【1級土木施工管理技士】騒音・振動規制法を徹底攻略!特定建設作業・届出・規制基準のすべて

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1級土木施工管理技士 第一次検定対策

「騒音規制法・振動規制法」を徹底攻略!
特定建設作業の届出・規制基準を数字で押さえる

最終更新: 2026.07.12 | 分野: 法規

1級土木施工管理技士の第一次検定では、「法規」から例年12問が出題され、そのうち8問を選択解答します。全問に答える必要はありませんから、「この法令が出たら必ず取る」という得点源をいくつ持てるかで合否が決まります。その最有力候補が騒音規制法・振動規制法です。

この2つの法律は、毎年合わせて1問(年によっては騒音規制法から1問、振動規制法から1問)が出題されます。ありがたいのは、2つの法律の条文構造がほぼ双子のように同じだということ。目的も、指定地域も、届出の仕組みも、規制基準の枠組みも、そっくりそのままです。違うのは「対象となる機械」と「dBの数値」だけ。つまり、1本の法律を覚えるコストで2本分の得点が取れる、極めて効率のよい分野なのです。

そして出題論点は、① 特定建設作業に該当する機械・作業は何か、② 届出は誰が・誰に・いつまでに出すか(元請業者 → 市町村長 → 7日前まで)、③ 規制基準の数値(騒音85dB/振動75dB、作業時間、日数、休日)――この3点にほぼ固定されています。この記事では、その3点を図と表で徹底的に整理します。ひっかけ総まとめと一問一答10問まで読み切れば、この1問は確実に拾えます。

12つの法律の全体像 ―「双子の法律」として覚える

1-1 法の目的

騒音規制法の目的は、工場・事業場における事業活動ならびに建設工事に伴って発生する相当範囲にわたる騒音について必要な規制を行うとともに、自動車騒音に係る許容限度を定めること等により、生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することです。振動規制法も、「騒音」を「振動」に置き換えただけで、目的規定はほぼ同じです。

ここで大事なのは、この法律が守ろうとしているのが「近隣住民の生活環境」だということ。作業員を守る労働安全衛生法とは、まったく視点が違います。「うるさい・揺れるという迷惑を、敷地の外に出さない」――これがすべての規定の出発点です。したがって、測る場所も「敷地の境界線」になります。この一点を理解しておくだけで、多くの選択肢が自力で判断できるようになります。

1-2 2つの法律の対応表

項目騒音規制法振動規制法
規制の対象騒音(音)振動(揺れ)
地域の指定都道府県知事(市の区域内は市長)が指定
届出先市町村長
届出期限作業開始の日の7日前まで
届出義務者元請業者(建設工事を施工する者)
特定建設作業の種類8種類4種類
規制基準(大きさ)敷地の境界線において 85 dB を超えないこと敷地の境界線において 75 dB を超えないこと
作業できない時間帯1号区域:午後7時〜翌午前7時/2号区域:午後10時〜翌午前6時
1日の作業時間1号区域:10時間以内/2号区域:14時間以内
連続作業日数連続6日を超えないこと
休日日曜日その他の休日は作業しないこと
勧告・命令市町村長が改善勧告・改善命令を行う
この表が記事のすべてです。違うのは「85dB/75dB」と「対象機械」だけ。あとは完全に共通です。
数値の覚え方は「ソウオン・ハチゴー(騒音85)、シンドウ・ナナゴー(振動75)」。音のほうが数字が大きい、と覚えます。

2指定地域と規制の枠組み ―「知事が指定、市町村長が規制」

2-1 指定地域

騒音規制法・振動規制法は、日本全国どこでも適用されるわけではありません都道府県知事(市の区域内にあっては市長)が、住居が集合している地域、病院・学校の周辺地域など、生活環境を保全する必要がある地域を「指定地域」として指定し、その中でだけ規制がかかります。

指定地域
騒音・振動を防止することにより住民の生活環境を保全する必要があると認める地域として、都道府県知事(市の区域内は市長)が指定した地域。
指定するのは知事ですが、届出を受け、規制するのは市町村長――この役割分担が試験の狙い目です。「市町村長が地域を指定する」は誤り
1号区域・2号区域
指定地域は、規制の厳しさによって2つに分けられます。
1号区域静けさが特に必要な区域(良好な住居環境地域、住居専用地域、住居地域、学校・保育所・病院・診療所(患者収容施設あり)・図書館・特別養護老人ホームの敷地の周囲おおむね80mの区域など)。規制が厳しい
2号区域1号区域以外の指定地域(工業地域、商業地域の一部など)。規制はやや緩い
登場人物の整理は「地域を指定するのは知事(市長)、届出を受けて勧告・命令を出すのは市町村長」
試験ではこの2人を入れ替えるのが定番です。「現場の届出書を持って行く窓口は市役所・町村役場」――実務のイメージで覚えると間違えません。警察署長・労働基準監督署長・都道府県知事は届出先ではありません
「特定建設作業の実施の届出は、都道府県知事に行わなければならない」→ 。届出先は市町村長です。都道府県知事(市長)が行うのは指定地域の指定「指定は知事、届出は市町村長」と唱えましょう。

3特定建設作業とは ―「機械」ではなく「作業」を規制する

特定建設作業とは、建設工事として行われる作業のうち、著しい騒音(振動)を発生する作業であって政令で定めるものをいいます。

特定建設作業
政令(施行令別表第2)で列挙された、著しい騒音・振動を発生する建設作業
重要な性質が2つ
規制の対象は「機械」ではなく「作業」。バックホウという機械そのものが規制されるのではなく、「一定規模以上のバックホウを使用する作業」が規制されます。
その作業を開始した日に終わるものは、特定建設作業に該当しない(=当日中に終わる作業は届出不要)。2日以上にわたる作業が対象です。
「その作業がその日のうちに終わるもの」は特定建設作業から除かれます
理由は明快で、1日で終わる一過性の迷惑まで規制するのは過剰だから。ただし「1日で終わるつもりだったが翌日に及んだ」場合は、届出が必要な作業になります。この「開始した日に終わる作業は除く」という但書は、選択肢に頻出します。
「騒音規制法は、著しい騒音を発生する建設機械そのものを規制の対象としている」→ 。規制の対象は「作業」です。同じバックホウでも、定格出力が基準未満なら特定建設作業にはなりませんし、その日のうちに終わる作業も該当しません。「機械」と「作業」の言い換えは、地味ですが確実に問われます。

4騒音規制法の特定建設作業【8種類】

騒音規制法施行令 別表第2に定める8種類です。カッコ書きの「除く」と「数値」が命――そこを書き換えるのが出題の常套手段です。

特定建設作業(騒音規制法)除外されるもの・要件
1くい打機、くい抜機、くい打くい抜機を使用する作業もんけん(くい打機)を除く/圧入式くい打くい抜機を除く/アースオーガー併用のくい打機を除く
2びょう打機を使用する作業除外なし
3さく岩機を使用する作業作業地点が連続的に移動する作業では、1日における作業に係る2地点間の最大距離が50mを超える作業を除く
4空気圧縮機を使用する作業電動機以外の原動機を用いるもので、定格出力15kW以上のもの。さく岩機の動力として使用する作業を除く
5コンクリートプラントを設けて行う作業混練機の混練容量が0.45㎥以上のもの。モルタルを製造するためにコンクリートプラントを設けて行う作業を除く
5アスファルトプラントを設けて行う作業混練機の混練重量が200kg以上のもの
6バックホウを使用する作業原動機の定格出力80kW以上のもの。環境大臣が指定する低騒音型建設機械を除く
7トラクターショベルを使用する作業原動機の定格出力70kW以上のもの。低騒音型建設機械を除く
8ブルドーザを使用する作業原動機の定格出力40kW以上のもの。低騒音型建設機械を除く
騒音規制法 ― 3大建設機械の定格出力ライン(超えたら特定建設作業) 0 バックホウ 80 kW 以上 トラクタ ショベル 70 kW 以上 ブルドーザ 40 kW 以上 バ・ト・ブ 「ハチ・ナナ・ヨン(8・7・4)」でバックホウ・トラクタショベル・ブルドーザ
図1 騒音規制法の建設機械3種 ― バックホウ80kW/トラクターショベル70kW/ブルドーザ40kW以上
建設機械の出力は「バ・ト・ブ = ハチ・ナナ・ヨン(80・70・40 kW)」。大きい機械ほど出力が大きい、という順番どおりなので覚えやすいはずです。
プラント系は「コンクリートは0.45㎥(容量)、アスファルトは200kg(重量)」単位が違う(体積 vs 重量)ことに注意。「アスファルトプラントは0.45㎥以上」は✕です。
空気圧縮機は「電動機以外・15kW以上」電動機(モーター)は静かなので除外――理由から覚えられます。
「バックホウを使用する作業は、原動機の定格出力が40kW以上のものが特定建設作業となる」→ バックホウは80kW以上。40kWはブルドーザです。3つの数値をシャッフルするのが定番のワナ。
「環境大臣が指定する低騒音型建設機械を用いる場合であっても、定格出力が基準以上であれば特定建設作業に該当する」→ バックホウ・トラクターショベル・ブルドーザについては、低騒音型建設機械として指定されたものは除外されます。静かな機械を使えば規制外――低騒音型機械を普及させるためのインセンティブです。
「コンクリートプラントを設けて行う作業は、モルタルを製造するために設ける場合も含めてすべて特定建設作業となる」→ モルタルを製造するためにコンクリートプラントを設けて行う作業は除かれます。この但書は見落としがちです。

5振動規制法の特定建設作業【4種類】

振動規制法施行令 別表第2に定める4種類です。騒音より数が少ないので、こちらから覚えると効率的です。

特定建設作業(振動規制法)除外されるもの・要件
1くい打機、くい抜機、くい打くい抜機を使用する作業もんけん(くい打機)を除く/圧入式くい打機を除く/油圧式くい抜機を除く/圧入式くい打くい抜機を除く
2鋼球を使用して建築物その他の工作物を破壊する作業除外なし
3舗装版破砕機を使用する作業1日における作業に係る2地点間の最大距離が50mを超える作業を除く
4ブレーカを使用する作業手持式のものを除く1日における作業に係る2地点間の最大距離が50mを超える作業を除く
振動規制法の4種類は「クイ・コウキュウ・ホソウバン・ブレーカ」(杭・鋼球・舗装版破砕機・ブレーカ)。
そして重要なポイント2つ
振動規制法には「さく岩機」「バックホウ」「ブルドーザ」「空気圧縮機」「プラント」は入っていません騒音の8種類と混同させる選択肢が頻出
「1日50m」という移動距離の要件は、騒音のさく岩機/振動の舗装版破砕機・ブレーカの3つに共通。「50mを超えて移動する作業は除く」=1か所に居座らず動き回るなら、迷惑が集中しないので規制外、という理屈です。
「振動規制法の特定建設作業には、バックホウ(定格出力80kW以上)を使用する作業が含まれる」→ バックホウは騒音規制法にしかありません。振動はくい打機等・鋼球・舗装版破砕機・ブレーカの4つだけです。
「振動規制法において、手持式ブレーカを使用する作業は特定建設作業に該当する」→ 手持式のブレーカは除かれます。「除く」を「含む」に変えるのは、この分野の常套手段です。

5-1 くい打機まわりの「除く」を整理する

くい打機・くい抜機は、騒音と振動で「除かれるもの」が微妙に違うため、混乱しやすい箇所です。表で整理します。

機械騒音規制法振動規制法
もんけん(重錘を落として打つ原始的なくい打機)除く除く
圧入式くい打機・くい打くい抜機除く(圧入式くい打くい抜機)除く
アースオーガー併用のくい打機除く規定なし(対象)
油圧式くい抜機規定なし(対象)除く
「静かに・そっと打ち込む/抜く機械」は除かれると考えれば、丸暗記は不要です。
圧入式=ぐいぐい押し込むだけ(叩かない)→ 騒音も振動も出ない → 両方除く
油圧式くい抜機=油圧でじわっと引き抜く → 揺れない → 振動法で除く
もんけん=そもそも重錘を落とすだけの単純な装置で、規制対象から外れています。「叩くやつは規制、押すやつは除外」――このイメージで9割解けます。

6実施の届出 ―「元請業者が7日前までに市町村長へ」

6-1 届出の3要素

指定地域内で特定建設作業を伴う建設工事を施工しようとする者は、当該特定建設作業の開始の日の7日前までに、市町村長に届け出なければなりません(騒音規制法第14条/振動規制法第14条)。

項目内容
誰が建設工事を施工する者(=元請業者)下請業者ではありません
誰に市町村長都道府県知事・警察署長・労働基準監督署長ではありません
いつまでに特定建設作業の開始の日の7日前まで「工事の開始の日」ではなく「特定建設作業の開始の日」
特定建設作業の届出 ― 誰が・誰に・いつまでに 元請業者 (工事を施工する者) 届出 市町村長 (知事ではない) 作業開始の日の 7日前まで 緊急時は「できる限り速やかに」 添付書類:作業場所付近の見取図 + 工程表
図2 特定建設作業実施届出の流れ(元請業者 → 市町村長・7日前まで)
「特定建設作業の届出は、実際に作業を行う下請業者が行わなければならない」→ 。届出義務者は建設工事を施工する者=元請業者です。「実際に機械を動かすのは下請だから下請が届け出る」という一見もっともらしい理屈が、そのままワナになっています。
「特定建設作業の届出は、作業開始の日の14日前までに行う」→ 7日前までです。「10日前」「30日前」に書き換える出題もあります。「ナナ・シチョウソン(7日前・市町村長)」と語呂でセット暗記しましょう。

6-2 届出事項と添付書類

届出書には、次の事項を記載します。この一覧はそのまま選択肢になります。

届出事項
氏名または名称、および住所(法人にあっては代表者の氏名)
建設工事の目的に係る施設または工作物の種類
特定建設作業の場所および実施の期間
騒音(振動)の防止の方法
特定建設作業の種類、使用される機械の名称・型式・仕様
特定建設作業の開始および終了の時刻
(添付)特定建設作業を行う場所の付近の見取図
(添付)特定建設作業の工程が明示された建設工事の工程表
届出事項の骨は「氏名・住所/施設の種類/場所・期間/防止方法/機械/開始・終了時刻」、添付は「見取図+工程表」の2点セット。
とくに「騒音(振動)の防止の方法」「開始および終了の時刻」が抜けている選択肢が定番です。また、「工事費用」「下請業者の商号」「作業員の名簿」などは届出事項ではありません。条文にない項目を混ぜてくる手口に注意してください。

6-3 緊急時の届出(第14条第2項)

災害その他非常の事態の発生により、特定建設作業を緊急に行う必要がある場合は、7日前までの届出はできません。この場合は――

届出が不要になるのではなく、「できる限り速やかに」届け出なければなりません。

災害その他非常の事態のため緊急に特定建設作業を行う必要がある場合には、届出は不要である」→ 届出は必要です。ただし「7日前まで」の期限が外れ、「できる限り速やかに」届け出れば足りるという扱いになります。「不要」と「事後でよい」はまったく別――ここを混同させるのが最頻出のワナのひとつです。

7規制基準 ―「85dB/75dB」と作業時間・日数・休日

7-1 大きさの基準

特定建設作業に伴って発生する騒音・振動は、敷地の境界線において、次の値を超えてはなりません。

法律測定位置基準値
騒音規制法特定建設作業の場所の敷地の境界線85 dB を超えないこと
振動規制法特定建設作業の場所の敷地の境界線75 dB を超えないこと
敷地の境界線
測定するのは「作業をしている機械の位置」でも「隣家の窓際」でもなく、あくまで工事現場の敷地の境界線です。「迷惑を敷地の外に出さない」という法の趣旨がそのまま現れています。「作業場所の中心」「機械から1m」などとした選択肢は誤りです。
dB(デシベル)
音の大きさ・振動の大きさを表す単位。85dBは「うるさい工事現場のすぐそば」、75dBは「立っていて揺れをはっきり感じるレベル」のイメージです。

7-2 時間・日数・休日の基準

大きさだけでなく、「いつ・何時間・何日やってよいか」も厳しく決まっています。ここが最大の暗記ポイントです。

規制項目1号区域(静けさが必要な区域)2号区域(その他の指定地域)
作業を行ってはならない時間帯午後7時 〜 翌日の午前7時午後10時 〜 翌日の午前6時
(裏返すと)作業できる時間帯午前7時 〜 午後7時午前6時 〜 午後10時
1日あたりの作業時間の上限10時間を超えないこと14時間を超えないこと
連続日数連続して6日を超えて行わないこと(同一場所において)
休日日曜日その他の休日は作業を行わないこと
1号区域と2号区域 ― 作業できる時間帯(24時間軸) 1号区域 作業可(7:00 〜 19:00) 禁止 禁止 10h 2号区域 作業可(6:00 〜 22:00) 禁止 禁止 14h 0時 6時 7時 12時 19時 22時 24時 共通:連続6日を超えない/日曜・休日は作業しない
図3 1号区域・2号区域の作業可能時間帯と1日の作業時間上限
数字の覚え方はこうです。
1号区域=「シチ・シチ(7時〜19時)・ジュウ(10時間)」――朝7時から夜7時まで、最大10時間。
2号区域=「ロク・ニジュウニ(6時〜22時)・ジュウヨン(14時間)」――朝6時から夜10時まで、最大14時間。
・共通は「連続6日・日曜休み」
「1号は静かな住宅地だから厳しい(短い)」という大原則さえ握っていれば、10時間と14時間のどちらが1号かで迷うことはありません。
「1号区域における特定建設作業は、1日あたり14時間を超えて行ってはならない」→ 1号区域は10時間2号区域が14時間です。数値の入れ替えは最頻出
「特定建設作業は、同一の場所において連続して7日を超えて行ってはならない」→ 連続6日を超えてはなりません。「6日+日曜休み」で1週間――そう考えれば自然な数値です。

7-3 規制基準の例外

ただし、次の場合には、時間・日数・休日の規制が適用されません(大きさの基準=85dB/75dBは、原則として適用されます)。

  • 災害その他非常の事態の発生により、特定建設作業を緊急に行う必要がある場合
  • 人の生命・身体に対する危険を防止するため特に必要がある場合
  • 鉄道・軌道の正常な運行を確保するため、夜間・休日に行う必要がある場合
  • 道路法・道路交通法の規定により、道路管理者・公安委員会から夜間工事を指示された場合など、昼間に作業することが著しく困難な場合
  • 変電所の変更工事など、法令で定める特別な事情がある場合
夜間の道路工事が合法なのは、この例外規定があるからです。「交通量の多い道路は、警察・道路管理者から夜間施工を指示される」→ だから夜7時以降でも作業できる――現場の常識が、条文にきちんと書いてあるわけです。ただし、この場合でも「届出」は必要である点に注意。

8改善勧告・改善命令と罰則

8-1 市町村長の権限

届出を受けた市町村長は、規制基準に適合しない作業に対し、次の措置をとることができます。

段階内容行う者
① 改善勧告規制基準に適合せず、周辺の生活環境が著しく損なわれると認めるときは、騒音(振動)の防止の方法を改善し、または作業の時間を変更すべきことを勧告できる市町村長
② 改善命令勧告に従わないときは、期限を定めて改善または作業時間の変更を命ずることができる市町村長
③ 罰則改善命令に違反した者には罰則(罰金)。届出をしない者・虚偽の届出をした者にも罰則
④ 報告・立入検査市町村長は、施工者に対し必要な報告を求め、職員に立入検査をさせることができる市町村長
流れは「勧告 → (従わない)→ 命令 → (違反)→ 罰則」の3段ロケット。いきなり命令や罰則にはなりません。そして勧告も命令も、行うのは市町村長――届出先と同じです。「知事が改善命令を出す」は✕
「規制基準に適合しない特定建設作業に対して、都道府県知事は改善勧告を行うことができる」→ 改善勧告・改善命令はいずれも市町村長の権限です。この法律で知事が出てくるのは「指定地域の指定」の場面だけと覚えてください。

8-2 騒音・振動を防止する実務的な方法(参考)

届出書の「騒音(振動)の防止の方法」欄に書く内容です。第一次検定の施工管理分野でも問われる知識なので、あわせて押さえておきましょう。

  • 低騒音型・低振動型建設機械(環境大臣指定)を使用する
  • 防音シート・防音パネル・仮囲いを設置し、音源を遮蔽する
  • 作業を敷地境界からできるだけ離れた位置で行う
  • くい打ちは打撃工法ではなく、圧入工法・中掘り工法・プレボーリング工法を採用する
  • 機械は高負荷運転を避け、不必要な空ぶかし・アイドリングをしない
  • 作業の計画・工程を近隣住民に事前に説明する

9頻出ひっかけ総まとめ

過去問で実際に「✕の選択肢」として出された文章です。すべて誤り。右列を隠して、どこが違うかを説明できるようにしてください。

ひっかけ文(すべて ✕)正しい知識
特定建設作業の実施の届出は、都道府県知事に行う届出先は市町村長都道府県知事(市長)が行うのは指定地域の指定
特定建設作業の届出は、実際に作業を行う下請業者が行う届出義務者は建設工事を施工する者=元請業者
届出は、作業開始の日の14日前までに行う作業開始の日の7日前まで
災害その他非常の事態のため緊急に行う場合は、届出は不要である届出は必要。ただし「できる限り速やかに」届け出ればよい(7日前の期限が外れるだけ)
届出書には、氏名・住所と作業の場所・期間を記載すれば足り、騒音の防止の方法は記載不要騒音(振動)の防止の方法作業の開始・終了の時刻も届出事項。添付は見取図+工程表
騒音の規制基準は、作業場所の中心において85dBを超えないこととされている測定位置は敷地の境界線
振動の規制基準は、敷地の境界線において85dBを超えないこと振動は75dB騒音が85dB
1号区域における1日の作業時間は14時間以内である1号区域は10時間以内2号区域が14時間以内
1号区域では、午後10時から翌日午前6時までの作業が禁止される1号区域は午後7時〜翌午前7時が禁止。午後10時〜午前6時は2号区域
特定建設作業は、同一場所において連続7日を超えて行ってはならない連続6日を超えないこと。日曜日その他の休日は作業しない
バックホウを使用する作業は、定格出力40kW以上が特定建設作業となるバックホウは80kW以上トラクターショベル70kW、ブルドーザ40kW
低騒音型建設機械として指定を受けた機械でも、出力が基準以上なら特定建設作業となるバックホウ・トラクターショベル・ブルドーザは低騒音型建設機械として指定されたものを除く
アスファルトプラントは、混練容量0.45㎥以上のものが対象であるアスファルトプラントは混練重量200kg以上0.45㎥はコンクリートプラント(単位が違う)
空気圧縮機は、電動機を含め定格出力15kW以上のものが対象電動機以外の原動機を用いるもので15kW以上(電動機は静かなので除外)
振動規制法の特定建設作業には、バックホウやさく岩機を使用する作業が含まれる振動はくい打機等・鋼球・舗装版破砕機・ブレーカの4種類のみ
振動規制法において、手持式ブレーカを使用する作業は特定建設作業に該当する手持式のものは除かれる。また1日の移動距離が50mを超える作業も除外
特定建設作業の規制の対象は、著しい騒音を発生する建設機械そのものである規制の対象は「作業」その作業を開始した日に終わるものは特定建設作業に該当しない
規制基準に適合しない作業に対し、都道府県知事が改善勧告・改善命令を行ういずれも市町村長の権限。流れは勧告 → 命令 → 罰則

10章末チェック ― 一問一答10問

答えを隠して○×で解き、そのあと解説を読んでください。「誰が・誰に・いつ」と「数値」の2点を、必ず言えるようにしましょう。

  1. 指定地域内において特定建設作業を伴う建設工事を施工しようとする者は、当該特定建設作業の開始の日の7日前までに、市町村長に届け出なければならない。
    答: ○元請業者が、7日前までに、市町村長へ。この3点セットが騒音規制法・振動規制法で最も出題される論点です。「知事」「警察署長」「14日前」「下請業者」に書き換えるのが定番のワナ
  2. 騒音・振動を防止することにより住民の生活環境を保全する必要がある地域(指定地域)は、市町村長が指定する。
    答: ✕ ― 指定地域を指定するのは都道府県知事(市の区域内は市長)です。「指定は知事、届出・勧告・命令は市町村長」と、役割をきれいに分けて覚えましょう。
  3. 災害その他非常の事態の発生により特定建設作業を緊急に行う必要がある場合には、届出をする必要はない。
    答: ✕届出は必要です。ただし「7日前まで」という期限は適用されず、できる限り速やかに届け出れば足りるという扱いになります。「不要」ではなく「事後でよい」――ここが引っかけの核心です。
  4. 騒音規制法の規制基準では、特定建設作業に伴う騒音が、特定建設作業の場所の敷地の境界線において85dBを超えてはならないとされている。
    答: ○測定位置は「敷地の境界線」、値は85dB。振動規制法は同じ位置で75dBです。「音は85、振動は75」とセットで暗記してください。
  5. 1号区域における特定建設作業は、午後7時から翌日の午前7時までの間は行ってはならず、また1日あたり10時間を超えて行ってはならない。
    答: ○1号区域=19時〜7時は禁止、1日10時間以内2号区域=22時〜6時は禁止、1日14時間以内1号は静かな区域なので、規制が厳しい(作業できる時間が短い)と理解しておけば迷いません。
  6. 特定建設作業は、同一の場所において連続して6日を超えて行ってはならず、また日曜日その他の休日には行ってはならない。
    答: ○連続6日・日曜休み。この2つは1号区域・2号区域に共通です。ただし災害・非常時、人命保護、鉄道の運行確保、夜間工事の指示があった場合などには、時間・日数・休日の規制は適用されません。
  7. 騒音規制法において、バックホウを使用する作業は、原動機の定格出力が80kW以上のものが特定建設作業となる。
    答: ○バックホウ80kW/トラクターショベル70kW/ブルドーザ40kW。「バ・ト・ブ=ハチ・ナナ・ヨン」。ただし環境大臣が指定する低騒音型建設機械は除かれます
  8. 振動規制法における特定建設作業には、さく岩機を使用する作業および空気圧縮機を使用する作業が含まれる。
    答: ✕さく岩機・空気圧縮機は騒音規制法の特定建設作業です。振動規制法は「くい打機等・鋼球を使用して工作物を破壊する作業・舗装版破砕機・ブレーカ(手持式を除く)」の4種類だけ。2つの法律のリストを混ぜてくる出題が非常に多いので、振動の4つを丸暗記してしまうのが最短ルートです。
  9. コンクリートプラントを設けて行う作業は混練容量0.45㎥以上、アスファルトプラントを設けて行う作業は混練重量200kg以上のものが特定建設作業となる。
    答: ○コンクリートは体積(0.45㎥)、アスファルトは重量(200kg)と、単位が異なるのがポイントです。また、モルタルを製造するためにコンクリートプラントを設けて行う作業は除かれます
  10. 規制基準に適合しない特定建設作業により周辺の生活環境が著しく損なわれると認めるときは、都道府県知事が改善勧告を行うことができる。
    答: ✕改善勧告・改善命令を行うのは市町村長です。流れは「勧告 → (従わない)→ 命令 → (違反)→ 罰則」。この法律で知事が登場するのは指定地域の指定の場面だけです。
騒音規制法・振動規制法の要点を最後に1行で。指定地域は知事(市長)が指定/届出は元請業者が作業開始の7日前までに市町村長へ(緊急時はできる限り速やかに=不要ではない)/届出事項は氏名住所・施設の種類・場所と期間・防止方法・機械・開始終了時刻+見取図と工程表/規制基準は敷地の境界線で騒音85dB・振動75dB/1号区域=19〜7時禁止・10時間以内、2号区域=22〜6時禁止・14時間以内、連続6日・日曜休み/改善勧告・命令は市町村長/騒音8種類(バックホウ80・トラクタショベル70・ブルドーザ40kW、空気圧縮機15kW(電動機以外)、コンクリートプラント0.45㎥、アスファルトプラント200kg、さく岩機・びょう打機・くい打機等)/振動4種類(くい打機等・鋼球・舗装版破砕機・ブレーカ)。試験直前はこの1行を見返せば十分です。

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