【1級土木施工管理技士】河川法を徹底攻略!河川区域・河川保全区域・許可が必要な行為のすべて

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1級土木施工管理技士 第一次検定対策

「河川法」を徹底攻略!
河川区域・河川保全区域と「許可がいる行為」を体系で覚える

最終更新: 2026.07.12 | 分野: 法規

1級土木施工管理技士の第一次検定では、「法規」から例年12問が出題され、そのうち8問を選択解答します。12問すべてを解く必要はないのですから、「範囲が狭くて、確実に取れる法令」から優先的に潰すのが合理的な戦略です。その代表格が河川法です。

河川法からは、毎年1問が出題されます。範囲は建設業法や労働基準法に比べて圧倒的に狭く、問われる論点はほぼ2つだけ――① 河川管理者は誰か(一級/二級/準用河川)、② その行為に許可がいるのか、いらないのか。この2つを整理しきってしまえば、河川法はほぼ確実な1点になります。過去問の焼き直し率も法規の中で群を抜いて高く、10年分を眺めると同じ論点が繰り返し形を変えて出ているのが分かります。

とはいえ、初学者がつまずくポイントもはっきりしています。「河川区域」と「河川保全区域」の違い、そして「河川区域内の民有地でも許可がいるのか」「地下や上空も許可がいるのか」といった空間のイメージです。この記事では、河川の断面図を使って空間を体で理解したうえで、条文(第23条〜第27条)を一気に整理します。ひっかけ総まとめと一問一答10問まで通せば、河川法の1問は取り切れます。

1河川法の目的 ―「治水・利水・環境」

河川法第1条は、その目的を次のように定めています。

「この法律は、河川について、洪水、津波、高潮等による災害の発生が防止され河川が適正に利用され流水の正常な機能が維持され、及び河川環境の整備と保全がされるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もつて公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とする。」

この4つの柱を、教科書的には「治水・利水・環境」とまとめます。1997年(平成9年)の改正で「河川環境の整備と保全」が目的に加わったのが大きなトピックで、選択肢に「河川環境」が入っているかどうかが問われることがあります。

内容具体例
治水洪水・津波・高潮等による災害の発生の防止堤防、護岸、ダム、放水路、遊水地
利水河川の適正な利用流水の正常な機能の維持取水(かんがい・上水道・工業用水)、水力発電、舟運
環境河川環境の整備と保全(1997年改正で追加)魚道、多自然川づくり、河畔林の保全、親水空間
河川法の根っこにある考え方は「河川は私有物ではなく、公共のもの(公物)」ということ。だからこそ、水を使う(占用)にも、土地を使う(占用)にも、砂利を取るにも、物を建てるにも、いちいち河川管理者の許可が要るのです。「河川は公共物 → だから許可が要る」――この一本の筋を通しておけば、条文を丸暗記しなくても解けます。

2河川の種類と河川管理者 ―「大臣・知事・市町村長」

2-1 4つの河川区分

河川法上の「河川」は、一級河川と二級河川の2つだけです。そこに、河川法を準用する準用河川と、河川法の適用のない普通河川を加えた4区分で押さえます。

種類指定する者河川管理者河川法の適用
一級河川国土交通大臣が、国土保全上・国民経済上とくに重要な水系を指定し、その水系に係る河川を指定国土交通大臣
ただし指定区間については、その管理の一部を都道府県知事に委任(政令指定都市の区域は市長)
適用
二級河川都道府県知事が、一級水系以外の水系で公共の利害に重要な関係があるものに係る河川を指定都道府県知事(政令指定都市の区域は市長)適用
準用河川市町村長が指定市町村長準用(一級・二級河川に関する規定を準用)
普通河川指定なし(上記以外の小河川・水路)市町村(条例で管理)適用なし
水系(すいけい)
本川・支川・派川・これらに接続する湖沼を、ひとまとまりの水の流れの系統としてとらえたもの。一級河川は「水系ごと」に指定される点が特徴です。大きな川の小さな支流でも、一級水系に属していれば一級河川になりえます。
指定区間(一級河川)
一級河川のうち、国土交通大臣が指定した区間で、その管理を都道府県知事が行う区間。上流部の比較的重要度の低い区間などが該当します。逆に、指定区間(=直轄区間)は国土交通大臣が直接管理します。
河川管理者は「一級=大臣(指定区間は知事)/二級=知事/準用=市町村長」「ダイ・チ・シ(大臣・知事・市町村長)」と上から順に降りていくイメージで覚えます。
重要なのは、一級河川でも「指定区間」なら知事が管理すること。「一級河川の管理者は常に国土交通大臣である」という選択肢はになります。
「二級河川は、国土交通大臣が指定し、国土交通大臣が管理する」→ 。二級河川は都道府県知事が指定し、都道府県知事が管理します。大臣が出てくるのは一級河川だけです。
「準用河川および普通河川については、河川法が適用される」→ 準用河川は河川法の規定が「準用」されますが、普通河川には河川法の適用がありません(市町村の条例で管理)。

2-2 河川管理者が持つ権限

河川管理者は、河川の管理のために次のような権限を持ちます。試験に出る許可・承認の相手は、すべてこの河川管理者です。

  • 河川区域・河川保全区域・河川予定地の指定
  • 流水の占用、土地の占用、土石等の採取、工作物の新築等、土地の掘削等の許可
  • 河川管理施設の工事・維持・操作
  • 違反者に対する監督処分(工事の中止、工作物の改築・除却、原状回復の命令)

3河川の空間を理解する ― 河川区域・堤内地・堤外地

3-1 河川区域の3つの「地」

河川法が規制をかける空間の中心が河川区域です。河川法第6条は、河川区域を次の3つで定義しています(通称:1号地・2号地・3号地)。

区域やさしい言い換え
1号地河川の流水が継続して存する土地および地形、草木の生茂の状況その他その状況が河川の流水が継続して存する土地に類する状況を呈している土地河岸の土地を含み、洪水その他異常な天然現象により一時的に当該状況を呈している土地を除く)の区域水が流れているところ+その河原
2号地河川管理施設の敷地である土地の区域堤防・護岸などの敷地
3号地1号地に類する土地の区域のうち、河川管理者が指定した区域(堤外の民有地など)河川管理者が「ここも河川区域だ」と指定した土地
河川区域
河川法の規制が最も強くかかる区域。1号地・2号地・3号地から成ります。
重要:河川区域内であれば、たとえその土地が民有地(私有地)であっても、土地の占用や工作物の設置には河川管理者の許可が必要です。「自分の土地だから自由にできる」は通用しません。
堤外地(ていがいち)と堤内地(ていないち)
堤外地=堤防をはさんで水が流れている側(=河川区域)。堤内地=堤防をはさんで人が住んでいる側(=守られている側)。
直感と逆なので必ず混乱します。「堤防の側に守られて人が住む」=堤内地、「堤防の側で水が暴れる」=堤外地、と覚えましょう。昔、輪中(わじゅう)で集落をぐるりと囲んだときの「内」「外」が語源です。
高水敷(こうすいじき)と低水路(ていすいろ)
低水路=ふだん水が流れている部分。高水敷=洪水のときだけ水につかる、河川敷のグラウンドや公園になっている平らな部分。どちらも河川区域です。
河岸(かがん)
流水と接する土地の傾斜部分。河岸の土地は1号地として河川区域に含まれます
河川の横断面 ― 河川区域と河川保全区域 低水路 堤外地(水が流れる側) 河川区域(堤外地) 河川保全区域 原則 50m 以内 保全区域 堤内地 (人が住む側) 堤防 堤防 ※ 河川区域は「堤防の敷地(2号地)」を含む。堤防のり尻から堤内地側に河川保全区域が広がる。 ※ 堤防に挟まれた水の流れる側が堤外地。低水路・河岸はいずれも河川区域で、民有地であっても許可が必要。
図1 河川の横断面 ― 堤内地・堤外地・河川区域・河川保全区域の位置関係
図で押さえるべきは3点だけ。
河川区域=堤防の敷地を含む、水の側の空間(堤外地)。
河川保全区域=堤防を守るために、堤内地側にはみ出して指定される帯(原則50m以内)。
「堤内地」が人の住む側――ここを間違えると芋づる式に失点します。
「堤外地とは、堤防によって洪水から守られている側の土地をいう」→ 。それは堤内地です。堤外地=水が流れる側(河川区域側)。毎年のように狙われる定番の入れ替えです。

3-2 河川区域の「立体」性 ― 地下も上空も

河川区域は、地表面だけの平面的な話ではありません。河川区域の地下や上空も河川区域です。したがって、

  • 河川区域内の地下に埋設する工作物(サイフォン、地下トンネル、地下埋設管、光ファイバーケーブルなど)
  • 河川区域内の上空を横断する工作物(送電線、電話線、橋、水管橋、ロープウェイなど)

これらはいずれも、河川管理者の許可(第26条:工作物の新築等の許可)が必要です。「河原に足を着けていないから許可はいらない」というのは誤りです。

「河川区域内の上空を横断して送電線を架設する場合、河川区域の土地を使用しないので、河川管理者の許可は不要である」→ 上空も河川区域です。許可が必要地下に埋設する場合も同様に許可が要ります。

4河川保全区域・河川予定地 ―「原則50m以内」

4-1 河川保全区域(第54条)

河川保全区域
河川管理者が、河岸または河川管理施設(堤防など)を保全するため必要があると認めるときに、河川区域に隣接する一定の区域を指定するもの。
範囲:河川区域の境界から50mを超えてはならないのが原則(ただし、地形・地質等の状況によりとくに必要やむを得ないと認められる場合は、50mを超えて指定できる)。
趣旨:堤防のすぐ裏で深い穴を掘られたり、大量に盛土されたりすると、堤防が壊れる(パイピング・すべり破壊)から。堤防を守るためのバッファゾーンです。
河川予定地(第56条)
将来、河川工事を行う予定の土地として河川管理者が指定する区域。指定されると、土地の掘削・盛土・切土、工作物の新築・改築に河川管理者の許可が必要になります(第57条)。「これから河川区域になる土地」を先に押さえておくイメージです。

4-2 河川保全区域内で許可が必要な行為(第55条)

河川保全区域で、次の行為をしようとする者は河川管理者の許可を受けなければなりません。

行為許可
土地の掘削、盛土または切土その他土地の形状を変更する行為必要
工作物の新築または改築必要
耕うん(田畑を耕すこと)不要(政令で許可を要しない行為とされている)
地表から高さ3m以内の盛土(堤防に沿って行う盛土で、堤防に沿う部分の長さが20m以上のものを除く)不要
地表から深さ1m以内の土地の掘削または切土不要
河川管理施設の敷地から5m以上離れた土地における、地下に設ける工作物(不透水性材料で造られた貯水槽・水路等を除く)の新築・改築不要
河川保全区域で許可が要るのは「土地の形状を変える行為」と「工作物の新築・改築」の2つだけ流水の占用も、土石の採取も、河川保全区域には出てきません(それらは河川区域の話)。
そして、耕うんは許可不要。「畑を耕すたびに役所に許可を取りにいく」なんてありえない――と、常識で判断してください。
「河川保全区域内において耕うんを行う場合は、河川管理者の許可を受けなければならない」→ 耕うんは許可不要です(河川法施行令で許可を要しない行為とされています)。この「耕うん=許可不要」は超頻出です。
「河川保全区域は、河川区域の境界から100mを超えない範囲で指定される」→ 。原則50mを超えてはなりません(地形・地質等でとくに必要やむを得ない場合のみ、50mを超えて指定できます)。

5許可が必要な行為① ― 流水の占用・土地の占用・土石の採取

ここからが河川法の本丸です。第23条から第27条まで、条文番号と行為をセットで覚えます。すべて河川管理者の許可が必要です。

条文行為具体例
第23条流水の占用かんがい用水・上水道・工業用水の取水、水力発電のための取水
第24条土地の占用河川区域内の土地を継続的に使用する(工事用道路、資材置場、駐車場、キャンプ場、電柱の設置場所)
第25条土石等の採取砂利・砂・栗石・玉石・岩石の採取、竹木・あし・かや・埋没竹木等の採取
第26条工作物の新築・改築・除却橋、堰、水門、樋門、取水塔、地下埋設管、送電線、仮設工作物(仮締切・工事用道路・足場・板囲い)
第27条土地の掘削・盛土・切土その他土地の形状を変更する行為、竹木の栽植・伐採河川区域内の掘削、盛土、河畔林の伐採、樹木の植栽

5-1 第23条 流水の占用

河川の流水を占用しようとする者は、河川管理者の許可を受けなければなりません。ここでいう流水の占用とは、流水を継続的・排他的に使用する(=独占する)ことです。

流水の占用(第23条)
河川の流水を排他的・継続的に使用すること。取水口を設けて水を引き込む行為が典型です。
注意一時的にバケツで水を汲む、工事のための一時的な取水などは、社会通念上「占用」にあたらない場合があります。また、流水を占用する権利(水利権)は財産権として扱われます。

5-2 第24条 土地の占用 ―「民有地でも許可がいる」

河川区域内の土地(河川管理者が管理する土地に限る、という限定はありません)を占用しようとする者は、河川管理者の許可を受けなければなりません。

ここで最重要のポイント:河川区域内の土地であれば、それが民有地(私有地)であっても、占用には河川管理者の許可が必要です。

「河川区域内の土地」には、国有地だけでなく民有地も含まれます。3号地(河川管理者が指定した区域)などは、登記簿上は民間の所有地であることが珍しくありません。それでも河川区域である以上、河川法の規制がかかる――これは河川法で最も頻繁に問われる論点のひとつです。
「所有権があるかどうか」と「河川法の許可が要るかどうか」は別問題だと割り切りましょう。
「河川区域内の土地であっても、民有地においては、その所有者は河川管理者の許可を受けずに占用することができる」→ 民有地であっても、河川区域内であれば許可が必要です。

5-3 第25条 土石等の採取

河川区域内の土地において土石(砂利を含む)を採取しようとする者は、河川管理者の許可を受けなければなりません。

また、政令で定めるものとして、砂、竹木、あし、かや、埋没した流木・土石の採取も許可の対象です。

第25条のキーワードは「土石+その他政令で定めるもの(砂・竹木・あし・かや)」砂利は「土石」に含まれます
重要なのは、「土地の所有者が自分の土地の砂利を採る場合でも許可が必要」だということ。第24条と同じく、所有権と許可は別問題です。

6許可が必要な行為② ― 工作物の新築等(第26条)

河川法第26条は、河川区域内の土地において工作物を新築し、改築し、または除却しようとする者は、河川管理者の許可を受けなければならないと定めています。土木施工管理の試験で最も出題頻度が高い条文です。

6-1 「除却」にも許可が要る

まず驚くのがここ。工作物を「壊して撤去する(除却する)」場合にも許可が必要です。「新しく造るなら分かるけど、撤去するのになぜ?」と思うかもしれませんが、撤去工事も重機を入れ、掘り返し、水の流れを変える行為ですから、河川に影響を与えるのです。

「河川区域内にある既設の工作物を除却する場合は、河川に新たな影響を与えないので、河川管理者の許可は不要である」→ 。第26条は「新築し、改築し、又は除却しようとする者」と明記しています。除却にも許可が必要です。

6-2 「仮設の工作物」にも許可が要る

次に重要なのが、仮設工作物も第26条の許可の対象だということです。

工作物の例許可(第26条)
橋、堰、水門、樋門、取水塔、護岸必要
河川区域内の地下に埋設する工作物(サイフォン、地下埋設管、ケーブル)必要
河川区域内の上空に架設する工作物(送電線、電話線、水管橋、ロープウェイ)必要
仮締切、仮橋、工事用道路(工事用の仮設道路)必要
足場、板囲い、資材の仮置き台、現場事務所(仮設建築物)必要
河川区域内の土地に設ける工事用の仮設プラント必要
「工作物」は恒久・仮設を問いません仮締切・工事用道路・足場・板囲い・現場事務所など、工事のために一時的に設けるものもすべて第26条の許可が必要です。
現場感覚の落とし穴:「どうせすぐ撤去する仮設だから」と勝手に設置すると、河川法違反になります。仮設だから不要、という言い訳は通じないと覚えてください。
「河川区域内に工事用の仮設道路や足場を設ける場合は、工事が完了すれば撤去する仮設のものであるから、河川管理者の許可は不要である」→ 仮設工作物も第26条の許可の対象です。「仮設だから不要」は毎年出るワナ

6-3 許可不要となる「軽易な行為」

ただし、河川法施行令には、河川管理者以外の者が行う場合でも許可を要しない行為が定められています。「河川の管理に支障を及ぼすおそれのない軽易な行為」という考え方です。

許可不要となる主な行為根拠の考え方
河川管理者が行う河川工事・維持そもそも許可を出す側なので、自分に許可は要らない
河川区域内の土地の耕うん土地の形状変更にあたるが、軽易な行為として除外
河川保全区域内での耕うん高さ3m以内の盛土(堤防に沿って延長20m以上のものを除く)、深さ1m以内の掘削・切土堤防に影響を及ぼさない軽微な範囲
取水施設・排水施設の機能を維持するために行う取水口・排水口の付近に堆積した土砂等の排除維持管理のための最小限の行為
河川区域内の堤外の土地における竹木の伐採のうち、政令で定める軽易なもの治水上支障がない範囲
許可不要リストの「王様」が耕うんです。河川区域内でも河川保全区域内でも、耕うんは許可不要。これだけは絶対に覚えてください。
逆に、「河川区域内の土地における竹木の栽植・伐採」は原則として第27条の許可が必要です(政令で定める軽易なものだけが除外)。「耕うんは不要、伐採は原則必要」と対比で記憶しましょう。

7許可が必要な行為③ ― 土地の掘削等(第27条)と保全区域の制限

7-1 第27条の対象行為

河川法第27条は、河川区域内の土地において、土地の掘削、盛土もしくは切土その他土地の形状を変更する行為、または竹木の栽植もしくは伐採をしようとする者は、河川管理者の許可を受けなければならないとしています。

行為河川区域内(第27条)河川保全区域内(第55条)
土地の掘削・盛土・切土(土地の形状変更)許可必要許可必要(深さ1m以内の掘削・切土、高さ3m以内の盛土などは不要)
工作物の新築・改築許可必要(第26条。除却も必要許可必要除却は不要
竹木の栽植・伐採許可必要規定なし(許可不要)
流水の占用(第23条)許可必要対象外
土地の占用(第24条)許可必要(民有地でも必要)対象外
土石等の採取(第25条)許可必要対象外
耕うん許可不要許可不要
この表がこの記事のすべてです。
河川区域=「水・土地・土石・工作物・形状変更・竹木」すべてに許可がかかるフルセット
河川保全区域=「形状変更」と「工作物の新築・改築」の2つだけ
保全区域は堤防を守るための区域だから、堤防を壊しかねない「掘る・盛る・建てる」だけを規制する――と趣旨から理解すれば、丸暗記は不要です。
「河川保全区域内において、土石を採取する場合は河川管理者の許可を受けなければならない」→ 。土石の採取(第25条)は河川区域内の話です。河川保全区域の規制は「土地の形状変更」と「工作物の新築・改築」の2つ。ただし、採取のために土地を掘削すれば「土地の掘削」として許可が必要になる、という理屈は成り立ちます。

7-2 許可を受けた後の手続 ― 完了の届出

第26条や第27条の許可を受けて工事を行った者は、その工事を完了したときは、遅滞なく河川管理者に届け出なければなりません(河川法施行令等)。また、河川管理者は完了検査を行います。

あわせて、次の点も押さえておきましょう。

  • 許可には条件(工事の時期、施工方法、出水期の作業制限など)を付すことができる
  • 許可を受けた権利(流水占用権・土地占用権)は、河川管理者の承認を受けて譲渡できる
  • 河川管理者は、河川法に違反した者に対し、工事の中止、工作物の改築・除却、原状回復等を命ずることができる(監督処分
  • 非常災害のため緊急を要する場合は、許可を受けずに応急の工事を行い、事後に遅滞なく河川管理者に届け出る

8河川管理施設・兼用工作物・その他の実務論点

8-1 河川管理施設とは

河川管理施設
ダム、堰、水門、堤防、護岸、床止め、樹林帯その他、河川の流水によって生ずる公利を増進し、または公害を除却・軽減する効用を有する施設のこと。
重要な限定河川管理者以外の者が設置した施設については、その者の同意を得て河川管理者が管理するものに限り、河川管理施設となります。つまり、民間が勝手に造った堤防状のものは、自動的には河川管理施設になりません
代表例:堤防・護岸・水門・樋門・樋管・床止め・堰・ダム・排水機場など。
樋門(ひもん)・樋管(ひかん)
堤防を横断して設けられる、堤内地の排水を河川に流すための施設。堤防に穴を開ける構造なので、洪水時に河川の水が逆流しないようゲート(ひ門)を閉じるのが役割です。河川管理施設にあたります。
床止め(とこどめ)
河床が洗掘されて下がっていくのを防ぐため、河床を横断して設ける施設。落差工・帯工などがあります。これも河川管理施設です。

8-2 兼用工作物(第17条)

兼用工作物
河川管理施設と、他の工作物(道路・鉄道・堤防道路など)とが、相互に効用を兼ねるもの。
典型例:堤防の天端(てんば)が道路になっている(堤防道路)堰と道路橋が一体になっているなど。
管理:河川管理者と、他の工作物の管理者(道路管理者など)が協議して、その管理方法を定めることができます。どちらか一方が単独で管理するのではなく、協議によって定めるのがポイント。
兼用工作物のキーワードは「協議して管理方法を定める」「河川管理者が単独で管理する」という選択肢は✕。堤防の上の道路は、河川管理者と道路管理者の両方に関係する――それを協議で整理する、というシンプルな話です。

8-3 その他の実務論点

項目内容
河川台帳河川管理者は、その管理する河川の河川台帳(河川現況台帳・水利台帳)を調製し、保管しなければならない
河川管理施設等の操作ダム・堰等の操作規則を定め、洪水時には関係都道府県知事等への通知・一般への周知を行う
河川保全立体区域・河川立体区域地下に河川(地下河川)を設ける場合など、立体的に区域を指定する制度がある
洪水調節・洪水予報国土交通大臣は、気象庁長官と共同して洪水予報を行う(指定河川洪水予報)
許可工作物の維持管理第26条の許可を受けて工作物を設置した者は、その工作物を良好な状態に維持管理する義務を負う
工事完了の届出許可を受けた工事が完了したときは、遅滞なく河川管理者に届け出て、検査を受ける

9頻出ひっかけ総まとめ

過去問で実際に「✕の選択肢」として出された文章です。すべて誤り。右列を隠して、どこが違うかを説明できるようにしてください。

ひっかけ文(すべて ✕)正しい知識
二級河川は、国土交通大臣が指定し、管理する二級河川は都道府県知事が指定・管理する。大臣は一級河川
一級河川の管理は、すべて国土交通大臣が行う一級河川のうち指定区間の管理は都道府県知事に委任される
準用河川および普通河川には、河川法が適用される準用河川は「準用」普通河川には河川法の適用がない(市町村の条例で管理)
堤外地とは、堤防で洪水から守られている居住側の土地をいうそれは堤内地堤外地=水が流れる側(河川区域側)
河川区域内の土地であっても、民有地であれば所有者は許可なく占用できる民有地であっても、河川区域内なら河川管理者の許可が必要(第24条)
河川区域内の地下に埋設する工作物は、地表を使用しないので許可は不要である地下も河川区域許可が必要(第26条)
河川区域の上空を横断して送電線を架設する場合、許可は不要である上空も河川区域許可が必要(第26条)
工事のための仮設工作物(仮橋・仮締切・工事用道路・足場・板囲い)は、仮設なので許可は不要である仮設工作物も第26条の許可が必要
河川区域内の既設の工作物を除却する場合は、許可は不要である第26条は「新築し、改築し、又は除却しようとする者」除却にも許可が必要
河川保全区域は、河川区域の境界から100mを超えない範囲で指定される原則50mを超えてはならない(地形・地質等でとくに必要やむを得ない場合のみ超えられる)
河川保全区域内で耕うんを行う場合は、河川管理者の許可が必要である耕うんは許可不要(河川区域内でも保全区域内でも)
河川保全区域内において、土石を採取する場合は許可が必要である土石の採取(第25条)は河川区域内の規制。保全区域の規制は形状変更と工作物の新築・改築の2つ
河川区域内で砂利を採取するのに許可がいるのは、国有地の場合だけである土地の所有関係にかかわらず許可が必要(第25条)
河川区域内で竹木を伐採する場合、許可は不要である第27条により原則として許可が必要(政令で定める軽易なもののみ除外)
兼用工作物(堤防道路など)は、河川管理者が単独で管理する河川管理者と他の工作物の管理者が協議して管理方法を定める(第17条)
河川予定地においては、土地の掘削や工作物の新築を自由に行うことができる河川予定地でも土地の掘削・盛土・切土、工作物の新築・改築には許可が必要(第57条)
河川法の目的は、洪水防御(治水)のみである治水・利水(適正な利用・流水の正常な機能の維持)・河川環境の整備と保全の総合的管理(第1条)
河川管理施設とは、河川管理者以外の者が設置した施設すべてを含む河川管理者以外の者が設置した施設は、その者の同意を得て河川管理者が管理するものに限り河川管理施設となる

10章末チェック ― 一問一答10問

答えを隠して○×で解き、そのあと解説を読んでください。「どの区域の話か」と「許可が要るか要らないか」の2点を、必ず言えるようにしましょう。

  1. 一級河川の管理は国土交通大臣が行うが、そのうち指定区間については都道府県知事が行う。
    答: ○ ― 一級河川=国土交通大臣(指定区間は都道府県知事に委任)、二級河川=都道府県知事、準用河川=市町村長。この3段階を確実に。
  2. 河川区域内の土地であっても、民有地であれば、その所有者は河川管理者の許可を受けることなく土地を占用することができる。
    答: ✕民有地であっても、河川区域内であれば河川管理者の許可が必要です(第24条)。所有権があることと、河川法の許可が要らないことは別問題です。
  3. 河川区域内の地下に工作物を埋設する場合、および河川区域の上空を横断して送電線を架設する場合は、いずれも河川管理者の許可を受けなければならない。
    答: ○河川区域は立体的な空間です。地下も上空も河川区域であり、いずれも第26条(工作物の新築等)の許可が必要です。
  4. 河川区域内に工事用の仮設道路や足場、板囲いを設ける場合は、工事完了後に撤去する仮設の工作物であるから、河川管理者の許可は不要である。
    答: ✕仮設工作物も第26条の許可の対象です。仮締切・仮橋・工事用道路・足場・板囲い・現場事務所、いずれも許可が必要。「仮設だから不要」は最頻出のワナです。
  5. 河川区域内にある既設の水門を撤去(除却)する場合は、新たに構造物を造るわけではないので、河川管理者の許可は不要である。
    答: ✕ ― 第26条は「新築し、改築し、又は除却しようとする者」と定めています。除却にも許可が必要です。
  6. 河川保全区域は、河岸または河川管理施設を保全するため、河川区域の境界から50mを超えない範囲で指定するのが原則である。
    答: ○ ― 原則50m以内。ただし、地形・地質等の状況によりとくに必要やむを得ないと認められる場合は、50mを超えて指定できます
  7. 河川保全区域内において耕うんを行う場合は、河川管理者の許可を受けなければならない。
    答: ✕耕うんは許可不要です。河川保全区域で許可が必要なのは、①土地の掘削・盛土・切土その他土地の形状を変更する行為、②工作物の新築・改築の2つ。なお、深さ1m以内の掘削・切土、高さ3m以内の盛土なども許可不要とされています。
  8. 河川区域内の土地において砂利を採取しようとする者は、その土地が自己の所有地であっても、河川管理者の許可を受けなければならない。
    答: ○ ― 第25条(土石等の採取)です。砂利は「土石」に含まれます。土地の所有関係にかかわらず許可が必要という点は、第24条(土地の占用)と共通の考え方です。
  9. 堤防と道路が一体となっている兼用工作物については、河川管理者が単独でその管理方法を定める。
    答: ✕河川管理者と他の工作物の管理者(道路管理者)が協議して管理方法を定めることができます(第17条)。「単独で」「河川管理者が優先して」といった書きぶりはすべて✕です。
  10. 河川法の目的には、洪水等による災害の発生の防止のほか、河川の適正な利用、流水の正常な機能の維持、および河川環境の整備と保全が含まれる。
    答: ○ ― 第1条の4本柱、すなわち治水・利水・環境です。「河川環境の整備と保全」は1997年(平成9年)の改正で加わりました。この語が抜けている選択肢は✕になります。
河川法の要点を最後に1行で。目的=治水・利水・環境/管理者=一級は大臣(指定区間は知事)・二級は知事・準用は市町村長・普通は適用なし/堤外地=水の側/河川区域=立体(地下も上空も)・民有地でも許可要/第23条流水・第24条土地・第25条土石・第26条工作物(除却・仮設も)・第27条形状変更と竹木/河川保全区域=原則50m以内・形状変更と工作物の新築改築のみ許可・耕うんは不要。試験直前はこの1行を見返せば十分です。

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