大値(後ろ向き計算の分岐点が最小値)。 - 突貫工事では、労務費の割増や作業効率の低下により原価が急増する。
答: ○
工程管理は「表の長所短所」と「足し算(クリティカルパス)」だけ。過去問のネットワーク計算を3問解けば、本番でも確実に得点できます。
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