【1級土木施工管理技士】港則法を徹底攻略!特定港・航路と航法・工事の許可のすべて

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1級土木施工管理技士 第一次検定対策

「港則法」を徹底攻略!
港長の許可・届出と航路・航法を1本で押さえる

最終更新: 2026.07.12 | 分野: 法規

1級土木施工管理技士の第一次検定では、「法規」から例年12問が出題され、そのうち8問を選択解答します。全問に答える必要はありませんから、「これが出たら必ず取る」という得点源をいくつ持てるかで合否が決まります。その隠れた優等生が港則法です。

港則法からは、毎年1問が安定して出題されます。海の仕事をしたことがない受験生ほど「船の法律なんて自分には関係ない」と敬遠しがちですが、これは大きな誤解であり、大きなチャンスです。というのも、港則法の出題範囲は極端に狭く、論点がほぼ固定されているからです。① 港長の「許可」が要るものと「届出」でよいものの区別、② 航路・航法のルール(右げん・左げん、右側航行、追越し禁止)、③ 特定港とは何か――出題されるのは実質この3点だけ。覚える量が最も少ない法令のひとつです。

とくに土木施工管理の受験生にとっては、「特定港内または特定港の境界付近で工事・作業をしようとする者は、港長の許可を受けなければならない」(法第31条)という条文が最頻出です。ケーソンの据付け、浚渫(しゅんせつ)、防波堤の築造、海上での杭打ち――港湾工事はすべてこの条文の世界です。この記事では、法の趣旨から定義、許可・届出の切り分け、航法までを図と表で整理します。ひっかけ総まとめと一問一答10問まで読み切れば、港則法の1問は確実に拾えます。

1港則法の目的と適用範囲 ―「特定港」とは何か

1-1 法の目的(第1条)

港則法の目的は、港内における船舶交通の安全および港内の整とんを図ることです。

ポイントは「安全」と「整とん」の2語。港は、大小さまざまな船が狭い水面にひしめき合う、海上で最も混雑する場所です。そこに工事の船(作業船・台船・浚渫船)が居座れば、当然に交通の妨げになります。だからこそ、港湾工事には「港長の許可」が必要なのです。この趣旨さえ掴んでおけば、条文を丸暗記しなくても正誤が判断できます。

港長(こうちょう)
港則法に基づいて、港内の船舶交通の安全と整とんに関する権限を行使する行政庁特定港には、海上保安庁の職員のうちから港長が任命されます。
港則法において「許可」「届出」「指揮」「指示」「命令」の相手方は、原則としてすべて港長です。港湾管理者(自治体)・海上保安庁長官・国土交通大臣ではありません――ここが試験の最大の狙い目です。

1-2 特定港とは(第3条)

港則法はすべての港に適用されますが、そのうち特に規制が厳しいのが特定港です。港則法の規定の多く(工事の許可・入出港届・危険物の規制など)は、この「特定港」でだけ適用されます。

特定港(とくていこう)
喫水(きっすい)の深い船舶が出入りできる港、または外国船舶が常時出入りする港であって、政令で定める港をいいます。
東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・北九州・博多など、全国で約90港が指定されています。「大きな船が入る港」「外国船が来る港」=特定港と押さえれば十分です。
喫水(きっすい)
船が水に浮かんだときの、水面から船底までの深さ。積荷が重いほど喫水は深くなります。「喫水の深い船舶」=大型船のことです。
汽艇等(きていとう)
汽艇(小型の蒸気船・モーターボート)、はしけ、および端舟(てんま船)その他ろかいをもって運転する船舶をいいます。要するに「小さい船」
港則法では、この「汽艇等」が特別扱いされます。汽艇等は、港内では、汽艇等以外の船舶(=大型船)の進路を避けなければならないのが原則です。小さい船が、大きい船に道を譲る――大型船は急に止まれない・曲がれないからです。
港則法の登場人物は「港長」ただ1人と思ってよいくらいです。許可も、届出も、指揮も、命令も、すべて港長
そして規制の多くは「特定港」でだけ適用されます。「特定港内」「特定港の境界付近」というキーワードが出たら、港長の許可を疑う――これが基本姿勢です。

2入出港・停泊のルール ―「錨地は港長が指定する」

2-1 入出港の届出(第4条)

船舶は、特定港に入港したとき、または特定港を出港しようとするときは、国土交通省令の定めるところにより、港長に届け出なければなりません。

  • これは「許可」ではなく「届出」港に入るのに許可は要りません
  • ただし、汽艇等および総トン数の小さい船舶(政令で定めるもの)は、届出が免除されます

2-2 びょう泊(停泊)の場所(第5条)

特定港内に停泊する船舶は、港長が指定する区域(=錨地/びょう地)に停泊しなければなりません。

項目内容
びょう地の指定特定港内に停泊する船舶は、各々そのトン数または積載物の種類に従い、港長が指定する区域に停泊しなければならない
びょう地の指定の申請特定港に入港した船舶は、港長にびょう地の指定を申請することができる
移動命令港長は、特定港内に停泊する船舶に対し、停泊すべき場所を指定し、または移動を命ずることができる(船舶交通の安全・港内の整とんのため必要があるとき)
係留等の制限汽艇等以外の船舶は、特定港内において、みだりにけい船浮標・さん橋・岸壁その他の係船設備でないものに係留してはならない
錨地(停泊場所)を決めるのは港長です。「船長が自由に選べる」「港湾管理者が指定する」は✕
ちなみに「移動を命ずる」ことができるのも港長。港則法の条文は、ほぼすべて「港長は〜できる/港長の許可を受けなければならない」という形をしています。迷ったら港長――これで正答率が跳ね上がります。

3航路と航法 ―「右げんに見るなら近寄れ、左げんに見るなら遠ざかれ」

3-1 航路(第11条〜第13条)

航路とは、港内において船舶が通るべき道として定められた水路です。狭い港で船が好き勝手に走ると衝突するので、「大きい船は決められた道を通れ」としているのです。

ルール
第11条汽艇等以外の船舶は、特定港に出入し、または特定港を通過するときは、国土交通省令で定める航路によらなければならない
ただし、海難を避けようとする場合その他やむを得ない事由のある場合はこの限りでない
第12条船舶は、航路内においては、投びょうし、またはえい航している船舶を放してはならない(=航路内での投びょう・えい航中の他船の放棄は禁止
第13条航路内での航法の3原則(下表)

3-2 航路内での投びょう禁止と、その例外【最重要】

第12条は「航路内で錨を下ろすな」と定めていますが、4つの例外があります。この4つは、そのまま選択肢になります。

航路内で投びょうできる例外(第12条ただし書)
海難を避けようとするとき
運転の自由を失ったとき(機関故障・舵故障など)
人命または急迫した危険のある船舶の救助に従事するとき
第31条の規定による港長の許可を受けて工事または作業に従事するとき
④が土木の受験生にとって決定的に重要です。浚渫船や起重機船が航路内に錨を下ろして工事ができるのは、「第31条の港長の許可」を受けているから
つまり、港則法において「工事の許可(31条)」と「航路内の投びょう(12条)」は一本の線でつながっているのです。
例外の覚え方は「カイナン(海難)・ジユウ喪失(運転の自由)・キュウジョ(救助)・キョカ工事(31条許可)」
「船舶は、いかなる場合であっても、航路内において投びょうしてはならない」→ 4つの例外があります。とくに港長の許可を受けて工事・作業に従事する場合は投びょうできます。「いかなる場合も」「例外なく」という強い言い切りは、法規では大抵✕です。

3-3 航路内の航法3原則(第13条)

場面ルール
他の船舶と行き会うとき右側を航行しなければならない(右側通行)
他の船舶を追い越すとき追い越してはならない(航路内では追越し禁止が原則)
並列航行航路内においては、並列して航行してはならない
航路への出入り・横断航路外から航路に入り、または航路から航路外に出ようとする船舶は、航路を航行している他の船舶の進路を避けなければならない
航路内の3禁止は「ナラばない(並列航行✕)・オイこさない(追越し✕)・イカリ下ろさない(投びょう✕)」。そして行き会うときは右側――車と同じ、と思えば覚えやすいですね(日本の道路は左側通行ですが、船は世界共通で右側です)。
さらに、航路に「入る側」が、航路を「走っている側」に道を譲る本線を走る車が優先、合流する車が譲る――高速道路と同じ発想です。

3-4 港内の航法(第14条〜第18条)【頻出の図解ルール】

航路の外、つまり港内一般での航法です。とくに「右げん・左げん」のルールは、港則法で最も出題される図解問題です。

ルール
防波堤の入口付近
(第15条)
汽艇等以外の船舶は、防波堤の入口または入口付近で他の船舶と出会うおそれのあるときは、入航する船舶が、防波堤の外で出航する船舶の進路を避けなければならない
出航船が優先/入航船が避ける
右げん・左げんの原則
(第17条)
船舶は、港内において防波堤・埠頭その他の工作物の突端、または停泊中の船舶を——
右げんに見て航行するときは、できるだけこれに近寄り
左げんに見て航行するときは、できるだけこれから遠ざかって
航行しなければならない
速力(第16条)船舶は、港内では、他の船舶に危険を及ぼさないような速力で航行しなければならない
帆船(第16条)帆船は、港内では、帆を減じ、または引き船を用いて航行しなければならない
汽艇等(第18条)汽艇等は、港内では、汽艇等以外の船舶の進路を避けなければならない
工事作業船(第18条)港長の許可を受けて工事・作業に従事している船舶には、他の船舶ができる限り近寄らないようにする(航路外での例外扱い)
港内の航法 ― 右げんに見るなら近寄る/左げんに見るなら遠ざかる 突 端 (防波堤・埠頭・停泊船) A船 突端を右げんに見る → できるだけ近寄る B船 突端を左げんに見る → できるだけ遠ざかる 「右は近く・左は遠く」= ミギチカ・ヒダリトオ
図1 港内の航法(第17条)― 突端・停泊船を右げんに見るなら近寄り、左げんに見るなら遠ざかる
右げん(うげん)・左げん(さげん)
船の進行方向を向いたときの、右側が右げん(starboard)、左側が左げん(port)です。「突端を右げんに見て航行する」=自分の右手側に突端がある状態で進むという意味です。
なぜ「右げんなら近寄る」のか? 答えは「船は右側通行だから」です。
突端が右手側にあるということは、自分は突端に近い側(=右側)の水路を走っています。だから突端に沿って近寄って進めば、水路の右側を保てる
逆に突端が左手側にあるなら、突端は「対向車線」側にあるので、遠ざかって自分の右側を保つ。
つまりこのルールは「右側通行を、突端まわりで具体化しただけ」なのです。理由が分かれば、暗記は不要になります。語呂は「ミギチカ・ヒダリトオ」
「船舶は、港内において防波堤の突端を右げんに見て航行するときは、できるだけこれから遠ざかって航行しなければならない」→ 右げんなら「近寄る」左げんなら「遠ざかる」です。「近寄る」と「遠ざかる」を入れ替えるのが、港則法で最も多いひっかけ。図で覚えましょう。
「防波堤の入口付近で行き会うおそれがあるときは、入航する船舶が優先し、出航する船舶が入航船の進路を避ける」→ 出航船が優先/入航船が防波堤の外で避けるです。「デル(出航)が優先」と覚えます。理由は、狭い入口の中にいる船は逃げ場がなく、外にいる船のほうが避けやすいから。エレベーターと同じ発想ですね。

4工事・作業の許可(第31条)―「土木で最頻出」

4-1 条文

港則法第31条――「特定港内または特定港の境界附近で工事または作業をしようとする者は、港長の許可を受けなければならない。」

この1行が、土木施工管理技士の試験における港則法の中心です。港湾工事の実務は、すべてこの条文の下にあります。

港則法第31条の許可(工事・作業の許可)
対象特定港内、または特定港の「境界附近」で行う工事・作業。「境界の外側の付近」も含まれる点に注意。
相手方港長港湾管理者ではありません
具体例ケーソンの製作・えい航・据付け、防波堤・岸壁の築造、浚渫(しゅんせつ)、海底の掘削、埋立て、海上での杭打ち、水中作業、潜水作業、台船・起重機船の設置など。
港長は、許可に必要な条件を付すことができます(作業時間の制限、警戒船の配置、標識の設置など)。
ケーソン
防波堤や岸壁の本体となる、巨大な鉄筋コンクリート製の箱。陸上またはドックで製作し、水に浮かべてえい航(引っ張っていく)し、所定の位置で中に砂や水を入れて沈めて据え付けます。えい航中も据付け中も、港内の交通の大きな支障になるため、港長の許可が必要です。
浚渫(しゅんせつ)
港や航路の海底を掘り下げて、水深を確保する工事。土砂が堆積すると大型船が入れなくなるため、定期的に行われます。浚渫船は航路上に居座ることになるので、港長の許可(第31条)+航路内投びょうの例外(第12条④)がセットで効いてきます。
港湾土木の常識として、「特定港内・特定港の境界付近での工事・作業 → 港長の許可」を最優先で覚えてください。
そしてこの許可が、他の条文の例外の入口になっていることも重要です。
航路内での投びょうの禁止(12条)の例外 → 31条の許可があればOK
他の船が近寄らない配慮を受ける(18条) → 31条の許可を受けた作業船だから
31条は、港則法の「ハブ(中心)」なのです。
「特定港内で工事をしようとする者は、港湾管理者の許可を受けなければならない」→ 港長の許可です。
港湾管理者(自治体)港湾法に基づいて港の施設を管理する主体で、港則法の港長(海上保安庁)とは別人格です。「港則法=港長」「港湾法=港湾管理者」と、法律名から一発で判断しましょう。
「工事の許可が必要なのは特定港の“区域内”に限られ、港の境界の外側で行う工事には許可は不要である」→ 。条文は「特定港内または特定港の境界附近」です。境界のすぐ外も対象。港の出入口の直前で工事をされたら、結局は交通の妨げになるからです。

5許可がいるもの・届出でよいもの【総整理】

港則法の出題の半分近くが「許可か、届出か」を問うものです。ここを表で完全に整理しておけば、それだけで得点できます。

行為手続根拠
特定港内・特定港の境界附近における工事または作業港長の許可第31条
特定港内における危険物の荷役(積込み・積卸し)港長の許可第22条
特定港内における危険物を積載した船舶の停泊場所の移動港長の許可第22条
特定港内における竹木材の水上荷卸し、および いかだのけい留・運行港長の許可第34条
特定港内における私設信号の設定港長の許可第29条
特定港内における船舶の進水、またはドックへの出入港長への届出第32条
特定港内における修繕・けい船(総トン数の大きい船舶)港長への届出第7条
船舶の特定港への入港・出港港長への届出第4条
危険物を積載した船舶が特定港に入港しようとするとき港の境界外で港長の指揮を受ける第21条
びょう地(停泊場所)港長が指定する第5条
港則法 ― 「許可」か「届出」か(すべて相手は港長) 港長の「許 可」 (危ない・交通を妨げる行為) 工事・作業(第31条)★最頻出 危険物の荷役・移動 竹木材の水上荷卸し・いかだの運行 私設信号の設定 「コウジ・キケン・チクボク・シンゴウ」 港長への「届 出」 (知らせておけば足りる行為) 入港・出港 船舶の進水・ドックへの出入 修繕・けい船 びょう地は「港長が指定」 「ニュウシュツ・シンスイ・ドック」
図2 港則法の許可・届出の切り分け(相手方はすべて港長)
切り分けの原理は「他船を危険にさらす・交通を妨げる行為 → 許可」「自分の船のことを知らせるだけ → 届出」
工事、危険物、いかだ(流されたら大迷惑)、私設信号(他船が誤認する)許可
入港・出港、進水、ドックの出入り届出
語呂は許可=「コウジ・キケン・チクボク・シンゴウ」/届出=「ニュウシュツ・シンスイ・ドック」
「船舶の進水は港長の許可が必要」は✕(届出)――これが最頻出の入れ替えです。
「特定港内において船舶を進水させ、またはドックに出入りさせようとする者は、港長の許可を受けなければならない」→ これは「届出」です(第32条)。許可なのは「工事・作業」「危険物」「竹木材・いかだ」「私設信号」「許可」と「届出」を入れ替えるのは、港則法の最頻出パターンです。
「特定港内でいかだをけい留し、または運行しようとする者は、港長に届け出れば足りる」→ いかだは港長の「許可」です(第34条)。竹木材の水上荷卸しも許可いかだが流されれば他船に衝突するので、届出では足りないのです。

6危険物の取扱い ―「入港前に港の境界外で指揮を受ける」

爆発物・引火性液体・高圧ガスなどを積んだ船は、港の中で事故を起こせば大惨事になります。そこで港則法は、危険物船に特別に厳しい手続を課しています。

場面手続
危険物を積載した船舶が特定港に入港しようとするとき特定港の「境界外」で港長の指揮を受けなければならない(第21条)。港に入ってから指示を受けるのではありません
特定港内において危険物を荷役(積込み・積卸し)しようとするとき港長の許可を受けなければならない(第22条)
危険物を積載した船舶が停泊場所を移動しようとするとき港長の許可を受けなければならない(第22条)
港長の指定する場所港長は、危険物積載船に対し、停泊すべき場所を指定できる
危険物船のキーワードは「境界外で指揮を受ける」
危ない船を、港の中に入れる前に止めて、指示を出す――当然の発想です。「入港後、直ちに港長の指揮を受ける」「入港前に港長に届け出る」は✕「境界外」と「指揮」の2語がそろって初めて○になります。
そして荷役も移動も「許可」。危険物は、何をするにも許可です。
「危険物を積載した船舶は、特定港に入港した後、直ちに港長の指揮を受けなければならない」→ 「特定港の境界外」で、入港しようとするときに指揮を受けます。「入る前に止める」のがこの条文の眼目です。

7廃物の投棄禁止と、港長のその他の権限

7-1 廃物の投棄禁止(第24条)

何人も、港内または港の境界外10,000m以内の水面においては、みだりに、バラスト、廃油、石炭がら、ごみその他これに類する廃物を捨ててはならないと定められています。

項目内容
投棄の禁止港内・港の境界外10,000m以内の水面に、廃物(バラスト・廃油・石炭がら・ごみ等)を捨ててはならない
散乱の防止石炭・石・れんがその他粉じん・散乱するおそれのある物を、船舶に積み込み、または卸そうとする者は、これらの物が水面に脱落するのを防ぐため必要な措置をしなければならない(第25条)
除去命令港長は、廃物を捨て、または散乱させた者に対し、その除去を命ずることができる(第26条)
漂流物・沈没物の除去港長は、船舶交通の妨げとなるおそれのある漂流物・沈没物等について、その所有者・占有者に対し除去を命ずることができる(第34条の2)
投棄禁止の範囲は「港内 + 港の境界外1万メートル以内」「1万m=10km」という広さがポイントで、「100m以内」「1,000m以内」に書き換えるひっかけがあります。
そして除去を命ずるのも港長。繰り返しになりますが、港則法の主語はほぼすべて港長です。

7-2 その他の港長の権限

内容
移動命令港長は、船舶交通の安全・港内の整とんのため必要があると認めるときは、特定港内に停泊する船舶に対し移動を命ずることができる
灯火・信号船舶は、港内において、法令で定める灯火・形象物を表示する。私設信号を設ける場合は港長の許可が必要
火災警報特定港内にある船舶で火災が発生したときは、汽笛またはサイレンをもって長音(約4〜6秒)を5回吹き鳴らす
船舶交通の制限港長は、船舶交通の安全のため必要があると認めるときは、航路・区域を指定して、船舶の交通を制限し、または禁止することができる
危険予防の措置命令港長は、爆発物その他の危険物を積載した船舶に対し、必要な措置を命ずることができる
港則法の全体像を1枚のスライドにすると、こうなります。
「港内の交通を守るために、港長が、許可・届出・指揮・指定・命令という5つの道具で、船を管理する法律」
土木の受験生が押さえるべきは、その5つの道具のうち「工事・作業の許可(第31条)」ただ1つ。ここを中心に、周辺の許可・届出の切り分けと、航法のルールを固めれば十分です。

8頻出ひっかけ総まとめ

過去問で実際に「✕の選択肢」として出された文章です。すべて誤り。右列を隠して、どこが違うかを説明できるようにしてください。

ひっかけ文(すべて ✕)正しい知識
特定港内で工事または作業をしようとする者は、港湾管理者の許可を受けなければならない港長の許可(第31条)。港則法の相手方はすべて港長(港湾管理者は港湾法の主体)
工事の許可が必要なのは特定港の区域内に限られ、境界の外側は不要である条文は「特定港内または特定港の境界附近」境界付近(外側)も対象
特定港内において船舶を進水させ、またはドックに出入りさせるには、港長の許可が必要これは「届出」(第32条)。許可は「工事・作業/危険物/竹木材・いかだ/私設信号」
特定港内でいかだをけい留・運行するには、港長への届出で足りる港長の許可が必要(第34条)。竹木材の水上荷卸しも許可
船舶は、いかなる場合であっても航路内で投びょうしてはならない4つの例外あり(海難回避/運転の自由喪失/人命・急迫危険船の救助/第31条の港長の許可を受けた工事・作業
船舶が航路内で他の船舶と行き会うときは、左側を航行しなければならない右側を航行する(船は世界共通で右側通行)
航路内においては、船舶は他の船舶を追い越すことができる航路内での追越しは禁止並列航行も禁止
防波堤の突端を右げんに見て航行するときは、できるだけこれから遠ざかって航行する右げんに見るときは「近寄る」左げんに見るときは「遠ざかる」
防波堤の入口付近で行き会うおそれがあるときは、入航する船舶が優先する出航する船舶が優先し、入航する船舶が防波堤の外で避ける
汽艇等以外の船舶(大型船)が、汽艇等(小型船)の進路を避けなければならない逆。汽艇等が、汽艇等以外の船舶の進路を避ける(小さい船が譲る)
船舶は、港内では最短時間で移動できるよう、できる限り高速で航行する他の船舶に危険を及ぼさないような速力で航行する
帆船は、港内では帆を張ったまま航行してよい港内では帆を減じ、または引き船を用いて航行する
危険物を積載した船舶は、特定港に入港した後、直ちに港長の指揮を受ける特定港の境界外で港長の指揮を受ける(第21条)
特定港内における危険物の荷役は、港長への届出で足りる港長の許可が必要(第22条)。危険物船の停泊場所の移動も許可
特定港内に停泊する船舶は、船長が適当と認める場所に停泊することができる港長が指定する区域(びょう地)に停泊しなければならない
廃物の投棄が禁止されるのは港内のみである港内および港の境界外10,000m(10km)以内の水面で禁止
船舶交通の妨げとなる沈没物の除去を命ずるのは港湾管理者である港長が除去を命ずる
特定港とは、政令で定めるすべての港をいう喫水の深い船舶が出入できる港、または外国船舶が常時出入する港政令で定めるもの

9章末チェック ― 一問一答10問

答えを隠して○×で解き、そのあと解説を読んでください。「許可か届出か」「相手は港長か」の2点を、必ず言えるようにしましょう。

  1. 特定港内または特定港の境界附近で工事または作業をしようとする者は、港長の許可を受けなければならない。
    答: ○港則法第31条土木施工管理の試験で最も重要な1行です。ケーソンの据付け、浚渫、防波堤の築造、海上での杭打ちなど、すべてこの許可の対象。「港湾管理者の許可」は✕相手は港長です。
  2. 特定港とは、喫水の深い船舶が出入できる港、または外国船舶が常時出入する港であって、政令で定めるものをいう。
    答: ○「大きい船が入る/外国船が来る」+「政令指定」の3要素です。全国で約90港が指定されています。港則法の主要な規制は、この特定港でだけ適用されます。
  3. 特定港内において船舶を進水させ、またはドックに出入りさせようとする者は、港長の許可を受けなければならない。
    答: ✕ ― これは「届出」です(第32条)。港長の許可が必要なのは、①工事・作業、②危険物の荷役・移動、③竹木材の水上荷卸し・いかだのけい留運行、④私設信号の設定「許可」と「届出」の入れ替えは、港則法で最も出題頻度の高いひっかけです。
  4. 船舶は、航路内においては、原則として投びょうしてはならないが、港長の許可を受けて工事または作業に従事する場合は、この限りでない。
    答: ○ ― 第12条の4つの例外のひとつです。ほかに海難を避けようとするとき/運転の自由を失ったとき/人命または急迫した危険のある船舶の救助に従事するとき「いかなる場合も投びょう禁止」は✕
  5. 船舶は、港内において防波堤の突端や停泊中の船舶を右げんに見て航行するときは、できるだけこれに近寄って航行しなければならない。
    答: ○右げん=近寄る、左げん=遠ざかる「船は右側通行」という大原則を、突端まわりで具体化しただけのルールです。「ミギチカ・ヒダリトオ」と唱えて、図でイメージしておきましょう。
  6. 防波堤の入口または入口付近で他の船舶と出会うおそれのあるときは、出航する船舶が、入航する船舶の進路を避けなければならない。
    答: ✕ ― 逆です。入航する船舶が、防波堤の外で、出航する船舶の進路を避ける(=出航船が優先)。狭い入口の中にいる船は逃げ場がないので、外にいる入航船が待つのです。
  7. 汽艇等は、港内においては、汽艇等以外の船舶の進路を避けなければならない。
    答: ○小さい船(汽艇等)が、大きい船に道を譲るのが原則です。大型船は急に止まれず、急に曲がれないから。あわせて「港内では他の船舶に危険を及ぼさない速力で航行する」「帆船は帆を減じるか引き船を用いる」も押さえましょう。
  8. 危険物を積載した船舶は、特定港に入港しようとするときは、特定港の境界外で港長の指揮を受けなければならない。
    答: ○「境界外」で「指揮」を受けます(第21条)。危ない船は、港に入れる前に止めるという発想。「入港後、直ちに」は✕。なお、危険物の荷役、および危険物積載船の停泊場所の移動には、港長の許可が必要です。
  9. 特定港内に停泊する船舶は、各々そのトン数または積載物の種類に従い、港長の指定する区域に停泊しなければならない。
    答: ○びょう地(錨地)を指定するのは港長です。「船長が自由に選べる」「港湾管理者が指定する」は✕。港長は、必要があると認めるときは停泊船に移動を命ずることもできます。
  10. 何人も、港内においては廃物を捨ててはならないが、港の境界外であれば、距離にかかわらず廃物を投棄することができる。
    答: ✕港内および港の境界外10,000m(10km)以内の水面では、みだりにバラスト・廃油・石炭がら・ごみ等の廃物を捨ててはなりません(第24条)。違反した者に対しては、港長が除去を命ずることができます。
港則法の要点を最後に1行で。目的=船舶交通の安全と港内の整とん/特定港=喫水の深い船が出入り or 外国船が常時出入りする政令指定の港/許可=工事・作業(第31条)、危険物の荷役・移動、竹木材の水上荷卸し・いかだ、私設信号/届出=入出港、進水・ドック出入、修繕・けい船/びょう地の指定・移動命令・除去命令はすべて港長/航路=汽艇等以外は航路による、航路内は投びょう✕(例外4つ)・追越し✕・並列✕・行き会うときは右側/港内=突端や停泊船を右げんに見るなら近寄り、左げんに見るなら遠ざかる、防波堤の入口は出航船が優先、汽艇等は大型船の進路を避ける、危険を及ぼさない速力/危険物船は境界外で港長の指揮/廃物は港内+境界外1万m以内で投棄禁止。試験直前はこの1行を見返せば十分です。

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