【1級土木施工管理技士】労働基準法を徹底攻略!労働契約・賃金・労働時間・年少者のすべて

執筆者:

カテゴリ:

BUILDNA
資格対策 > 1級土木施工管理技士 > 労働基準法 | 用語辞典
1級土木施工管理技士 第一次検定対策

「労働基準法」を徹底攻略!
契約・賃金・労働時間・年少者を数値で押さえる

最終更新: 2026.07.12 | 分野: 法規

1級土木施工管理技士の第一次検定では、「法規」の分野から例年12問が出題され、そのうち8問を選択して解答する形式になっています(年度により配置は多少前後します)。つまり、法規は「全部やる」必要はなく、得意な法令を確実に8問取りにいくのが正しい戦略です。そして、その8問の中核になるのが本記事のテーマである労働基準法です。

労働基準法は、法規の中で毎年2問前後が安定して出題される定番分野です。しかも出題は徹底的に過去問の焼き直しで、問われる条文はほぼ固定されています。労働契約の期間、解雇予告、賃金支払の5原則、休業手当、割増賃金、労働時間と休憩・休日、年少者・妊産婦の就業制限、就業規則、災害補償 ―― 出るところはこれだけです。逆に言えば、出るところを外すと確実に落とすということでもあります。

この記事では、条文の「趣旨(なぜそう決めたのか)」から入り、そのうえで試験で問われる数値と要件を表にして整理していきます。数字は理屈で覚えれば忘れません。最後に頻出ひっかけの総まとめ表と、一問一答10問を用意しました。読み終えるころには、労働基準法は「捨てる問題」ではなく「拾いにいく問題」に変わっているはずです。

1労働基準法の全体像 ―「労働条件の最低基準」

労働基準法は、労働条件の「最低基準」を定めた法律です。第1条では「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」とし、この基準は最低のものであるから、労働関係の当事者はこの基準を理由として労働条件を低下させてはならないと明記しています。ここが試験で狙われます。

労働者(労基法第9条)
職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者をいいます。正社員だけでなく、パート・アルバイト・日雇い労働者も含まれます。
使用者(労基法第10条)
事業主だけでなく、事業の経営担当者、その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をするすべての者をいいます。つまり、現場代理人・監理技術者・職長も、その権限の範囲では「使用者」に当たります。
賃金(労基法第11条)
名称のいかんを問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいいます。賞与・手当も賃金です。
平均賃金(労基法第12条)
算定事由の発生した日以前3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で割った金額です。解雇予告手当・休業手当・災害補償の計算基礎になります。

「平均賃金」は労働日数ではなく総日数(暦日数)で割るのがポイントです。ここを入れ替えるひっかけが実際に出ています。

労働基準法 労働契約期間・明示・解雇 賃 金5原則・割増 労働時間8時間・40時間 休憩・休日45分・1時間 年少者・女性就業制限 災害補償療養・休業 共通ルール:この法律の基準は「最低基準」=下回る契約は無効 基準に達しない部分は無効 → その部分は労基法の基準による(第13条)
図1 労働基準法の体系(第一次検定の出題範囲)
労働基準法に達しない労働条件を定めた労働契約は、その部分についてのみ無効となり、無効となった部分は労働基準法の定める基準によります(第13条)。契約全体が無効になるのではありません。「一部無効・法定基準で置換」と覚えましょう。

2労働契約 ―「期間の上限と5つの禁止事項」

2-1 労働契約の期間

期間の定めのある労働契約(有期労働契約)は、原則として3年を超える期間について締結してはなりません(第14条)。ただし、次の場合は5年まで認められます。

区分契約期間の上限
原則(期間の定めのある契約)3年
専門的な知識・技術・経験を有する者(高度専門職)5年
60歳以上の労働者との契約5年
一定の事業の完了に必要な期間を定める契約(有期の建設工事など)上限なし(その事業の完了までの期間)
期間の定めのない契約(正社員など)制限なし

土木で重要なのは3行目の下、「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」です。たとえば5年かかるダム工事に、その工事の完了までを期間とする契約を結ぶことは認められます。3年を超えるからダメ、ではありません。

「土木工事のように有期的事業でも、労働契約の期間は3年を超えてはならない」→ 。正しくは、一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約は、その事業の完了に必要な期間まで(3年を超えても)締結できます

2-2 労働条件の明示(第15条)

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して労働条件を明示しなければなりません。特に重要な事項(絶対的明示事項)は書面の交付(労働者が希望した場合はFAXや電子メール等でも可)で明示する必要があります。

書面で明示(絶対的明示事項)口頭でも可(定めをした場合に明示)
① 労働契約の期間
② 有期契約を更新する場合の基準(通算契約期間・更新回数の上限を含む)
③ 就業の場所・従事すべき業務(変更の範囲を含む)
④ 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩、休日、休暇、交替制の事項
⑤ 賃金の決定・計算・支払の方法、締切・支払の時期、昇給に関する事項
⑥ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
・退職手当
・臨時に支払われる賃金、賞与
・労働者に負担させる食費・作業用品
・安全衛生
・職業訓練
・災害補償、業務外の傷病扶助
・表彰、制裁
・休職

明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除することができます。さらに、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な旅費を負担しなければなりません(第15条3項)。

明示違反で解除 → 帰郷旅費は「14日以内」。この14日は、労働安全衛生法の「計画届=14日前」と数字が同じなので、まとめて覚えると効率的です。

2-3 労働契約に関する5つの禁止事項

労働者を借金や貯金で職場に縛りつける「足止め策」を封じるための規定です。ここは毎年のように出ます

条文禁止される内容ポイント
第16条
賠償予定の禁止
労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない「実際に生じた損害の賠償請求」まで禁止されているわけではない(あらかじめ額を決めておくのが✕)
第17条
前借金相殺の禁止
前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない貸すこと自体が禁止ではなく、賃金との相殺が禁止
第18条
強制貯金の禁止
労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、または貯蓄金を管理する契約をしてはならないただし労働者の委託を受けた社内預金は、労使協定+労基署長への届出等の要件を満たせば可
第5条
強制労働の禁止
暴行・脅迫・監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって労働を強制してはならない労基法で最も重い罰則(1年以上10年以下の拘禁刑等)
第6条
中間搾取の排除
法律に基づいて許される場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならないいわゆる「ピンハネ」の禁止。有料職業紹介事業など法に基づくものは適法
「使用者は、労働者に対して前貸の債権(前借金)を貸し付けること自体が禁止されている」→ 。禁止されているのは前借金と賃金を相殺することであって、貸付そのものは禁止されていません。
「労働者が現場の重機を壊した場合、使用者はその損害の賠償を請求することができない」→ 。禁止されているのはあらかじめ賠償額を予定しておくことです。現実に生じた損害について賠償を請求すること自体は妨げられません。

3解雇 ―「予告30日と解雇制限」

3-1 解雇の予告(第20条)

使用者が労働者を解雇しようとする場合は、少なくとも30日前にその予告をしなければなりません。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。予告日数は、平均賃金を支払った日数分だけ短縮できます(例:10日分の平均賃金を支払えば、予告は20日前でよい)。

解雇予告手当
予告なしに即時解雇する場合に支払う手当。平均賃金の30日分以上です。「30日分の賃金」ではなく「30日分の平均賃金」である点に注意。

ただし、次の場合は解雇予告が不要です。いずれも所轄労働基準監督署長の認定が必要です。

  • 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
  • 労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合

3-2 解雇の制限(第19条)

次の期間は、たとえ予告をしても解雇そのものができません。これが「解雇制限」です。

解雇できない期間内容
業務上の負傷・疾病その療養のために休業する期間+その後30日間
産前産後の休業産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間+その後30日間

ただし例外があり、① 使用者が打切補償(平均賃金の1,200日分)を支払う場合、② 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合(労基署長の認定が必要)は、解雇制限は適用されません。

解雇まわりは「30」だらけです。予告30日前・予告手当30日分・解雇制限は休業期間+30日。そして打切補償だけが1,200日分。「サンジュウ×3、打切りだけ1200」と唱えて覚えましょう。
「業務上の負傷で通院しているが休業していない労働者は、解雇制限の対象になる」→ 。解雇制限がかかるのは「療養のために休業する期間」です。休業していなければ解雇制限は及びません。
「天災事変により事業の継続が不可能となった場合は、労働基準監督署長の認定がなくても即時解雇できる」→ 行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定を受けなければなりません。

4賃金 ―「支払5原則・休業手当・非常時払」

4-1 賃金支払の5原則(第24条)

賃金は、①通貨で ②直接労働者に ③その全額を ④毎月1回以上 ⑤一定の期日を定めて支払わなければなりません。これが有名な「賃金支払の5原則」で、法規の超頻出項目です。

原則内容例外(認められる場合)
① 通貨払現金(日本円)で支払う。現物給与は原則✕法令・労働協約に別段の定めがある場合。労働者の同意があれば銀行口座振込み、資金移動業者の口座への資金移動(賃金のデジタル払い)も可
② 直接払労働者本人に直接支払う親権者・後見人・代理人への支払は✕。ただし使者(本人の病気により妻が受け取る等)への支払は可
③ 全額払控除せず全額支払う法令に定めがある場合(所得税・社会保険料)、または労使協定がある場合(社宅費・組合費等)
④ 毎月1回以上払毎月最低1回は支払う臨時に支払われる賃金、賞与、1か月を超える期間の精勤手当・勤続手当・能率手当
⑤ 一定期日払「毎月25日」など期日を特定する同上。「毎月第4金曜日」は日が動くので✕(「月末」は可)
「未成年者の賃金は、親権者又は後見人がこれを受け取ることができる」→ 。第59条により、未成年者は独立して賃金を請求でき、親権者又は後見人は未成年者の賃金を代わって受け取ってはならないと明記されています。直接払の原則の徹底です。

4-2 休業手当(第26条)

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、使用者は休業期間中、労働者に平均賃金の100分の60以上の手当(休業手当)を支払わなければなりません。

使用者の責に帰すべき事由
経営上の障害(資材が届かない、親会社の経営難による資金難、機械の故障、注文減による作業中止など)を含む広い概念です。一方、天災事変などの不可抗力による休業は使用者の責に帰すべき事由に当たらず、休業手当の支払義務はありません。
「60%」は休業手当・休業補償・産前産後休業中に関連する各種給付で共通して出てくる数字です。ただし休業手当(第26条・使用者の都合)と休業補償(第76条・業務上災害)は条文も原因も別物。混同させるのが定番のひっかけです。

4-3 非常時払(第25条)

労働者が出産・疾病・災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合、使用者は支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければなりません

ポイントは2つ。労働者の請求があることと、支払うのは「既往の労働に対する賃金」(=すでに働いた分)だけということです。まだ働いていない分の前払い(前借り)を強制されるわけではありません。

「非常時払として、使用者は将来の労働に対する賃金も前払いしなければならない」→ 。支払義務があるのは既往の労働に対する賃金のみです。

5割増賃金 ―「25%・35%・50%の使い分け」

使用者が時間外労働・休日労働・深夜労働をさせた場合は、通常の労働時間または労働日の賃金の計算額に、次の率以上の割増賃金を支払わなければなりません(第37条)。

時間外労働
法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超える労働のこと。会社の所定労働時間(例:7時間)を超えても、8時間以内なら法律上の「時間外」ではありません(法内残業)。
深夜労働
午後10時から午前5時までの間の労働をいいます(厚生労働大臣が必要と認める地域・期間は午後11時~午前6時)。
種類割増率備考
時間外労働(法定労働時間を超える)25%以上2割5分以上
1か月60時間を超える時間外労働50%以上中小企業にも適用済み
休日労働(法定休日)35%以上3割5分以上
深夜労働(22時~5時)25%以上2割5分以上
時間外+深夜50%以上25%+25%
休日+深夜60%以上35%+25%
月60時間超の時間外+深夜75%以上50%+25%
割増賃金率(第37条) 時間外 25%以上 月60h超 50%以上 休日労働 35%以上 深夜労働 25%以上(22時~5時) 時間外+深夜 50%以上(25+25) ※ 休日労働に対しては時間外の割増は重複しない(休日には法定労働時間の概念がないため)
図2 割増賃金率の一覧(時間外・休日・深夜の組合せ)
「法定休日に10時間労働させた場合、8時間を超えた2時間については35%+25%=60%の割増賃金を支払う」→ 法定休日の労働にはもともと「法定労働時間」の概念がないため、何時間働いても35%以上のままです(深夜になれば+25%)。

6労働時間・休憩・休日・年次有給休暇

6-1 法定労働時間と36協定

使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間1日について8時間を超えて労働させてはなりません(第32条)。これを超えて働かせるには、36協定(サブロク協定)が必要です。

36協定(時間外労働・休日労働に関する協定)
労基法第36条に基づく労使協定。事業場の労働者の過半数で組織する労働組合(ないときは労働者の過半数を代表する者)と書面で協定し、所轄労働基準監督署長に届け出ることで、はじめて時間外・休日労働をさせることができます。締結しただけでは足りず、「届出」までして効力が生じます

時間外労働の上限は原則月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内(休日労働含む)、月100時間未満(休日労働含む)、月45時間超は年6か月まで、という枠を超えられません。

建設事業は上限規制の適用が猶予されていましたが、2024年4月1日から上限規制が適用されています(いわゆる「2024年問題」)。ただし、災害時における復旧・復興の事業については、月100時間未満・複数月平均80時間以内の規制は適用されません。

36協定を結んでも「災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合」(第33条)は別ルートです。この場合は行政官庁の許可を受けて時間外・休日労働をさせることができ、事態急迫のため許可を受ける暇がない場合は、事後に遅滞なく届け出れば足ります

6-2 休憩(第34条)

1日の労働時間与えるべき休憩時間
6時間以下不要
6時間を超え8時間以下少なくとも45分
8時間を超える少なくとも1時間

休憩には3つの原則があります。①労働時間の途中に与える ②一斉に与える ③自由に利用させる。②の一斉付与は労使協定があれば例外とできます(また運輸交通業・商業・接客娯楽業などは適用除外)。

「労働時間が8時間ちょうどの場合、1時間の休憩を与えなければならない」→ 。8時間ちょうどなら45分で足ります。「8時間を超える」場合に1時間です。

6-3 休日(第35条)

使用者は、労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えなければなりません。ただし、4週間を通じ4日以上の休日を与える場合(変形休日制)は、この限りではありません。

なお「休日の振替」と「代休」は違います。休日の振替はあらかじめ休日と労働日を入れ替えるもので、振り替えた日は労働日となるため休日労働の割増(35%)は不要です。一方、代休は休日労働をさせた後で別の日に休ませるもので、休日労働の事実は消えず、35%の割増賃金が必要です。

6-4 年次有給休暇(第39条)

使用者は、雇入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、または分割した10労働日の有給休暇を与えなければなりません。

継続勤務年数0.5年1.5年2.5年3.5年4.5年5.5年6.5年以上
付与日数10日11日12日14日16日18日20日

有給休暇は労働者の請求する時季に与えるのが原則です。ただし、請求された時季に有給を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、使用者は他の時季に変更することができます時季変更権)。

時季変更権
使用者が有給休暇の取得時季をずらす権利。「有給休暇を与えない(拒否する)権利」ではありません。あくまで「他の時季に与える」だけです。ここが定番のひっかけです。
年5日の時季指定義務
年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、使用者は年5日について、時季を指定して取得させなければなりません(2019年4月~)。

有給休暇の請求権は2年で時効消滅します。また、業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間、産前産後の休業期間、育児・介護休業期間は、出勤率の算定にあたり出勤したものとみなされます

「使用者は、事業の正常な運営を妨げる場合においては、労働者が請求した年次有給休暇を与えないことができる」→ 。与えないのではなく、「他の時季に与える」ことができるだけです。

7年少者・妊産婦等 ―「就業制限の一覧」

7-1 最低年齢と年齢証明書

使用者は、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで(=中学卒業まで)、児童を労働者として使用してはなりません(第56条)。

また、使用者は満18歳に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書(住民票記載事項証明書)を事業場に備え付けなければなりません(第57条)。

「使用者は、満18歳未満の者について、その年齢を証明する書面を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない」→ 。提出ではなく事業場に備え付けるです。

7-2 年少者(満18歳未満)の就業制限

項目内容
深夜業(第61条)原則として午後10時~午前5時の間は使用禁止(交替制の満16歳以上の男性は例外)
坑内労働(第63条)満18歳未満は坑内労働に就かせてはならない(例外なし)
時間外・休日労働36協定による時間外・休日労働は(変形労働時間制も原則✕)
危険有害業務(第62条)下表の業務に就かせてはならない
帰郷旅費(第64条)満18歳未満の者が解雇の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な旅費を負担(労働者の責めに帰すべき事由による解雇で、労基署長の認定を受けたときを除く)

年少者に就かせてはならない危険有害業務(年少者労働基準規則第8条)のうち、土木施工でよく問われるものは次のとおりです。

  • クレーン、デリック、揚貨装置の運転の業務
  • クレーン、デリック、揚貨装置の玉掛けの業務(2人以上で行う玉掛けの補助業務を除く)
  • 最大積載荷重2t以上の人荷共用・荷物用エレベーター、高さ15m以上のコンクリート用エレベーターの運転の業務
  • 動力により駆動される土木建築用機械(車両系建設機械等)の運転の業務
  • 直流750V/交流300Vを超える充電電路の点検・修理等の業務
  • 足場の組立て・解体・変更の業務(地上・床上での補助作業を除く)
  • 土砂が崩壊するおそれのある場所、または深さ5m以上の地穴における業務
  • 高さ5m以上で墜落により危害を受けるおそれのある場所における業務
  • 胸高直径35cm以上の立木の伐採の業務
  • 火薬その他爆発性の原料を取り扱う業務、著しくじんあい・粉末を飛散する場所における業務
  • 強烈な騒音を発する場所における業務、さく岩機・鋲打機等身体に著しい振動を与える機械を用いて行う業務
  • 重量物を取り扱う業務(下表)
年齢・性別断続作業の場合継続作業の場合
満16歳未満12kg以上15kg以上8kg以上10kg以上
満16歳以上18歳未満25kg以上30kg以上15kg以上20kg以上
満18歳以上(女性)30kg以上20kg以上
重量物の表は「断続 > 継続」「男 > 女」「年上 > 年下」という当たり前の大小関係になっています。丸暗記が苦しければ、満18歳以上の女性の継続作業=20kg以上は取り扱わせてはならないという1つの数値だけでも確実に押さえておきましょう。

7-3 妊産婦等(女性)の就業制限

妊産婦
妊娠中の女性および産後1年を経過しない女性をいいます(第64条の3)。
規定内容
坑内業務(第64条の2)妊娠中の女性、および申し出た産後1年以内の女性は坑内業務に就かせてはならない。それ以外の女性も、人力による掘削等の坑内で行われる業務には就かせてはならない
危険有害業務(第64条の3)妊産婦を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所の業務など妊娠・出産・哺育等に有害な業務に就かせてはならない
変形労働時間制・時間外・休日・深夜(第66条)妊産婦が請求した場合は、時間外労働・休日労働・深夜業をさせてはならない
産前産後(第65条)産前6週間(多胎妊娠は14週間)は請求した場合に就業させてはならない。産後8週間は原則として就業させてはならない(産後6週間経過後、本人が請求し医師が支障ないと認めた業務は可)
軽易な業務への転換(第65条3項)妊娠中の女性が請求した場合、他の軽易な業務に転換させなければならない
育児時間(第67条)生後満1年に達しない生児を育てる女性は、休憩時間のほか1日2回、各々少なくとも30分の育児時間を請求できる
「妊産婦については、使用者は時間外労働・休日労働・深夜業をさせてはならない」→ 妊産婦が「請求した場合」に禁止されます(産前産後休業と違い、当然禁止ではありません)。「請求」の2文字を消すのが典型的なワナです。
「産後8週間を経過しない女性は、いかなる場合も就業させることができない」→ 産後6週間を経過した女性が請求し、医師が支障ないと認めた業務には就かせることができます。

8就業規則・災害補償・記録の保存・監督機関

8-1 就業規則(第89条~第93条)

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。変更した場合も同様に届出が必要です。

作成・変更にあたっては、労働者の過半数で組織する労働組合(ないときは労働者の過半数を代表する者)の意見を聴かなければなりません(第90条)。

就業規則は「意見を聴く」だけでよく、同意を得る必要も、協議して決める必要もありません。「同意を得なければならない」と書いてあれば✕です。届出の際には意見書を添付します。

就業規則の必要記載事項は次のとおりです。

絶対的必要記載事項(必ず書く)相対的必要記載事項(定めをする場合は書く)
① 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替制の場合の就業時転換に関する事項
② 賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切・支払の時期、昇給に関する事項
③ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
・退職手当
・臨時の賃金(賞与)、最低賃金額
・食費、作業用品などの負担
・安全衛生
・職業訓練
・災害補償、業務外の傷病扶助
・表彰、制裁
・その他事業場の全労働者に適用される事項

就業規則は、法令または当該事業場に適用される労働協約に反してはなりません。また、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について無効となり、就業規則の基準によります(第93条・労働契約法第12条)。効力の順序は法令 > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約です。

8-2 災害補償(第75条~第88条)

労働者が業務上負傷し、または疾病にかかった場合、使用者は次の補償を行わなければなりません。使用者の過失の有無を問わない(無過失責任)のが特徴です。

補償条文内容
療養補償第75条使用者の費用で必要な療養を行い、または必要な療養の費用を負担する
休業補償第76条療養のため労働できず賃金を受けない場合、平均賃金の100分の60を支払う
障害補償第77条身体に障害が存する場合、障害等級に応じ平均賃金に所定の日数を乗じた金額を支払う
遺族補償第79条労働者が死亡した場合、遺族に平均賃金の1,000日分を支払う
葬祭料第80条葬祭を行う者に平均賃金の60日分を支払う
打切補償第81条療養開始後3年を経過しても治らない場合、平均賃金の1,200日分を支払えば、その後は補償を行わなくてよい(解雇制限も解除)

なお、労働者が重大な過失によって業務上負傷し、かつ使用者がその過失について行政官庁の認定を受けた場合には、休業補償および障害補償を行わなくてもよいとされています(第78条)。療養補償は免除されません

「労働者が重大な過失によって業務上負傷した場合、使用者は療養補償を行わなくてもよい」→ 。免除されるのは休業補償と障害補償だけです。療養補償(治療費)は必ず行わなければなりません。
災害補償の「日数」を整理:遺族補償1,000日分・打切補償1,200日分・葬祭料60日分。休業補償は60%。「イチセン(遺族)・イチニ(打切)・ロクジュウ(葬祭・休業%)」でリズムを付けて覚えましょう。

8-3 記録の保存・報告

書類内容
労働者名簿(第107条)各事業場ごとに、各労働者(日日雇い入れられる者を除く)について調製。氏名・生年月日・履歴・従事する業務の種類・雇入年月日・退職年月日と事由・死亡年月日と原因など
賃金台帳(第108条)各事業場ごとに調製。賃金計算の基礎となる事項、賃金の額などを賃金支払のつど遅滞なく記入
記録の保存(第109条)労働者名簿、賃金台帳、雇入れ・解雇・災害補償・賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間(当分の間3年間)保存

8-4 監督機関と申告

労働基準監督官は、事業場・寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿・書類の提出を求め、使用者・労働者に対して尋問を行うことができます(第101条)。また、労働基準法違反の罪について刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行います(第102条)。

事業場にこの法律またはこれに基づく命令に違反する事実がある場合、労働者は行政官庁または労働基準監督官に申告することができます。使用者は、申告をしたことを理由として労働者に対し解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません(第104条)。

9建設業の特例 ―「災害補償は元請負人を使用者とみなす」

労働基準法には、建設業(土木・建築等の事業)だけに適用される特別な条文があります。第87条の「請負事業に関する例外」です。1級土木の第一次検定では、これが単独の選択肢として出てきます。

請負事業に関する例外(第87条)
土木・建築その他工作物の建設等の事業が数次の請負によって行われる場合災害補償については元請負人を使用者とみなすという規定です(第87条1項)。第87条が対象としているのは「災害補償」であって、賃金の支払ではありません。ここを「賃金についても元請が連帯責任を負う」と書き換える選択肢は誤りです(下請の賃金不払いに対する元請への勧告は、労基法ではなく建設業法第41条の制度です)。

第87条を条文の順に整理すると次のようになります。

内容
第87条1項建設の事業が数次の請負によって行われる場合、災害補償については、その元請負人を使用者とみなす
第87条2項元請負人が書面による契約で下請負人に補償を引き受けさせた場合は、その下請負人もまた使用者とする。ただし、2以上の下請負人に、同一の事業について重複して引き受けさせてはならない
第87条3項2項の場合でも、その下請負人が補償を行わないときは、元請負人は災害補償を行わなければならない
要するに、「災害補償の最終責任は元請にある」ということです。書面契約で下請に引き受けさせても、下請が補償しなければ元請が補償する。この「逃げられない」構造が試験の核心です。
「建設の事業が数次の請負によって行われる場合、災害補償については、下請負人を使用者とみなす」→ 元請負人を使用者とみなします。
「元請負人が書面による契約で下請負人に補償を引き受けさせた場合、元請負人は災害補償の義務を完全に免れる」→ 下請負人が補償を行わないときは、元請負人が行わなければなりません

10頻出ひっかけ総まとめ

ここまで学んだ内容を、過去問で実際に「✕の選択肢」として出された文章の形でまとめます。すべて誤りです。目で追うだけでなく、右列を隠して「どこが違うか」を言えるようにしてください。

ひっかけ文(すべて ✕)正しい知識
労働基準法の基準に達しない労働契約は、契約の全部が無効となるその部分についてのみ無効となり、無効となった部分は労働基準法の基準による(第13条)
平均賃金は、算定事由発生日以前3か月間の賃金総額をその期間の労働日数で除した金額である総日数(暦日数)で除する(第12条)
労働契約の期間は、いかなる場合も3年を超えてはならない高度専門職・満60歳以上は5年、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの(有期の建設工事等)は3年を超えてよい
使用者は、労働者に前借金を貸し付けてはならない禁止されているのは前借金と賃金の相殺(第17条)。貸付自体は禁止されていない
使用者は、労働者が現に会社に与えた損害の賠償を請求してはならない禁止されているのは賠償額をあらかじめ予定する契約(第16条)。現実の損害賠償請求は可能
使用者は、解雇の予告をする場合、少なくとも14日前に予告しなければならない30日前。予告しない場合は30日分以上の平均賃金を支払う(第20条)
業務上の負傷で通院中(休業していない)の労働者は、解雇してはならない解雇制限がかかるのは「療養のために休業する期間」+その後30日間(第19条)
未成年者の賃金は、その親権者または後見人が代わって受け取ることができる親権者・後見人は未成年者の賃金を代わって受け取ってはならない(第59条)。未成年者は独立して賃金を請求できる
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、平均賃金の100分の80以上の休業手当を支払う100分の60以上(第26条)
法定休日に8時間を超えて労働させた場合、超えた時間には35%+25%の割増賃金が必要である法定休日の労働は何時間でも35%以上のまま(深夜になれば+25%)
1日の労働時間が8時間ちょうどの場合、1時間の休憩を与えなければならない8時間ちょうどなら45分。1時間必要なのは「8時間を超える」場合(第34条)
使用者は、事業の正常な運営を妨げる場合、年次有給休暇を与えないことができる与えないのではなく、他の時季に与えることができる(時季変更権・第39条5項)
使用者は、満18歳未満の者の年齢を証明する書面を労働基準監督署長に提出しなければならない事業場に備え付ける(第57条)
満18歳未満の者でも、交替制であれば坑内労働に就かせることができる満18歳未満の坑内労働は例外なく禁止(第63条)。交替制の例外があるのは深夜業(満16歳以上の男性)
使用者は、妊産婦に時間外労働・深夜業をさせてはならない妊産婦が請求した場合に禁止される(第66条)
就業規則の作成・変更にあたっては、労働者の過半数代表者の同意を得なければならない意見を聴かなければならない(第90条)。同意までは不要
就業規則は、常時5人以上の労働者を使用する使用者が作成・届出する常時10人以上(第89条)
数次の請負による建設の事業では、災害補償について下請負人を使用者とみなす元請負人を使用者とみなす(第87条1項)
36協定は、労使で書面により締結すれば、届け出なくても時間外労働をさせることができる所轄労働基準監督署長への届出をして初めて効力を生じる(第36条)
打切補償の額は、平均賃金の1,000日分である1,200日分(第81条)。1,000日分は遺族補償(第79条)

11章末チェック ― 一問一答10問

ここまでの内容が定着しているか、○×で確認しましょう。答えを隠して解いてから、解説を読んでください。

  1. 労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、無効となった部分は労働基準法で定める基準による。
    答: ○ ― 第13条のとおりです。契約全体が無効になるのではない点がポイントです。
  2. 一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約であっても、その期間は3年を超えてはならない。
    答: ✕ ― 一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約は、3年の上限が適用されず、その事業の完了までの期間を定めることができます(第14条)。トンネルやダムのような長期工事を想定した規定です。
  3. 使用者は、労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
    答: ○ ― 第20条のとおり。予告日数は、支払った平均賃金の日数分だけ短縮できます。
  4. 使用者は、労働者が業務上負傷し療養のために休業する期間およびその後14日間は、その労働者を解雇してはならない。
    答: ✕ ― 「14日間」ではなく30日間です(第19条)。なお、打切補償(平均賃金1,200日分)を支払う場合等は例外となります。
  5. 使用者は、労働者の親権者または後見人に対して、未成年者の賃金を支払うことができる。
    答: ✕ ― 未成年者は独立して賃金を請求でき、親権者・後見人が代わって受け取ることはできません(第59条)。賃金支払の「直接払の原則」の徹底です。
  6. 使用者の責に帰すべき事由により休業した場合、使用者は休業期間中、労働者に平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければならない。
    答: ○ ― 第26条のとおり。天災事変等の不可抗力による休業は「使用者の責に帰すべき事由」に当たらないため、支払義務はありません。
  7. 使用者は、労働時間が6時間を超え8時間以下の場合、労働時間の途中に少なくとも1時間の休憩時間を与えなければならない。
    答: ✕ ― 6時間超8時間以下は45分、8時間を超える場合に1時間です(第34条)。
  8. 使用者は、満18歳に満たない者を、地上または床上において行う足場の組立ての補助作業を除き、足場の組立て・解体・変更の業務に就かせてはならない。
    答: ○ ― 年少者労働基準規則第8条の危険有害業務のひとつです。同様にクレーンの運転・玉掛け、車両系建設機械の運転、深さ5m以上の地穴での業務、高さ5m以上の墜落のおそれのある場所での業務なども禁止されています。
  9. 使用者は、常時10人以上の労働者を使用する場合、就業規則を作成し、労働者の過半数代表者の同意を得て所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
    答: ✕ ― 「同意を得て」が誤りです。正しくは意見を聴かなければならない(第90条)。届出には意見書を添付します。
  10. 建設の事業が数次の請負によって行われる場合、災害補償については、元請負人を使用者とみなす。
    答: ○ ― 第87条1項のとおり。書面契約で下請負人に補償を引き受けさせても、その下請負人が補償を行わないときは元請負人が補償を行わなければなりません
労働基準法は、覚えるべき数値が「3年・5年/30日/60%/25%・35%・50%/8時間・40時間/45分・1時間/10人/1,000日・1,200日」に集約されます。この数字リストを試験直前に見返せるようにしておけば、労働基準法の2問はほぼ確実に拾えます。

不明な点があれば、Q&Aで質問してみよう

読んでいて分からなかった用語や、現場での実際の使い方など、疑問はBUILDNAの「現場の質問広場」に投稿してください。現場経験者があなたの疑問に回答します。

© 2026 BUILDNA ― 1級土木施工管理技士 分野別対策シリーズ

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です